特に小規模店舗は経営的に厳しさを増す…(C)日刊ゲンダイ

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 4年以上も物価高が続く中、財布のヒモは固くなるばかり。仕事帰りの「ちょっと一杯」もはばかられ、客足が遠のく居酒屋は苦境に立たされている。

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 東京商工リサーチ(TSR)が17日、「居酒屋の倒産が過去最多ペース」と題した記事を公表。同社の企業データベースから今年1〜4月の居酒屋倒産(負債1000万円以上)を抽出・分析したところ、倒産件数が前年同期比54.3%増の88件に上ったという。同期間の倒産としては1989年以降、最多を更新した。

 過去最多ペースで居酒屋倒産が進む背景についてTSRは〈コロナ禍が落ち着くと同時に、食材や光熱費、人件費などの上昇が押し寄せた〉と指摘。〈さらに、焼き肉店など専門料理店との競合、デリバリーの普及が重なり、居酒屋の倒産は増勢に転じた〉と分析した。

「食事付き飲み放題コースが5000円を超えると、財布の紐が一気に固くなる心理的ハードルも要因です。『ラーメン1杯1000円の壁』のように、長年当たり前と思っていた水準を超えてしまうと客足が遠のいてしまう。ただでさえ物価高への生活防衛として外食自体が避けられる傾向にある中、特に経営体力の乏しい小規模店舗は経営的に厳しさを増しています。価格競争に勝てない居酒屋の淘汰は今後も続きそうです」(TSR情報本部・後藤賢治氏)

外食支出は2.9%減

 小規模店舗とは打って変わって、経営体力のある外食大手は好調だ。居酒屋が祖業のコロワイドは今年3月、売上高・営業利益ともに過去最高を更新。居酒屋「鳥貴族」を展開するエターナルホスピタリティグループも今年7月決算で、売上高・営業利益の過去最高を見込む。

 一般社団法人「日本フードサービス協会」の「外食産業市場動向調査」(3月)によれば、パブ・居酒屋業態の売り上げは歓送迎会の需要を取り込み、前年同期比104.8%と堅調だ。しかし、総務省の家計調査(3月)では、2人以上世帯の消費支出のうち外食が前年同期比2.9%減。酒類に至っては同19.8%減と、「酒離れ」が著しい。

「お店としては、飲み放題ではなく立ち飲みのようにサクッと帰られてしまっては、なかなか立ち行かない。かといって、値引きなどの価格勝負も物価高では難しいのが実情です」(後藤賢治氏)

 街角の景気も庶民の懐も寒くなる一方だ。

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