【EVOJ2026】「スト6」部門優勝のヤマグチ選手インタビュー。「ふわっとしたまま優勝した」と語る気負いのなさが勝利の秘訣か
5月1日より3日まで開催された格闘ゲーム大会「EVO Japan 2026」において、最終日となる本日、大会のトリを飾る「ストリートファイター6」部門のTOP8から決勝戦までのFINALSが行なわれていたが、先ほど見事にZETA DIVISIONのヤマグチ選手が優勝を果たした。
「EVO Japan 2026」スト6部門のエントリーは総勢7,168名で、前年の6,653名よりさらに約1,000名も多いプレーヤーが参戦した形となっている。5月1~2日に行なわれた予選トーナメントではエントリーした選手たちの中から8名まで絞り、本日のFINALSに挑んでいた。
無事勝ち残った8名は、ウィナーズがTPBE所属のHope選手、ZETA DIVISION所属のヤマグチ選手、Rox3Gaming所属のなおーん選手、ZETA DIVISION所属のひぐち選手。ルーザーズはFlyQuest所属のPunk選手、Shopify Rebellion所属のNuckleDu選手、Crazy Raccoon所属のShuto選手、広島TEAM iXA所属のtakepi選手。
本日行なわれたFINALSでは、ウィナーズ側をヤマグチ選手が勝ち上がり、グランドファイナルに進出。ルーザーズ側は、Punk選手がいつも以上の集中力とテンションの高さを見せ、崖っぷちでの粘りもあり、グランドファイナルまで駆け抜けた。
こうして迎えたグランドファイナルでは、ヤマグチ選手の舞がPunk選手のキャミィと激闘を展開。3-1のスコアでヤマグチ選手が優勝を決めた。本稿では現地で行なわれたメディア向け囲み取材のインタビューの模様について紹介したい。なお、EVO Japan会場についての詳しい様子などは後日レポート予定だ。
ウィナーズのヤマグチ選手とルーザーズのPunk選手によるグランドファイナルの試合中の様子
優勝を決めたあと、会場に向かって手を振るヤマグチ選手
舞1本で成し遂げたEVO Japan制覇、実はヴァイパーとテリーの用意もあった?
まずは壇上でのインタビューで「優勝したという感覚が全くなく、夢心地です。ひぐち選手やももち選手をはじめとしたチームメイトや、一緒に歩んでくれたみなさんに感謝したい」と語っていたが、「夢心地」について再度確認してみたところ、フォトセッション、囲み取材と続いても、まだまだ夢心地で、優勝の実感が全く湧いていないと笑顔を見せてくれた。
ウィナーズファイナルで対戦した、同じくZETA DIVISION所属のひぐち選手について、普段はチーム内で腕を磨く練習仲間でもあるため、練習での勝率はどちらが上なのかを尋ねた。すると「最近はあまり対戦していない」としつつ、直近ではヤマグチ選手がヴァイパーを練習していた際に、ひぐち選手に完敗したとコメント。舞を使っての直近の対戦はないという。
また、グランドファイナルで当たったPunk選手のキャミィについて聞いてみると、キャミィ使いは様々なタイプがいるので、そのタイプが読めれば得意だが、情報がないまま戦うと負けてしまうのだという。今回のグランドファイナルに関しては、Punk選手の動画を日頃から見ていたことが勝利に繋がったとした。
インタビュー中のヤマグチ選手はまだ夢心地とコメント
「EVO Japan」という舞台で、自身初の優勝を飾った意義をどう感じるか聞かれると、難しい質問だと困惑しながらも、周囲の見方が変わるだろうと感じているとコメント。「初めての優勝は大きな自信になりましたが、今後も勝ち続けられるかという不安もあり、また頑張りたいという気持ちが芽生えました」とした。
格闘ゲームが人々を熱狂させる魅力について聞かれると、ヤマグチ選手は「格闘ゲームコミュニティの存在が大きい」と格闘ゲームコミュニティを賞賛。ヤマグチ選手自身もコミュニティの魅力に惹かれてやってきたとしており「プレイヤー、観客、運営を含めたコミュニティ自体の魅力が高いからこそ、これほど多くの人が集まるのだと思います」とした。
チームメイトのひぐち選手とヤマグチ選手は、過去に「忍ism gaming」のメンバーであり、社長も務めるリーダー、ももち選手の企画でプロの道に入ってきた2人だ。今回のヤマグチ選手の優勝を受けて、「ひぐち選手を超えたのでは?」という質問に対しては「試合の結果には運の要素もあるので、追い越したとは全く思っていません。普段の練習でも負け越すことがあるので、少し近づけたかなくらいです」とした。
また、ヤマグチ選手は現在大学を休学中だ。今後、ゲームの調子がよくなると、学業とのバランスを取るのが難しいのでは?と質問されると「勉強も好きなので、大学については正直今でも悩んでいるところです。勉強での気づきがゲームの考え方に良い影響を与えるという相乗効果もあるため、両方をやり遂げることが理想なんですけどね」と苦笑いを見せた。
今回の優勝で「EWC(Esports World Cup)」のチケットを手に入れたが、海外へは行くのかという質問には、行くかどうかはこれから考えたいとしており、慎重な姿勢を見せた。また、ひぐち選手とPunk選手のルーザーズファイナルにおいて、リーサル確定の場面でPunk選手が「屈伸」する様子を見せた点について聞かれると、「まぁ、まぁ、まぁ、まぁ……そういうプレイもありますからね」と濁して見せた。
1点補足しておくと、「屈伸」は、相手が動けずリーサルが確定の段階などで、あえてしゃがみと立ちのアクションを繰り返す行為のことをいう。ゲームシステム上は禁止されているわけではないが、「煽り行為」とみられる場合もあり、よく議論に上がる行為だ。Punk選手はルーザーズファイナルまでの緊張感などから、テンションがかなり高くなっており、その辺りも影響していそうなアクションではある。
使用キャラクターが舞1本だった点について聞かれると、今回は1キャラに固執するつもりはなく、相手によってはテリーやヴァイパーを出す準備もしていたという。今日のTOP8についても結果的に舞でいける組み合わせだったため変えなかったが、もし、NuckleDu選手との舞ミラーマッチが発生し、手応えがなかった場合には舞対策として準備していたヴァイパーを出すつもりだったとしている。
ヤマグチ選手は2025年にZETA DIVISION移籍し、当時は練習生のような立ち位置でチームのサポート役として参加したが、チーム内の事情もあり、急遽「SFL2025(ストリートファイターリーグ)」に途中から参戦することになった。今回、「EVO Japan」の舞台で頂点に達することになったわけだが、1年間の心境の変化について聞かれたヤマグチ選手は、「SFL2025」のリーグ戦では自分の役割を果たすだけだと思っていたとコメント。また、今回の「EVO Japan」については、正直優勝できるとは思っておらず、行けるところまで行ければという気持ちだったとコメントしており、本人は「ふわっとした気持ち」という言葉を使っていたが、言い換えればこうした「気負いのなさ」が勝利に繋がったのだと思われる。
TOP8に出場した8人のフォトセッション
想定外の質問への回答に悩む場面も見られた
インタビューの間も常に笑顔で質問に対応し、フォトセッションなどでも笑顔を絶やさず、「EVO Japan」の舞台で「ふわっと」大会の初優勝を決めてしまう。そんなヤマグチ選手の今年の活躍はどのようなものになるだろうか。海外大会も含めて、今後の活躍にも期待したい。
