自責感や無力感、「回避」行動に悩んだら…トラウマ被害者が抱える症状への対処法
PTSD(心的外傷後ストレス症)は、事件や事故、災害などのつらい体験がトラウマとなって、いつまでも恐怖や不安が続き、生活に支障が出てしまう心の病気です。近年は暴力や性被害、重度の事故など、個々の事例からPTSDになることも多く、誰もがトラウマの問題と無縁でいられなくなっています。
こうしたトラウマによって引き起こされるさまざまな変化(トラウマ反応)や対処法、家族や周囲の人ができるサポート法を紹介した書籍『新版 PTSDとトラウマのすべてがわかる本』より、一部を抜粋紹介します。
回避 似たような状況をおそれ、さけようとする
事件や事故を思い出すのがつらくて、現場に行けなくなったり、当時の関係者に会えなくなったりすることがあります。「回避」という症状です。
嫌なことを「忘れよう、忘れよう」として、生活に支障が出てしまうのが、回避です。
いろいろなものをさけているうちに、行動範囲がせばまり、意欲や関心がとぼしく、いきいきとした感情がわかなくなります。
これは、再体験と並行して現れます。嫌な記憶を思い出して苦しみ、それをさけるために回避行動に走る、という悪循環に陥っていきます。
■症状)トラウマ体験に関連するものをさける
トラウマ体験のことを「もう考えたくない」という気持ちから、事件や事故に関する場所や人、もの、報道など、すべてをさけようとします。
・事故現場に行けない
・同じ交通手段を使えない
・事故についての思考を停止する
トラウマ体験に関連するものを何もかもさけるため、行動範囲がせまくなるという影響も。回避しすぎて部屋から出なくなるなど、人との交流や日常生活にも影響が出る。
・外に出るのがこわくなる
・事故の話題が嫌で人に会わなくなる
■対処法)回避しすぎないように調整する
「嫌なものはさけたい、思い出したくない」と思うのは当然の気持ちですが、度を超すと日常生活にも支障が出るようになります。
〇性被害は話すことをためらってしまう
性被害にあった人は、その体験を恥ずかしいこととして、罪悪感や自責の念を抱くことがあります。体験を思い出すのはとても苦しくつらいことでもあるため、誰かに相談したくても、性被害について話すことはためらってしまいます。また、女性なら男性がいる場所に近づけないなどの回避もみられます。
認知と気分の陰性の変化自分や人、世界に対して否定的になる
トラウマ体験による苦しみは、ものの見方や考え方に変化をもたらすため、被害者は極端に消極的、否定的になる傾向があります。これが「認知と気分の陰性の変化」です。
トラウマ体験をした多くの人が、体験によって自信を喪失し、ものの考え方がネガティブになります。
自分に対して否定的になり、自己評価も下がります。
例えば、性暴力の被害にあった人が「自分は汚れてしまった」と考えたり、家庭内暴力を受けた人が「自分が悪い」という思いにとらわれたりします。
また、周囲の人との間に溝を感じ、何事に対しても消極的で、投げやりな態度をとるようにもなります。
考え方や感じ方が以前とはすっかり変わってしまい、消極的、否定的になったり、自暴自棄になったりするのは、トラウマ反応によるものです。
治療によって変えられると理解することが大切です。
■症状)自責感や無力感、自信喪失に悩む
事件や事故にあったことに対して、罪悪感や恥辱感に苦しみます。自分には責任がない場合でも、「違う行動をしていたら」と責任を感じます。
・私が悪かったと自分を責める
・自分はだめな人間だと感じる
・未来に希望がもてない
・自信を失い消極的になる
自分自身を否定するようになり、次第に自己評価が下がるなどの影響が。生きる目標や気力を失い、自暴自棄になったりする。
・投げやりな生き方になる
・自殺を考える
■対処法)対話を通じて認識をあらためる
ひとりで悩んでいると、考えが悪い方に向かってしまいがちです。信頼できる人と話をして、意見を聞いてみましょう。周囲の人は、積極的な対話を心がけてください。
