PLCアダプター"CNC-1000"

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PLC(Power Line Communications)は、家庭用電源コンセント(電力線)をLANケーブルの代わりできる次世代の通信技術だ。PLCアダプターを使えば、家庭の電源コンセントでインターネットが利用できる(プロバイダ契約は別途必要)ことから、新しいネットワークの手段として注目を集めている。

そんなPLCアダプターには、「HD-PLC」「HomePlug」「UPA」という3種類の規格が存在するので、その特徴と問題点などをまとめてみよう。

■PLCアダプターの種類と特徴

「HD-PLC」「HomePlug」「UPA」という3種類の規格がある。異なる規格のPLCアダプター同士は接続できないが、同じ規格であれば、メーカーが異なっているアダプターでも接続できる。

●HD-PLC規格
HD-PLC規格は、松下電器産業が提唱する高速電力線通信規格。松下電器産業(パナソニック)やアイ・オー・データ機器、バッファローなどのメーカーが同規格対応のPLCアダプターを販売している。アイ・オー・データ機器のPLCアダプター"PLC-ET/M-S"の場合、通信速度は理論値で最大190Mbps。本製品は、セットアップボタンを約1秒間押すと、ランプの点灯状態により、およその通信速度を測定できる機能を備えている。
写真:アイ・オー・データ機器"PLC-ET/M-S"
写真:およその通信速度を測定できる

●HomePlug規格
インテルやCisco Systems、3Comなどが参加する"HomePlug Powerline Alliance"が2001年6月に発表した高速電力線通信規格。検証に使用した光ネッツ製のPLCアダプター"CNC-1000"は、理論値で最大85Mbpsの通信速度を実現。通信距離は屋内でおよそ150m。アマチュア無線などに混信を与えない周波数帯域を利用する新技術S.I.R.D(Super Interference Restraint Design)による強力な混信除去設計を備えている。
写真:光ネッツ製"CNC-1000"
写真:PLCアダプター"CNC-1000"の化粧箱

●UPA規格
スペインのDS2が開発した高速電力線通信規格。HD-PLC規格やHomePlug規格では、ひとつの親機に複数の子機を接続するかたちでネットワークを構築するが、UPA規格は親機と子機という概念がなく、1台のPLCアダプターに対して複数のPLCアダプターを繋いでいく方式でネットワークを確立する。ロジテック製"LPL-TX/S"の場合、通信速度は最大200Mbpsで、16台までのアダプターを接続することができる。
写真:ロジテック製"LPL-TX/S"
写真:"LPL-TX/S"化粧箱

PLCアダプターは、アダプター間の距離が長いと、通信速度が低下する傾向があるが、UPA規格の製品であれば、アダプターの追加によりアダプター間の距離を短くできるので、高速な通信速度を確保できる可能性がある※。
※電気配線が複雑な場合には、効果が出ない可能性もある

■測定値・実際の速度チェック

通信度は、オフィスと家庭の計5箇所で計測した。
家庭のインターネット環境は、USENの"GyaO光 ホームタイプ"を契約。2階に光ファイバーを引き込み、光モデムで100BASE-Tのイーサーネットに変換後、IEEE802.11a/g対応の無線LANルーターを通して使用している。通信速度は、理論値で上り下り最大100Mbpsだが、実測値は80Mbps前後。使用したコンセントは、2階と1階の計3箇所。
下記の表は、過去に測定した中から、もっとも適切と思われる数値を選択したものである。
写真:"1階の和室"でインターネットに接続

表1.測定値での通信速度
測定場所PLC-ET/M-SCNC-1000LPL-TX/S
2階の洗面所22.59Mbps15.51Mbps23.79Mbps
1階の和室14.04Mbps11.5Mbps9.84Mbps
1階のリビング12.29Mbps13.51Mbps13.4Mbps
となりの机24.81Mbps18.38Mbps25.87Mbps
うしろの机5.21Mbps16.5Mbps10.06Mbps


