中国南部の中国東方航空機墜落現場で安全ロープを木にくくりつける救助隊員=2022年3月26日/Lu Boan/Xinhua/Getty Images

(CNN)中国東方航空の旅客機が墜落して132人の搭乗者全員が死亡した2022年の事故をめぐり、操縦室にいた人物が故意に両エンジンへの燃料供給を停止した可能性があることが、米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査報告書で明らかになった。

中国東方航空MU5735便(ボーイング737-800型機)は22年3月21日、中国南部・広西チワン族自治区の山中に墜落した。同国航空史上最悪級の事故だったにもかかわらず、中国民用航空局(CAAC)は原因の究明には至っていない。

しかし情報公開請求に基づき公開されたNTSBの報告書によれば、同機は墜落前に、両方のエンジンへの燃料供給が同時に停止されていた。

このデータは同機のフライトデータレコーダーに記録されていた。データレコーダーは全運航情報を記録する2個の「ブラックボックス」のうち一つで、機体の残骸から回収されて、首都ワシントンのNTSBで解析が行われた(ボーイングが米国の航空機メーカーだったことからNTSBが調査にかかわった)。

「高度2万9000フィート(約8840メートル)で飛行中、両エンジンの燃料スイッチが稼働から停止に切り替わったことが判明した。この燃料スイッチの切り替え後、エンジンが減速した」。NTSBは報告書にそう記している。

民間航空機は燃料スイッチでエンジンへの燃料の流れを物理的に制御する。737型機の場合、稼働から停止に切り替えるためには操縦士がスイッチを押し上げる必要がある。

専門家はフライトデータレコーダーの記録について、「墜落の直前に燃料スイッチが手動で停止位置に置かれたことをはっきり示している」と指摘。「スイッチが稼働位置に戻された形跡はない。つまり、エンジン再始動の試みはなかった」「もし誤ってエンジンが停止されていたとすれば、操縦士が再始動を試みていたはずだ」との見方を示した。

NTSBの報告書によると、フライトデータレコーダーは発電機が電力を喪失した高度2万6000フィートで記録を停止し、最後の瞬間はとらえていなかった。一方、操縦室の音声を記録するボイスレコーダーは、補助電源で記録を続けた。

米当局は損傷したボイスレコーダーから4本の音声記録を入手することに成功し、中国民用航空局に提供した。しかし、NTSBはこの音声ファイルの複製を保持しなかった。

中国民用航空局は、墜落が故意だったとの見方を否定していた。

オーストラリアの航空専門家トニー・スタントン氏は、今回のNTSBの報告書について「公開された資料だけでは、動機も意図も、誰がスイッチを操作したのかも証明できない」と述べ、最終事故報告書とみなすべきではないとの見解を示した。