相場展望4月13日号 米国株: トランプ氏はイラン攻撃で「強い米国大統領」を浸透できるか? 日本株: イラン攻撃以降、日経平均は大幅上昇・NYダウは下落と大きな相違に注目
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/09、NYダウ+275ドル高、48,185ドル 2)4/10、NYダウ▲269ドル安、47,916ドル【前回は】相場展望4月9日号 米国株: 米国・イランの一時停戦は「もろい休戦」で、市場は好感し過ぎ 日本株: 日経平均大幅高も、インフレ・経済後退で、株高継続は不透明
●2.米国株:トランプ氏のイラン攻撃の狙い「強い米国の大統領」を米国民に浸透できるか?
1)NYダウは。イランとの停戦交渉を好感し4/8〜9で+1,600ドル高 ・4/08 +1,325ドル高 : 米国とイランとの一時停戦交渉を好感し株高。 4/09 + 275ドル高 : イスラエルとレバノンの対話に期待感。 4/10 ▲ 269ドル安 : イランとの交渉を前に様子見姿勢強まる。2)米国・イランの一時停戦で、NYダウは4/8⇒4/9で +1,601ドル高・+3.43%上昇 ・停戦合意の前日から4/10までの推移 4/07 46,584ドル : 停戦合意の前日 4/09 48,185 4/10 47,916 ・ただし、停戦合意どころか、破談となる可能性を秘めている。
3)トランプ氏のイラン攻撃の狙いは「強い米国の大統領」を米国民に浸透させ、11月中間選挙での共和党の圧勝を狙ったもの ・イラン攻撃で、ホルムズ海峡封鎖されWTI原油先物価格が上昇し、米国内のガソリン価格急騰するとトランプ氏は考えてもいなかったと推測する。 ・米国内ガソリンの価格は1ガロン=4.11ドルまで上昇し、イラン戦争前と比べて、約38%上昇し、実体経済・家計への圧力を強めている。州別では4/11:カリフォルニア州5.34ドル、ワシントン州4.72ドル。ホワイトハウス報道官は4/10「ガソリン高騰は一時的で、イラン攻撃前よりもさらに低い水準まで下落するのを目にする」と約束した。
・イランは米国軍の激しい攻撃で、即時に降伏すると信じていたと思う。 ・ところが、イランの執拗な反撃と長期化、ホルムズ海峡封鎖による原油価格の高騰が長引くとは思ってもいなかった。イラン国内の反体制派が政権打倒に立ち上がると安易に期待していた。トランプ氏と政権は、イラン国内の反体制派蜂起の仕掛けもしてこなかった。
・トランプ氏は4/11、「米国はイランを軍事的に打ち負かした」と主張し、「合意が成立しようがしまいが、私にとって差はない」と述べた。
・米国・イランとの合意は難航、むしろ米国の焦りが色濃い。このような状況では、イランは高みの見物とする可能性が濃厚。
・トランプ氏と政権の考えること成すことすべて「粗雑」&「自己中心」。そのようなトランプ氏を米国大統領に選んだのは米国民である。最終的な損失は、米国民が負担することになる。
4)イラン攻撃の戦果、(1)トランプ氏は失うものが多く、(2)イランは少ない (1)トランプ氏が失うもの 1. イラン攻撃で、米国が得られるものはあったのか? ・ロシアのプーチン氏のウクライナ侵攻と同じことを実行した。 ・米国が得られるものは、ガソリン価格高騰で家計負担増とインフレ増。トランプ氏は、プーチン氏よりも少ない成果しか得られない。イスラエルのネタニヤフ首相に引きずられたとしたら、滑稽。 2. 11月中間選挙でトランプ共和党は議会選挙で敗北。 ・レイムダック化の進行。 ・議会から違反行為で追及と訴追。「大統領罷免」が議会で浮上する恐れ。
3. 米国を中心とした同盟諸国との信頼に亀裂。 ・特に、NATO諸国・欧州連合(EU)との信頼感が傷つき米国離れを加速。
4. ロシア、イスラエル寄りの政策が鮮明化し、西側諸国の懐疑を深める。
5. 米国の財政赤字急膨張、貿易赤字拡大。 ・軍事費の急膨張で財政赤字は増大。 ・輸出増大・輸入の顕著な現象はみられず、貿易赤字は拡大。
6. ガソリン価格の急騰で、米国内インフレの急拡大⇒中間選挙では支持率減 ・相互関税の憲法違反で返金するが、インフレ加速の貢献は止まらず。 ・ガソリン価格の高騰は、家計・企業業績を直撃。
7. トランプ氏の右往左往ぶりを世間に晒したため、指導力に陰り。
(2)イランが失うものは少ない 1. イランは、米国陸軍のイラン侵攻を待っている。 ・米国陸軍のイラン侵攻となれば、ベトナム戦争・アフガニスタン侵攻の二の舞となる可能性が高い。 ・トランプ氏はそれが敗戦につながることが分かっている。米国民は、イランとの戦争を望んでいない。 2. イランは、米国民の気持ちを分かっているため、持久戦に持ち込むと勝てると信じている。
(3)イラン体制派は、米国の攻撃が挙国一致につながると受け止めている。
5)米国株式市場は、イラン攻撃で米国がダメージを受けることが分かっている (1)NYダウの推移 イラン攻撃前 1/27 49,003ドル 攻撃後 4/10 47,916 差異 ▲1,087ドル安 ▲2.21%安 (2)米国が受けるダメージ ・ガソリン価格の急騰で、米国経済と家計が苦しくなる。 ・インフレ増と金利上昇、米国政府の財政赤字拡大と苦難が待ち受ける。
