負傷者リスト入りもアストロズ「今井達也」の評価は下がらず…復帰後の活躍次第では「2年連続でFA市場の目玉」になる可能性
辛口の批評の本音は…
ヒューストン・アストロズの今井達也(27)が15日間のIL(負傷者リスト)入りした。球団発表によれば、「右腕の疲労」とのこと。重傷ではなさそうだが、現地の今井に関するニュースを見ていると、疑問に思うこともある。“辛口な論評”が多いのだ。
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「期待が大きかった分、初登板で結果を出せなかったのも影響しているようです。でもスプリングキャンプ中のライブBPや、オープン戦での彼の投球を見たアメリカの野球記者は彼に対する評価をむしろ上方修正しています。開幕前の恒例でサイ・ヤング賞投手の予想があります。『本命』ではないものの、大谷翔平(31)、山本由伸(27)に続いて今井の名前も予想の上位に挙げられていました」(米国人ライター)
アストロズとの契約についても、日本のファンは誤って捉えてしまったようだ。3年5400万ドル(約81億円)の契約はたしかに大型だが、米球界挑戦が正式に表明された直後、米スポーツ専門サイト「ESPN」は6年総額1億3500万ドル(約206億5500万円)で、年平均は2250万ドル(約34億4250万円)になるとも報じていた。そのため、アストロズとの契約が伝えられたときは「予想の半分以下」とガッカリさせられた。が、実はそうではなかったのだ。

「アストロズのエースで、3年連続2ケタ勝利を上げているハンター・ブラウン(27)の今季年俸は571万ドル(約8億5650万円)です。今季、今井に払われる年俸は1600万ドル(約24億円)で、それを上回る投手は、リーグを代表するクローザーのジョシュ・ヘイダー(32)と23年2月に大型契約を結んだクリスチャン・ハビエル(29)、ランス・マッカラーズ・ジュニア(32)くらいです。ヘイダーの年俸は1900万ドル(約28億5000万円)で、ハビエルは1280万ドル(約20億4000万円)、マッカラーズ・ジュニアは1700万ドル(約25億5000万円)。ハビエルは昨季、トミー・ジョン手術から復帰したばかりで、近年の故障で成績を落としています。左腕エースだったフランバー・バルデス(32)がデトロイト・タイガースに移籍してしまった。それで今井がエースとして迎えられました」(前出・同)
辛口な報道は期待の裏返し、「やってもらわなければ困る」の立ち位置にいるからでもある。また、アストロズは今井に対し、異例の譲渡も行っていた。
「メジャーリーグでは、先発投手が登板日前日にブルペン投球を行うことは滅多にありません。ただ、今井の代理人であるスコット・ボラス氏(73)は『ライオンズ時代からずっとそうして来た』と言って譲らず、最後はアストロズが折れました」(現地記者)
メジャーリーグでは「肩は消耗品」の考えが根付いている。球団は異例の調整法を認めたが、アメリカの野球記者たちは懐疑的で、「大丈夫なのか」というニュアンスで何度か紹介されてきたという。今回のIL入りでも、米スポーツ専門サイト「The Athletic」では前日にブルペン練習を行うルーティンを蒸し返していた。「異例」と言えば、こんな情報も聞かれた。
「スプリングキャンプから数えると、今の日本語通訳は3人目。日本人選手にとって、通訳は公私を支えるパートナーにもなっています。球団が交代させたと聞いていますが、こんな短期間で何回も代わるとは驚きです。今井と米メディアの質疑応答を聞いて、今井の発言のニュアンスが伝わっていないのではないかと、球団と日本語の分かる一部記者が話していたそうです」(前出・同)
スゴ腕代理人が結んだ契約
