Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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(アメリカ トランプ大統領)
『ホルムズ海峡の“完全かつ即時、そして安全な開放”に同意することを条件として、私はイランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する』

停戦か、戦闘継続か。日本時間の8日午前9時の交渉期限が迫っていた中、急転直下で決まったアメリカとイランの停戦合意。

2月28日にアメリカとイスラエルによる軍事作戦が始まってからイランによる報復攻撃は、中東の他の国々にもおよび、戦闘は泥沼化していました。

交渉期限が迫る中トランプ大統領は…。

(アメリカ トランプ大統領)
『今夜イランのすべての文明が滅び、二度とよみがえることはないだろう』

「合意できなければ発電所などを攻撃する」とイランに圧力をかけました。

ただ、アメリカのニュースサイト・アクシオスによると、この投稿が行われたときには、すでに水面下で停戦交渉が進んでいたといいます。

動いたのは、アメリカのバンス副大統領。仲介役を務めるパキスタン側と電話でやりとりを続けていました。その後シャリフ首相は、SNSでアメリカとイランにこう呼びかけます。

(パキスタン シャリフ首相の投稿)
「我々は、この地域の長期的な平和と安定のため、外交によって戦争の完全な終結を実現できるよう、すべての戦争当事者に対し、あらゆる場所での2週間の停戦を順守するよう強く要請する」

この投稿後すぐにトランプ大統領のもとには、アメリカの同盟国などから要請を拒否するよう求める電話やメッセージが届きました。

複数の関係者は、トランプ大統領は停戦の提案を拒否するだろう、と信じていたといいます。ところが周囲の予想に反して、停戦合意に応じたトランプ大統領。SNSに、停戦に合意したことを投稿する直前、トランプ大統領は電話でイスラエルのネタニヤフ首相から「停戦を順守」するという確約を得たといいます。

対して、ネタニヤフ首相は、アメリカがイランに対して、・核物質の放棄・ウラン濃縮活動の停止・弾道ミサイルの脅威の排除。これらを強く求めるという確約をトランプ大統領から得たということです。

こうした水面下での動きを知らないアメリカ軍。トランプ大統領が言及していた大規模爆撃に向けた準備を進めていました。

(アメリカ国防総省 関係者)
「何が起きるかまったく見当がつかなかった。まさに混沌としていた」

しかしトランプ大統領がSNSに停戦合意を投稿した15分後、「活動停止」の命令を受けたということです。

一方、イラン側のキーパーソーンとなったのが、最高指導者のモジタバ・ハメネイ師です。

今回、停戦合意に向けて直接指示をしていたといい中東の情報筋は…。

(中東の情報筋)
「彼のゴーサインがなければ合意は成立しなかっただろう」

イスラエルによる暗殺の脅威にさらされるなか、伝令をつかって指示を出していたといいます。

また、トランプ大統領は、中国が関与していたことを示唆しました。

(アメリカ トランプ大統領)
『中国がイランを交渉の席に着かせ、停戦合意に導いたと信じている』

ただ、両国の間には、大きな隔たりが残っていて、アメリカ側は…。

(アメリカ トランプ大統領)
『完全な勝利だ。100パーセン トだ。疑いの余地はない』

イラン側も…。

(イラン側)
「犯罪国家であるアメリカに歴史的な勝利をおさめた」

どちらの国も勝利を主張。また、停戦に向けてイランがアメリカに提示したという10項目を巡っても…。

アメリカが、イランを再び攻撃しない保証やイランによるホルムズ海峡の管理の継続。ウラン濃縮活動を容認することなどが挙げられていますが、アメリカ側は…。

(アメリカ トランプ大統領)
「交渉の現実的な基盤になる」

との評価にとどまった一方で、イラン側は…。

(イラン側)
「アメリカがこの条件をすべて受け入れた」

と主張しています。

この双方の主張の食い違いとイスラエルの動きが、合意そのものを不安定なものにしています。

イスラエルは8日、イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対し大規模な攻撃を行いました。レバノン当局によりますと、8日だけで少なくとも254人が死亡したということです。これを受け、イランは停戦の対象にレバノンも含まれるとして非難しています。

