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 「知りたくないの」「今日でお別れ」などのヒット曲で知られ、昭和の歌謡界を彩った歌手の菅原洋一(すがわら・よういち)さんが5月31日午前9時26分、悪性リンパ腫のため都内病院で死去した。92歳。兵庫県出身。今月1日に家族葬を行った。喪主は妻のアケミさん。お別れの会を開く予定はない。亡くなる1カ月半前までステージに立ち、生涯現役の歌手人生を全うした。

 【悼む】初めて取材をしたのは2023年夏。卒寿の誕生日を祝うディナーショーだった。「声が出にくくなっても、心で歌う」。その言葉通り、90歳とは思えぬ歌声に心が揺さぶられた。

 その日に行ったインタビューは健康法について語ってもらう企画だったが、秘訣(ひけつ)として「怒らない」ことを挙げていたのが印象的だった。原点は流行歌を歌って褒められた幼少期の体験。「僕は褒められたから歌い手になった」。それ以来ずっと怒らず、人を褒めることをモットーにしてきたという。45分という短い時間だったが、年を重ねても歌い続ける姿勢とその生き方には、勝手に刺激を受けた。

 その後もコンサートなどで、何度かあいさつをさせてもらう機会があった。65歳年下の記者にも、いつも丁寧な物腰で接してくださった。生涯現役を貫いた素晴らしい生きざま。「歌うことが生きること、生きることは歌うこと」。取材で聞いたこの言葉がいつまでも忘れられない。(芸能担当・前田 拓磨)