"CNC-1000"の通信速度を見ると、"2階の洗面所"や"となりの机"での測定値は、ほかの2機種と比べて遅い結果が出ているものの、"うしろの席"では逆に高速な結果となった。いずれのPLCアダプターも、5Mbps以上の通信速度が確保されているので、動画を見るうえで支障がない。実際に、YouTubeの動画を再生してみたが、いずれの場所でも快適に試聴できた。

オフィスでは、デスクから離れた場所にある給湯室や会議室などでも接続を試みたが、建物内の電気配線が異なるためか、まったく接続ができなかった。自動販売機のコンセントは、自席から少し離れた場所にあったが、"PLC-ET/M-S"以外のPLCアダプターでの通信できた。

表2.測定値での通信速度
PLCアダプター1回目2回目3回目4回目
PLC-ET/M-S----
CNC-10002.83Mbps2.23Mbps2.54Mbps2.52Mbps
LPL-TX/S3.51Mbps3.5Mbps3.4Mbps3.35Mbps


通信速度が2Mbpsというと、非常に遅く感じられるかもしれないが、YouTubeの動画もストレスなく再生できた。

■PLCアダプターのメリット・デメリット

PLCアダプターの良さは、どこにあるのだろうか、逆に苦手とするのは何か。メリットとデメリットをまとめてみた。

●メリット
・コンセントがある場所なら、どこでもつぐに使える
・無線LANが苦手とする障害物が多い場所や、電波が混線しやすい場所でも通信できる
・設定が容易
・高いセキュリティを実現

PLCアダプターの利点は、誰でも手軽に高速なネットワーク環境を構築できる点にある。有線LANでは、LANケーブルを室内に張り巡らす必要があるが、家庭やオフィスで使用している既存の電力線を利用するので、新たにケーブルを敷設する必要がなく、電源コンセントがある部屋であればネットワーク環境を構築できる。今回使用したPLCアダプターは、いずれの製品も電源コンセントとパソコンに接続するだけで、すぐに使用できた。ただし、PLCアダプター間の距離が長すぎたり、PLCアダプターが接続された電力線とは別の電力線では、通信ができない。

●デメリット
・有線LANや無線LANのルーターに比べて、初期費用が高い
・1Gバイトの高速な有線LANと比べると、通信速度が遅い
・漏えい電波によるアマチュア無線への影響が考えられる
・電力線が長いと、通信速度が落ちる

PLCアダプターは、アマチュア無線、短波放送、航空無線、海上無線などと同じ周波数帯を利用しているので、これらの無線設備の近くで使用した場合には、通信に妨害を及ぼす可能性がある。継続的に妨害を続けた場合には、電波法にもとづき、総務大臣からPLCアダプターの使用を禁止されることがある。

●PLC規格における問題点とは
PLCアダプターは、既存の電力線を使用して通信を行うために、アダプター自体が発生する電気ノイズがほかの電化製品に影響を与える場合がある。影響を受けやすい電化製品としては、短波ラジオ、調光機能付き照明器具やタッチランプ、通信規格が異なる他のPLC製品、無線を利用した機器などがあげられる。各メーカーは、PLCアダプターの電気ノイズに対して磁性体コアを使用するなどのノイズ対策を施しているが、現時点で電気ノイズを完全に除去することはできないようだ。

また、逆に電化製品から発生する電気ノイズが電力線を通り、PLCアダプターの通信速度に悪影響を及ぼす場合もある。電気ノイズが発生しやすい電化製品としては、充電器、ヘアードライヤー、掃除機、電気ドリル、調光機能付き照明器具などがあげられる。これらの機器を使用する場合、市販のノイズフィルターを取り付けることによって、電気ノイズを低減することができるが、こちらも現時点で完全にPLCアダプターへの影響を防ぐには至っていないようだ。

便利なPLCアダプターだが、一般にコンセントを利用する電化製品との干渉問題があり、今後の改善に期待したいところだ。

3回に渡り各規格のPLCアダプターを使用してみたが、いずれの製品も接続が簡単で、十分な通信速度が得られた。デメリットや問題点も残されているが、手軽に高速なインターネット環境を構築できる点で、魅力がある通信機器の選択肢の一つだ。

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編集部:関口 哲司
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