【第79回カンヌ国際映画祭】映画『急に具合が悪くなる』公式上映前のレッドカーペットに登場した(左から)長塚京三、黒崎煌代、ヴィルジニー・エフィラ、濱口竜介監督、岡本多緒(C)Kazuko WAKAYAMA

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 フランスで開催中の「第79回カンヌ国際映画祭」で現地時間15日、コンペティション部門に選出された濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』がワールドプレミア上映され、14分に及ぶスタンディングオベーションを浴びた。

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 『ドライブ・マイ・カー』(2021年)でアカデミー賞国際長編映画賞とカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞し、『悪は存在しない』(2024年)ではベネチア国際映画祭銀獅子賞、『偶然と想像』(2021年)ではベルリン国際映画祭銀熊賞に輝くなど、世界三大映画祭を席巻してきた濱口竜介監督。

 カンヌでは3作品目のコンペティション部門出品、さらに、本作が環境に配慮した映画制作を評価する「Ecoprod Cannes 2026」を受賞したことも同日発表され、最新作への期待はさらに高まっていた。

 快晴の中で行われたレッドカーペットには、濱口監督をはじめ、ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代らキャスト陣が登場。

 前日に公式上映されたアスガー・ファルハディ監督の『PARALLEL TALES(英題)』に続いての登場となったエフィラは、サン・ローランの黒のパンツスーツとカルティエのジュエリーをまとい、現地ファンからの大歓声に応えながらスターの貫録を見せつけた。

 一方、多緒は、シャネルのアーティスティック・ディレクター、マチュー・ブレイジーによる特注ドレス姿で登場し、その圧倒的なスタイルで視線を集めた。長塚はタキシード姿で穏やかに手を振り、黒崎は『見はらし世代』に続き2年連続となるカンヌ参加に笑顔を見せた。

 さらに劇中で介護施設の同僚役を演じたフランス人俳優ジャン=シャルル・クリシェ、マリー・ビュネルも加わり、レッドカーペットを盛り上げた。

 場内では、満席の観客から「ブラボー!」「ハマグチ!」と大きな歓声と拍手が巻き起こり、上映前から熱気に包まれていた。上映後にはエンドロール中から拍手が鳴りやまず、14分にわたるスタンディングオベーションへ。

 濱口監督は「素晴らしいキャストとクルーのおかげで完成しました」と感謝を述べ、「この映画には原作があります。磯野真穂さん、そして宮野真生子さんに感謝を申し上げたい」とコメント。会場に同席していた原作者の一人・磯野真穂氏も、目を潤ませながら観客に手を振った。また、エフィラや岡本も涙をぬぐいながら互いに抱き合い、観客の声援に応えた。

 上映後の囲み取材では、濱口監督が「ようやく観客に届けることができた」と感無量の表情を見せ、エフィラは「人と人とがつながることの大切さを伝えてくれる作品」とコメント。多緒は「画面の向こう側で見ていたカンヌに自分がいるなんて、まだ現実味がありません」と興奮を語った。

 長塚は「観れば観るほど感動が深くなる作品」、黒崎は「新しい気持ちで映画を観ることができた」と語り、それぞれがワールドプレミアの特別な瞬間を噛み締めていた。

 本作は、介護施設で理想のケアを追求する女性マリー=ルーと、ステージIVのがんを抱える舞台演出家・真理という、同じ名前を持つふたりが偶然に出会い、やがて友情という枠組みをも超えた深い絆を結んでいく姿を描く。

■公式上映直後のコメント
▼濱口竜介監督
 ようやく観客に届けることができました。カンヌだと、こういう反応になるのか、と感慨深いものがありました。たくさん笑いが起きて、こんな映画だったんだ、と再認識しました。最後には、非常に温かい拍手をいただけて良かったです。
 自分がこの映画の素晴らしい原作『急に具合が悪くなる』を読んで心震えたこと、自分に起きたことが、映画をみた観客にも起きてほしいと思っていました。 それを身体化して表現してくれた俳優の皆さんの力が大きいと感じています。

▼ヴィルジニー・エフィラ
 この映画は、人と人とがつながることの大切を伝えてくれる作品だと思っています。リュミエールで鑑賞して、作品と観客が繋がっていることを体感しました。本当に素晴らしい上映でした。この原作がどのように映画になるのか分かりませんでした。濱口監督がくださった言葉が2,3あるんです。「脚本を使って演じるのではなく、テキストのなかに入り込んでほしい」と言われました。はじめは「どういうことだろう」と思ったけれど最終的には分かったような気がします。

▼岡本多緒
 観ていて、気付いたら口角が上がっていました。あたたかい拍手を長い時間いただいたことにも感動しました。今まで画面の向こう側で見ていたカンヌに自分がいるなんて、現実味がまだありませんが、気持ちはとても興奮しています。
 私自身としては、脚本が素晴らしかったので、原作の魂がにじみ出るように表現できたらいいなと臨んでいました。

▼長塚京三さん
 観れば観るほどに感動が深くなる作品です。皆さん素晴らしい。これは2回以上観てほしいですね。一言一句、忠実にやっていった結果、哲学的な、そして非常にユニークな話になったと思います。

▼黒崎煌代
 あっという間の3時間16分でした。フランスだからなのか、国が違うと笑うところが違うのも面白かったです。僕たちも気付かされました。今日は新しい気持ちで映画を観ることができて感動しました。智樹役は元気はつらつに演じました。智樹は、内部と外部を行き来する、どこにも属さない唯一のキャラクターだったので、ひたすら自分の感じるままに演技していました。