京都市バス内はもはや海外……。「私を含め数人と運転士さん以外は外国人観光客」←この理由に驚き!(画像提供:井上学さん)

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2026年のGWもすさまじい人出となった京都市。

【写真】観光客の「Google Maps」検索での行動が、交通渋滞の原因のひとつに

連休を楽しむ国内からの観光客に加え、円安効果による海外からの観光客でごった返すなか、「市民が乗れない」ことで知られる京都市バス内の窮状を写した画像がX(旧Twitter)に投稿された。

撮影したのは、地理学やまちづくりの授業を担当し、公共交通に関する仕事にも携わる、龍谷大学文学部教授の井上学(@kasobus)さん。

そこに写っていたのは、観光客に大人気の「嵐山」から「金閣寺」に向かう京都市バス「109号系統」の満員状態の車内。運転士と井上先生を含む数人以外はすべて外国人観光客だったという。

ここは海外⁉︎ 外国人観光客だらけの「京都市バス」

市民生活に大きな負担がのしかかる「オーバーツーリズム」を象徴する様子だが、実はここにはある大きな「トラップ」があるという。

「嵐山から金閣寺までカオス状態。京都市バス109号系統。ここが京都か、もはや海外。私を含め数人と運転士さん以外は外国人観光客。世界中から京都に来訪される人に、京都市民のひとりが心の底から告げます。嵐山から金閣寺への移動は『嵐電(RANDEN)→北野白梅町(Kitano Hakubaicho)→市バス』が最適ですよ」

<井上学さんのXの投稿より>

押し寄せる外国人観光客、増える運転士の負担

井上先生の推奨ルートは、「嵐山駅」から嵐電(京福電気鉄道が運営する路面電車)に乗車し、「北野白梅町」で下車。そこから市バスで「金閣寺」方面に向かうというもの。

インバウンドの急増により、現在、京都市内の観光スポットを経由する市バスはつねに外国人観光客で満杯状態。

とくに休日は他府県からの車や大型観光バスの乗入れも多く、渋滞の道路を進む市バスだけを利用するよりも、乗り換える手間はあれど、電車を利用する方が明らかに効率が良い。

「この『109号系統』は乗り換えなしで嵐山と金閣寺を結ぶのですが、1時間に1本ほどしか運行しておらず常に混雑しているため、観光客の方々にはぜひ別のルートがあることも知ってほしいです。実はこの1便前も満員で私は乗れませんでした……。

やっと乗れたこの便も画像の通り混雑しており、乗車できない方がいる状況で、バス停に停まる度に運転士さんが1人でも乗車できるよう車内に声がけをしたり、乗車できなかった方々にお詫びされていて大変そうでした……」(井上学さん)。

悪因は「Google Maps」

そもそも、なぜひとつのルートに「海外からの観光客」が殺到するのか?

井上先生によると、海外からの観光客の大半が利用している「Google Maps」の検索結果が要因なのだという。

「この109号系統は運行開始以降、私の経験上、今までここまでの大混雑はほぼありませんでした。今回からGoogle Mapsの経路検索にヒットするようになったため、利用が大きく増加したと考えられます。実はこの日、私自身の研究のため、検索結果にヒットするようになった時の市バスの利用状況を確認するために乗車していました」(井上学さん)

市民とは異なる「海外からの観光客」の行動とは?

井上先生の検証によると、海外からの観光客の「市バスの利用方法」には、市民とは明らかに異なる特徴があるという。

「海外からの観光客の行動を見ていると、Google Mapsの経路検索の指示に従っている人が多く、市民の利用方法と異なる特徴的な行動も見られます。例えば、京都駅に行く場合、市民の多くは京都駅前で下車します。ところがGoogle Mapsの経路検索では、系統によって1つ手前の『烏丸七条』で下車という結果が出る場合があります。

そのため、大混雑したバスから1つ手前の停留所で下車する人が続出。するとそこで降車時間が取られてしまい、後続のバスも足止めを食らい遅延が多発します。『京都駅前』の下車であればターミナルなので降車場所が多く、降車時間がかかったとしても他のバスに影響は出ません」(井上学さん)

つまり現在、「京都市」(「京都市産業観光局」)や「京都市交通局」がGoogle Mapsの検索結果をコントロールできていない、ということ。これが「市民が乗れない京都市バス問題」の要因のひとつとなってしまっている、といえる。

「来訪者との共生については、市民が市バスに乗れない問題の根幹を検討する必要があるでしょうね。すぐには難しいと思いますが、京都市にはぜひとも、バスの情報整備の推進や検索結果をより良い行動に促せるようにコントロールされることを期待しますし、応援しています」(井上学さん)

国内外の観光客がうんざり「京都は人多すぎ混雑しすぎ…」

こういった問題が取り上げられるたび、「市バスを増便すればいい」という声があがる。

だが、令和6年度に観光客人気が高いルートの「観光特急バス」の運行が開始されたが解決には至っておらず、慢性的な運転士不足と京都市内の深刻な交通渋滞、さらに増え続けるインバウンドによる混雑で、市内はすでに限界状態だ。

「2024年の京都市の観光調査では、国内・国外共に、京都観光で残念なことの理由の第1位が『人が多くて混雑している』でした。入洛の制限は市民のひとりとして望みますが、それよりも、来訪者を市内だけではなく、府内や滋賀県、奈良県などに分散されるプッシュ型の取り組みを歓迎します。

現状では、街が来訪者を受け入れられる限界を超えている、と考えています。それでも京都は今後も日本観光の初心者のゲートウェイとなり、来訪者は途絶えないでしょう。

ですが、京都の都市としての魅力を深堀りする人が減少し、薄っぺらいテーマパークに都市が変化するかもしれません。結果的にヨソに人が流れる=分散になるかもしれませんが、それでは日本政府が掲げる『持続可能な観光』とは乖離した残念な結果です」(井上学さん)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)