また、ガリバフ国会議長は8日、アメリカとの停戦合意の枠組みとなる10項目のうち、3つの項目で違反があったと声明を発表。

イスラエルによるレバノンへの攻撃に加えて、停戦発表後もイランの領空に無人機が侵入したこと、そしてトランプ大統領がイランのウラン濃縮の権利を否定したことの3つを挙げています。ガリバフ氏はこのような状況では、双方による停戦や交渉は厳しいと非難しています。

一方、アメリカのトランプ大統領は8日、 SNSでイランの核開発を巡り、「ウランの濃縮は行われない」と強調したほか、ホワイトハウスのレビット報道官も会見でレバノンへの攻撃停止は、停戦合意に含まれないと明言するなどイラン側の認識と食い違っています。

こうした中、焦点のホルムズ海峡を巡り、イランの革命防衛隊は9日、「イスラエルによるレバノン大規模攻撃を受け、ホルムズ海峡を通る全ての船舶の航行は停止した」とSNSに投稿しました。

船の位置情報を可視化したサイトマリントラフィックによりますと、現在もほとんどの船がホルムズ海峡を通過できていないものとみられます。ウォール・ストリート・ジャーナルは8日、イランがホルムズ海峡を通過できる船舶の数を1日当たり約12隻に制限し、通航料を徴収すると仲介国に伝えたと報じました。

トランプ大統領はホルムズ海峡の開放を停戦合意の条件にしていて、アメリカとイランの1回目の協議がパキスタンで現地時間の11日に行われる予定ですが、先行きは不透明です。

そうした中、8日夕方、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談を行った高市首相。9日に開かれた衆議院本会議で、会談の内容について問われました。

(高市首相)
「事態の早期鎮静化が何よりも重要だということを始めとする我が国の立場を伝えた。イラン米国の発表を前向きに、最も重要なのは事態の沈静化が実際にはかられるか。合意に早期に至ることを伝えた。ホルムズ海峡は物流の要衝。国際公共財であることを就てて船舶の航行の安全確保を求めた」

”停戦”してもなお、先行きが不透明な中東情勢の行方。私たちの暮らしへの影響は今後どうなっていくのでしょうか。

(スタジオ解説)

(徳増 ないる アナウンサー)
お伝えしていますように、停戦合意後も先行きが見通せない状況が続いています。そして、そんな中、高市首相は8日、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談をしました。青山さん、この日本の動きはどう見ていますか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
アメリカのイラン攻撃が始まってから、高市さんの頭の中は、アメリカとどう向き合うかでいっぱいだったと官邸の関係者は証言してるんですね。日米首脳会談が予定されたということもあります。イラン攻撃は国際法上の問題もあって、日本は、支持するとは、はっきり言えないし、戦闘状態の中では自衛隊は派遣できないけれども、トランプ大統領との関係を維持するにはどうしたらいいか。そういったことで、ここまで日米関係の維持に注力してきたんだけれども、一方で日本はイランと歴史的に一定の関係を持ってきたので、「高市総理はイラン側とも話すべきだ」という意見は官邸の内部にもありましたし、自民党の中からも声が上がっていたんですね。そうした状況の中でようやくここに来て原油の安定的な確保を考えると、ホルムズ海峡を実質的に握っているのはイランですし、イランとの関係をきっちり繋いでいくことは大事だということに…高市首相もようやく納得して、重い腰を上げた。そしてちょっと遅きに失したけれども、ペゼシュキアン大統領との電話会談が実現したというのが、きのう(8日)ということなんです。

