人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で話題になったジョン&マキさん

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 老若男女、現代社会の片隅で、さまざまな事情を抱えた人々の人生模様に密着する人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。

【写真を見る】現在75歳のジョンさん、68歳のマキさん 出迎えてくれたのはフリースにスゥェット姿のマキさんだった

 昨年末には、番組放送30年、過去1200回超を振り返る特番が放送された。同特番では、過去の名作の舞台裏や登場人物らの"その後"が追いかけられていた。だが、そのメモリアル番組に8回もシリーズ化された『ジョン&マキ』の姿はなかった──。

 毎週日曜の午後2時から放送されている『ザ・ノンフィクション』。マキさん(本名:宮本昌樹)とジョンさん(本名:宮本佳枝)の"あべこべ夫婦"が最初に番組に登場したのは2008年だった。料理が得意なジョンさんとダンスが上手なマキさんの日常生活で突如始まる"夫婦ゲンカ"は、すぐに視聴者の心を掴んだ。

 その後、『マキさんの老後』シリーズは12年にわたって密着され、ダイジェスト版を合わせて9回放送された。

 2020年には局の垣根を越えて、人気番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「ザ・ノンフィクション大好き芸人」企画が組まれ、アンガールズの田中卓志がマキさんの歯磨きシーンを再現したほど、同番組の看板シリーズとなった。

 しかし、2019年1月の放送を最後に2人は同番組から姿を消した。あれから7年──、現在75歳となったジョンさんと68歳のマキさんはどうしているのだろうか。NEWSポストセブンは、群馬の前橋で暮らす自宅を訪ねた。インターホンを押して15分後……、「どなたですか?」そう玄関で出迎えてくれたのはフリースにスウェット姿のマキさんだった。

「あら、ジョンちゃん! 取材ですってー。(フラフラとよろける)でも、ちょっとごめんなさいね。ハイヒールの履き過ぎと生活習慣病で腰を悪くしちゃって、半年間長期入院していたんです。

 今は腰の骨にチタン製の16本ボルトを入れてロボットのような歩き方になってしまい、病名は脊柱管狭窄症で杖をついても5メートルか10メートル歩くとしゃがみ込んじゃうの」(マキさん)

──大丈夫ですか。

「ジョンは腰が曲がったおばあちゃんになっちゃってますけど、私よりは軽度なんですよ。以前は私の方がパッパッと先を歩いちゃうんで振り返ってジョンに『早く早く』って、言ってたの。

 それが今はウサギとカメじゃないけどジョンの方がはるか遠くまで歩いちゃいます。一時期は車椅子も必要で、エレベーターのないこのマンションは階段を上るのが大変でした」

 居間にいたジョンさんにも話を聞いた。

──ジョンさん、お変わりないですか。

「今は介護福祉士の仕事をしていて、毎朝7時に起きて9時から仕事が始まり、17時に終わります。帰りはスーパーでマキちゃんのコーラや自分のビール、おかずなんかを買います。前は手作りで何でも作ってたんですけど、最近はすぐ食べられる既製品のおかずとかが多いですね。

 仕事で腰が痛いけど、普通に歩けるし、杖を使ったほうが楽なんで、使わずにどうにかやってますよ」

──改めて、『ザ・ノンフィクション』密着撮影の当時を振り返っていかがですか。

「1日中撮っていて、笑ったところは使われず、深刻な表情のところばかり。"ケンカしてくださいっ"て言われてできるもんじゃないんですよ。性格は真逆ですから、ほっとけば日常生活のなかで自然にケンカになるんですけどね」(ジョン)

「すべてフェイクだとは申しませんけれども、きれいなところ、夫婦仲のいいところ、礼儀正しいところはカットされ、私が非常に乱暴な"バイオレンスオカマ亭主"というように描かれたようにも思います。まあ、もうとっくに終わったことですけれどもね」(マキ)

──年末の特番にジョンさんとマキさんの姿がなく、番組内でも触れられていませんでした。

「番組に出演した理由は当初、バラエティやクイズ番組、CMなどに出させてくれるという話があったからなんです。

 毎回我慢して続けていましたが、足掛け12年、8回でシリーズの撮影はお断りさせていただいたんです。私たちの"底辺苦労人晒し者シリーズ"の役目は終わったでしょう。コロナ禍で私たちよりもっと悲惨な人いっぱいいるはずですから」(マキ)

──お2人はテレビ出演は嫌いだったのでしょうか。

「大好きですよ。明るい番組ならいつでもよろこんで。(どんな番組に出たいか?) 究極で言っていいですか。テレビ朝日系の『徹子の部屋』。録画していつも欠かさず見ています。黒柳徹子さんに会ってみたいですね」(ジョン)

「私は終わっちゃったけど、『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出たいと思ってたわ。『徹子の部屋』は金メダリストや何かを成し遂げた人じゃなきゃ無理よ。私たちなにもないもん」(マキ)

──2人が出会って40年近く経ちますが、振り返ってどう思いますか。

「40年……すごいね。いろんなことを乗り越えて、途中で投げ出すようなことはしてませんからね。やっと最近になって落ち着いたかなって感じです。

 ケンカもいっぱいしますけど、別れることを考えたことは1度もないですね。入籍をした時点でお互いに一生を添い遂げるって言ってますから。マキちゃんは仕事にしても何にしてもやっぱり努力をするし、途中で投げ出す人間はダメだと私は思います」(ジョン)

──マキさんはどうですか。

「私たちには3つの誓いがあるんです。まず肉体関係はなし。それから同性の恋人なら持つのは自由。そして最後は隠し事をせず何でもオープンにすること。この3つの誓いで始まった"友情結婚"ですから、精神的な絆というのがいかに大事かということをいろんな場面で経験してきました。

 ジョンは唯一無二の伴侶であり、味方であり、同志であり、戦友であり、運命共同体ですね。寝室は別々なんですけど、ジョンのいびきが聞こえてくると安心するんです。『ちゃんと生きているな』と」(マキ)

──今後の2人の老後生活についてはいかがでしょうか。

「仕事はやれるまでやりたいと思ってます。マキちゃんが先立ったら寂しいなって思いますけど、人間は開き直ってなるようにしかならないって考える方が楽なんですよね。マキちゃんがいつも買ってる宝くじがいつか当たることを祈ってます。当たったら、マキちゃんの腰に負担のないエレベーターがあるマンションに引っ越したいですね」(ジョン)

「本当にお恥ずかしい金額ですけど、2年前から国民年金が入るので、体が回復するまではYouTube『ジョン&マキちゃんねる』の収益を合わせてやりくりしていきたいですね。ジョンと私は8歳年齢が違って、日本の平均寿命は女性が87歳で男性が81歳ですから、寿命はだいたい同じくらい。死ぬときも一緒だと思いますよ」(マキ)

 48歳のときに『マキさんの老後』というタイトルで始まった『ザ・ノンフィクション』シリーズ。ふたりは慎ましくも明るい日々を送っていた。

【プロフィール】
ジョンさん(本名・宮本佳枝)/群馬県出身。高輪プリンスホテルに就職後、六本木のレズビアンクラブでの修業を経て前橋に帰郷。「パブハウス・ジョン」を8年間経営し、イタリアンレストランなどの勤務を経て、現在は介護福祉士として勤務中。

マキさん(本名・宮本昌樹)/茨城県出身。早稲田大学教育学部卒業。在学中から六本木のゲイクラブ「プティ・シャトー」で活躍。前橋で「レストランクラブ・貴婦人」を6年間経営し、塾講師、OLなどを経て、2008に『ザ・ノンフィクション』で脚光を浴びる。