アストロズが今井を気遣っているのは「エース」としての力を存分に発揮してもらいたいからだ。そんなエース級の働きに球団が期待している件は「契約」にも表れていた。当初、日本のメディアはアストロズとの契約について「3年5400万ドル」と金額面を伝え、1年目の26年オフと2年目の27年オフ、今井側にオプトアウト(途中破棄)できる条項が含まれていることも紹介していた。
しかし、それだけではなかったのだ。今井に支払われる年俸は契約期間の3年間の均等割りではない。今季、支払われる年俸は1800万ドル(約28億円)で、2年目、3年目と増えていく内容となっているが、「5400万ドル」は総額ではなった。今季、投球回数が100イニングを超えれば、27年の年俸は2100万ドル(約31億円)で27年シーズンも100イニング以上を投げればさらに年俸が上がるインセンティブがあった。
「今井は西武ライオンズでのラストイヤーとなった25年シーズン、163回3分の2を投げています」(スポーツ紙記者)
メジャーリーグの先発ローテーション投手は年平均で90イニング半ばを投げるので、100イニング到達は決して難しいノルマではない。「5400万ドルの本契約」とは別にインセンティブが補則されたのは、アストロズが埼玉西武ライオンズ側に支払わなければならない譲渡金があったため。
100イニング到達によるインセンティブ分は、ルール上、譲渡金を割り出す計算分の対象外となる。主力選手をメジャーリーグに送り出すNPBからすれば「1円でも多く」の心境だが、メジャーリーグ球団側は日本人選手と契約するうえで大型契約を結びにくい“足枷”と捉えているようだ。この件は今後、日米で話し合わなければならないだろう。
「今井がILから復帰し、実力通りのピッチングができるのであれば、今オフ、『メガコントラクト(1億ドル以上の大型契約)』を結び直すことも可能です」(前出・現地記者)
今井のメガコントラクトを予想する声は多く聞かれた。というのも、彼の代理人であるボラス氏がその前例を作ってしまったからだ。今年1月、ボラス氏が代理人を務めるアレックス・ブレグマン(32)が、5年1億7500万ドル(約119億600万円)の大型契約でシカゴ・カブスに“移籍”した。ブレグマンは今春のWBCアメリカ代表にも選ばれ、昨季も打率2割7分3厘、本塁打18、打点62と好成績を収めている。一昨年も三塁手部門でゴールドグラブ賞を受賞するなど、攻守にわたったスタープレーヤーだが、メガコントラクトを目指して、24年オフにヒューストン・アストロズを出て、ボストン・レッドソックスと3年1億200万ドルで契約した。そして、さらに高年俸の契約を目指して25年オフに3年契約を途中破棄し、カブスにまた移った。
「アストロズは6年1億5600万ドル(約248億円)まで提示しましたが、ボラス氏が『2億ドル(約317億円)』を譲らず、破談になりました。レッドソックスとの交渉でボラス氏がこだわったのは、契約途中の1年目からオプトアウトができる条項でした」(前出・米国人ライター)
今オフFA市場の主役に?
つまり、複数年の契約中に好成績を残したら、「もっと高い年俸を出してくれる別球団を探す」交渉術である。譲渡金の足枷がなくなる今オフ、今井が「ブレグマン方式」で移籍するとも予想されているそうだ。
「今井が初勝利を飾ったアスレチックス戦で、彼の評価は上方修正されました。変化球の制球力も高く、直球の球速も変えるなどし、ストライク先行で相手打者が手を出さざるを得ない状況を作っていました」(前出・同)
その4月4日のMLB公式サイトでは、今井の投球を真横で見ていた一塁手のクリスチャン・ウォーカー(35)のコメントが掲載されていた。
「投球モーションに力みがないし、それでいて、投げるボールは鋭く、低いリリースポイント、独特なスライダー、その回転と変化には(対戦打者を)錯覚が多く隠されていると思う」
復帰後に2ケタ勝利を収めることが大前提となるが、その要素は十分に秘めている。今井が2年続けて米FA市場の主役に躍り出る可能性は高い。
デイリー新潮編集部