(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
青山さん、この停戦合意なんですけれども、私は、もっとしっかり評価すべきだと思うんですね。確かにこの先どうなるか分からないですが、例えばユニセフはまさに「停戦すべきだ」ってずっと言ってきた。その理由は、この戦闘が始まってから分かっているだけで1100人以上のお子さんが死傷、けがをしたり亡くなったりした。イラン、レバノン、イスラエルでも亡くなっています。これは、3月11日の公式データで…そこから1か月ぐらい経っているので、もっと増えているはずなんですね。世界中、どこを見ても、大人の都合で罪のない子どもを殺していいというルールはないはずなんですよ。私はその一点をとっても、停戦は評価すべきだと思います。ただし、これがそのまま本当に戦闘終結につながっていくのか、また戦闘が再開してしまうのか…これ見通しとしてはありますか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
見通しについて語るのは非常に難しいですよね。私も停戦は間違いなく平和への第一歩ですので、停戦があって協議が始まるという順番ですので、評価すべきだと思いますが、きょうも明らかになっているように、一筋縄ではいかない。まずアメリカとイスラエルの間に考えの温度差があるんですね。イスラエルはイランの体制を潰したいですし、レバノンのヒズボラにも攻撃を続けたい思いがあります。それに対してイランは反発して、またホルムズ海峡を閉鎖するという話に、たった1日で戻ってしまった。この温度差をトランプさんがどうコントロールしていくのか。あと休戦条件の溝をどう埋めるのか。そしてイラン側も、中国などもイラン側に自制を求めたようなので、そういった周りの力も含めて、どう妥協していくのか
。あと、日本がそこでどういう役割を果たせるのかが、今後、私は焦点だと思います。

(徳増 ないる アナウンサー)
(日本の)存在感を示していってほしいなと…本当に思いますが…こちらはイランの10項目の提案ですが、続いてこちらなんですけども。ホルムズ海峡の開放も、今どうなるかわからない状況の中で、高市首相は、7日にこのように述べました。「備蓄放出量を抑えながらも、年を越えて石油の供給を確保できるめどがついた」と話しているんですが、原油の調達先の確保について日本の動きはいかがでしょうか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
高市さんは、原油の供給が確保できなくなると、「ガソリンを使い控えしましょう」。そして、電気に関しても「節電しましょう」などと呼びかけざるをえなくなるわけです。そうすると、どうしても日本経済が停滞してしまうわけです。これは、経済に最も力を入れて「日本列島を強く豊かに」と言ってきた高市さんとしては、絶対に避けたいんですね。なので、この原油の供給の確保については、赤澤さんを担当相に任命したりして総力を挙げてやってきたんですね。そしてようやく来月、5月ぐらいには、今まではホルムズ海峡を通る原油が9割だったのが…残りの1割だけじゃなくて、5割から6割ぐらい確保できるめどをつけたということです。これは私は迅速だったと思うんです。ただ一方で、これも結構、中東に依存していて、例えば紅海に向けたパイプラインを通じて、ホルムズ海峡を通らないで…裏からタンカーを回していくとか。あと、ホルムズ海峡の「角」になっている部分をショートカットしてですね、ここから外の海に出すというルートも入っているんです

(徳増 ないる アナウンサー)
パイプをつなげるということですか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
パイプラインを一から作るのではなく、今あるものをさらに拡充するということなんですけれども…ただもしまた戦闘が始まっちゃうと、こういったパイプラインが、攻撃対象になる可能性もあって、依然不安定なところもあるんです。高市さんとしては一定量の原油を確保して備蓄も少しずつ放出しながら「少なくとも年内は大丈夫、今まで通り経済活動をやってください」と言いたいんですけれども…、不安定な状況が続くとどこかで節約や行動変容に舵を切らなきゃいけないかもしれない。原油を万が一にも枯渇させるわけにはいかないので、高市さんにとって非常に難しい政治判断になると思います。

(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
備蓄が足りてるのか足りてないのか専門家でも意見が分かれるんですが、これはどのように解釈すればいいですか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
備蓄は250日しかないので、8か月で終わっちゃうんですね。ただ、供給量を一定割合確保していくことで、備蓄を長く延ばすことができる。だから、供給量をどの程度確保できるか…。あとは結局ホルムズ海峡の開放がいつ実現するのか…。一種の「チキンレース」になっているということなんです。

(徳増 ないる アナウンサー)
予断を許さない状況が続いています。平和を願うことはもちろん、静岡にいる私たちの生活にも密接に関わる問題ですので、今後も、しっかり注視していきたいと思います。