インタビュー:土岐麻子「自分がファンになれるような音楽を作りたい」
――自分が周囲からどのように見られているかは気になりますか?
土岐:それも気になりますね。自分がそういう風に思いながら人をジロジロ見てるので、他人もそうだろうと思って(笑)。多分、真ん中に立つような責任をもつのは、ある意味、度胸を据えないとできないじゃないですか。「自分がどう評価されるか?」なんて考えていたら人前に立てないと思うんですけど、そういうことが苦手だったかもしれないですね。そこまで分析して、最近やっと分かったというか。基本的に市井感覚というか、大勢の中の一人という意識がすごくあるんですよね(笑)。――今回の「TOUCH」のようにご自身で作詞されているオリジナルの楽曲以外にも、今までもジャズのカバーなどもやられていますが、好きな曲ではありつつも、一方では自分の個性を打ち出さないとやる意味が無いし、オリジナル楽曲よりも気を遣われる部分もあるのかなと。
土岐:カバーはエネルギーが要りますよね。自分の好きな曲しかカバーしないので、その曲を裏切りたくないというのもあるし、自分と同じようにその曲を好きな人の気持ちを裏切りたくないし。でも、カバーするからには、同じようにやるよりも、ガラッと解釈を変えたものの方が好きなので、そういう風にしたいというか。意外な、私なりの解釈を面白く見せていきたいですね。元の曲でも充分満足なので、敬意を表しつつ作業をするのは結構、難しいですよね。――性格的に、割と気を遣うタイプなのかもしれませんね。
土岐:あれこれ突っ込まれないようにしたいタイプですね(笑)。このアルバムを作る時にも、自分がリスナーだったとして聴きたいものを作ったんですよね。自分が好きなことをやるのとは、またちょっと違って。「こういう歌い方が気持ちいい!」って歌っていても、後から聴いたら全然面白くなかったり、「この歌い方あまり好きじゃないな」と思ったり。自分がやっていて気持ちいいことと、聴いて気持ちいいものって、ちょっと距離があると思っていて。だから、自分がファンになれるような音楽を作りたいと思っているんですよね。――4曲目の「FOOLS FALL IN LOVE」では、キリンジの堀込泰行さんとデュエットされてますが、今までも他のアーティストとデュエットしたことはあったんですか?
土岐:デュエットは初めてですね。この曲が上がってきた時に、すごくキーを高くして、自分の声がキンキン高い所で歌ううような曲にしたいなと思って。でも、そうすると上の方にばかり音域が集まっちゃって、下にもう一人ユニゾンで歌ってたら、音楽的にすごく落ち着くなと思ったんですよ。最初は作曲してくれた奥田さんの声がデモで入っていたので「いっか」って言ってたですけど(笑)、キリンジのライブを観た後だったのかな?泰行くんの声がすごく好きなので、「一緒に歌って貰いたい!」と思って(笑)。結構淡々と歌って欲しかったので、泰行くんはすごく淡々としていながらも、ちょっと色気もあるというか、表情があるというか、ピッタリだったのでお願いしたんです。