●3.バンス米国副大統領、イランとの協議「合意に至らなかった」「米国に帰る」(読売新聞)
1)米国が求めたホルムズ海峡の「即時開放」と核開発放棄を、イランが拒否。空爆被害の賠償や、資産凍結解除は、米国が拒否。●4.トランプ大統領「24時間で判断」、イランにホルムズ海峡開放要求、攻撃再開も示唆(FNN)
●5.米国3月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.3%上昇、2024年以来の高い伸び(ブルームバーグ)
1)イランとの戦争でガソリン価格が急騰したことが背景にある。 2)食品とエネルギーの除くコア指数は前年比で+2.6%上昇、予想は+2.7%だった。 3)エネルギー価格の上昇にとどまらず、肥料供給の混乱はいずれ食料品価格の上昇につながると見込まれるほか、輸送コストの上昇も幅広い消費財に影響を及ぼす可能性がある。●6.停戦合意後ホルムズ海峡を通航したのは3隻のみ、いずれもイランと関係がある船舶(FNN)
●7.イスラエルのネタニヤフ首相の汚職裁判4/12に再開、非常事態宣言解除で(ロイター)
1)ネタニヤフ氏は2019年に収賄や詐欺、背任の罪で起訴された。本人は否認している。公判は2020年から始まり、実刑判決が言い渡される可能性もある。 2)ネタニヤフ氏はイスラエル大統領に対し恩赦を求めている。トランプ米国大統領も恩赦を認めるように要求している。 3)ネタニヤフ氏は、汚職事件のほか、2023年11月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃を受けて、国民の支持は低迷している。今年10月に予定される総選挙では、ネタニヤフ氏が率いる右派連立政権は敗北を喫するとみられている。 4)イスラエルは停戦合意後もレバノンへの攻撃を続けており、米国・イランの合意は崩壊の危機に瀕している。●8.FOMC議事要旨、インフレ減速なら利下げ適切、中東混乱の評価「時期尚早」(moneyworld)
●9.欧州の米軍基地で1カ所閉鎖の可能性、トランプ政権がイラン軍事作戦に非協力的な国から撤退検討か(読売新聞)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/09、上海総合▲28安、3,966 2)4/10、上海総合+20高、3,986■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/09、日経平均▲413円安、55,895円 2)4/10、日経平均+1,028円高、56,924円●2.日本株 : イラン攻撃以降、日経平均は大幅上昇・NYダウは下落と、大きな相違に注目
1)イラン攻撃以降、日経平均は大幅上昇・NYダウは下落と、大きく相違する展開 ・日経平均とNYダウの推移 日経平均 NYダウ 1/27 53,358円 49,003ドル : イラン攻撃前の株価 4/10 56,924 47,916 差異 +3,566円高 ▲1,087ドル安 : イラン攻撃後の株価 +6.68%高 ▲ 2.21%安2)日経平均は、海外短期筋の爆買いですっ飛んだことの「危うさ」を含む
3)4/10、日経平均は+1,028円高と大幅高したが、内容は不安定さが目立つ ・日経平均は+1,028円高と大幅高したが、 ・寄与上位3銘柄だけで+958円高・寄与占有率は93.19%だった。 なお、寄与上位5銘柄の状況は下記の通り。 ・ファーストリテイ +651円高 東京エレクトロン +186円高 フジクラ +121円高 ファナック +59円高 キオクシア +57円高 合計 +1,074円高
・内容は不透明感が満載 ・値上がり銘柄数は469、しかし値下がりは1,050と値下がりが多数。 ・その構成は、値上がり銘柄 29.7% 値下がり銘柄 66.5% ・株価指数別にみると、日経平均の上昇率だけが際立っている。 日経平均 +1.84%高 TOPIX ▲0.04%安 JPX日経400 +0.05%高 JPX250 +0.55%高 東証プライム ▲0.04%安 東証スタンダード▲0.30%安
4)今後の日経平均は上昇の反動安が見込まれる ・海外短期筋の買い主導で、日経平均が大幅上昇してきた。ただ、NYダウはイラン攻撃前1/27⇒4/10間はマイナスとなっている点に注目する必要がある。 ・海外短期筋の利益確定売りの動向に注視したい。
●3.良品計画、海外で成長加速、売上高1兆円へカウントダウン(WWDJAPAN)
1)2026年8月通期を上方修正。営業収益は前期比+13.0%増の8,870億円、営業利益は前期比+20.5%増の890億円。●4.ラピダス、経産省は量産への開発強化に向け6,318億円追加支援、累計は2兆4,540億円(時事通信)
●5.ユニクロ好調、中東情勢影響は限定的、利益予想を上方修正(FNN)
1)2025年9月〜2026年2月決算予想、売上2兆552億円・前年同期比+14.8%増、最終利益+2,792億円・前年同期比+19.6%増、過去最高を更新した。■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・掲載なし執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
