そろばんを手に、生産者(手前)の参考価格を聞き取る市場職員(20日、静岡市葵区で)

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 新茶の季節の幕開けとなる「初取引」が20日、静岡茶市場(静岡市葵区)で開催され、最高値は過去4番目の1キロ・グラムあたり118万円を付けた。

 茶業関係者約500人が集まり、活発な価格交渉が行われた。遠隔地から取引できる電子入札も一部導入された。(渋谷拓海、大坪祐市)

 静岡市清水区の農家らでつくる「両河内茶業会」が出品した「高嶺(たかね)の香(はな)」が、伝統の相対取引で最高値を付けた。昨年度は88万円で最高値だったため、生産した山本賢吾会長(54)は「納得のいくお茶ができたと思っていたが、正直驚いた。今季の新茶は甘みの後に渋みが付いてくる特徴がよく出ている」と満足げだった。購入した製茶問屋「和田長治商店」(静岡市葵区)の和田夏樹社長(39)は「私が見た中で一番素晴らしかったので、見合う金額を付けた。茶葉が針のようにピンとしているので、お湯を入れるとストレスなく開く。見た目が美しいお茶は味も良い」と絶賛した。

 この日に取り扱った県産新茶の数量は1766・3キロ・グラムで、平均単価は1キロ・グラムあたり9019円だった。導入したばかりの電子入札で目立ったトラブルはなかったといい、静岡茶市場の内野泰秀社長(64)は「寒の戻りもなく順調に育ち、非常に新茶らしい出来になっている」と評価した。

 県産新茶の出荷は4月下旬から5月上旬に最盛期を迎える。

「電子入札」正式に導入

 静岡茶市場では主に「相対取引」で茶葉を売り買いしているが、20日から「電子入札」も正式に導入された。

 相対取引では、売り手と買い手、仲立人を務める茶市場職員の3者が値段を交渉する。あらかじめ売り手となる生産者と市場側で交渉開始時の目安となる「参考価格」を決め、茶商などの買い手が購入希望価格を市場職員に伝えると先着順で交渉が始まる。取引が成立すると、3者で手を3回たたいて「手打ち」となる。

 電子入札では、売り手が前日までに出品予定をシステムに登録し、当日に最低販売希望価格を決定。複数の買い手が購入希望価格を提示し、最高額を示した買い手が落札する。

 試行段階だった昨年度は投票用紙による入札で落札者を決めていたが、電子化により、茶市場に赴かなくても済むようになった。取引価格が高額になりやすいのも特徴で、茶市場としては生産者の収入増を図りたい考えだ。ただ、買い手がつかない「不落」になるおそれもある。