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みなさんは、旅行先で「宿泊税」を支払った経験はありますか?
一部の自治体で旅館やホテルなどに宿泊する際に課税されるものです。東京や大阪・京都など、特に多くの人が訪れる観光地では、以前から導入されていましたが、今、導入する自治体が相次いでいます。

【写真を見る】【どうなる宿泊税?】倉敷市や岡山市も導入を検討 納得できるかたちを見出せるか 課題と効果は【岡山】

そして、岡山県でも現在、岡山市と倉敷市で検討が進められているんです。各地で急速に導入が進む宿泊税。その効果と課題について考えます。

有数の観光地「美観地区」がある倉敷市でも導入を検討

岡山県内屈指の観光地・倉敷美観地区。春の陽気も感じるようになり、多くの観光客が訪れています。

(広島から)
「外せないですよね。倉敷は」

(アメリカから)
「本当に美しい」

(兵庫から)
「楽しい」「すごくきれいなのでこれからいろいろ回って楽しみたいです」

「宿泊税」導入を検討中

情緒あふれる白壁の町並みを有する倉敷市ではいま、新たな税の導入が検討されています。それが「宿泊税」です。

宿泊税は、一部の自治体で旅館やホテルなどに宿泊する際に課税される地方税です。

2002年に東京都で初めて導入されて以来、今では全国で約50の自治体が導入済み、または導入予定。多くが税額を1泊1,000円以下に設定しているなか、京都市では…。

(松井孝治 京都市長)
「負担能力に応じた負担をいただくために最高税額を1万円とさせていただいた」

京都では宿泊料金が1人あたり10万円以上の場合、宿泊税1万円

今月から1人あたりの宿泊料金が10万円以上の場合、宿泊税を1泊1万円徴収しています。主な使い道は、文化財の保全や、受入環境の整備などです。観光振興のための大きな財源として、各地で導入が相次いでいる宿泊税。

倉敷市では、昨年11月に検討委員会を立ち上げ、導入について議論を重ねています。

(倉敷市観光課土井春美課長)
「観光振興や来訪者の受け入れ環境の整備をもっと進めていく必要があるということで、新しい財源の検討で今回諮問することになりました」

宿泊税 いくらまでなら許せる?

宿泊税について観光客は…。

(茨城から)
「きちんと有効に活用してもらえれるのであれば、問題ないかなと思います」

(茨城から)
「正直旅行している時はお金を気にしていたらもったいないのでちょっとぐらいならいいかなと思います」

(福岡から)
「500円ぐらいなら、3桁。2000円くらい取られたらちょっと、えー…となるけど、3桁くらいなら導入すればいいと思います」

一方で…

(埼玉から)
「できれば…何回も来たいので安くしてもらえると」

(千葉から)
Q.宿泊税何円くらいまでなら許せる
「それはゼロのほうがうれしいですけどね。500円以内だったら。1000円とかになると『ご飯食べにいけるかな』となる。何もないところに宿泊税がかかっていたら何に使っているんだろうと気になります」

一方で受け入れ側には不安の声も

倉敷市が来訪者を対象に実施したアンケートでは、約8割が300円以内であれば「支払っても良い」と回答しています。しかし、観光客をもてなす人たちからは、不安の声も聞かれました。

(くらしき川舟流し船頭 小林卓郎さん)
「観光客相手だとあまり歓迎はしない制度じゃないかと思いますけど、やむを得ませんよね」

(つねき茶舗 恒枝信雄さん)
「来る人にマイナスにならなければいいですが…。やっぱり行ってみたいなという気持ちが起こるようなアピールできるものがあるといい」

宿泊施設は…

(倉敷国際ホテル宿泊部 桑原猛部長)
「正直ちょっと複雑な心境といいますか。これからどうなっていくのかなという思いでいます」

美観地区のすぐ近くにある倉敷国際ホテルです。多い時には1日に約100組が宿泊するため、宿泊税が導入されれば税の徴収や説明など、フロント業務の負担が大きいといいます。

(倉敷国際ホテル宿泊部 桑原猛部長)
「やっぱりひと手間というところがあるので、そこをどうやってうまく宿泊客の負担にならないようにしていくかを今後社内でも共有していかないといけないかなと思います。シンプルなかたちというか分かりやすい制度であればより伝える側も説明しやすいのかなと思います」

クレカや2次元コードでの支払いの場合 宿泊税徴収はより複雑に

また、130年以上の歴史を誇るこちらの旅館では、税の徴収方法について懸念しています。

(吉井旅館女将 永井圭子さん)
「うちはクレジットカードの事前決済が8割5分ぐらいです」

今やキャッシュレス決済が主流となっている中、宿泊税が導入されると…

(吉井旅館女将 永井圭子さん)
「事前決済しているのにチェックアウトの時に宿泊税だけ現金でくださいというのはなかなか言えません」

そのため、宿泊税を宿泊料金に含めて事前に徴収するということです。ただ、大部分を占めるクレジットカードや2次元コードでの支払いは、間に別の会社が入るため旅館には宿泊料金から3%程度の手数料が差し引かれた金額が入ります。

宿泊税として受け取る金額もその分、少なくなるため、市に納めるときには手数料分を実質、旅館が負担することになるといいます。

(吉井旅館女将 永井圭子さん)
「やっぱり税金なので、それを宿泊事業者が宿泊客の税金を負担するというのは何かおかしいような気がします」

市の旅館ホテル組合は今月(3月)17日、市に宿泊税の使い道や事業者の事務負担軽減などについて、慎重な議論を求める要望書を提出。先週開かれた3回目の検討委員会では、この要望などを踏まえて使い道の方向性や、事業者の事務負担に対する交付金などについて話し合われました。

(倉敷市宿泊税検討委員会 古谷雅彦会長)
「やはり税(の支払い)をお願いする、あるいは税の徴収の負担をお願いするそのために丁寧な議論は大事なことだと思います。倉敷市における宿泊税の姿を示していくというのがポイント」

税の使い道の議論も含めて納得できるかたちを

では、導入が決まった際、どのような活用が有効なのでしょうか。市の試算では、1泊一律200円を徴収した場合、年間約1億8000万円の税収を見込んでいます。

ただ、観光まちづくりに詳しい専門家は、従来の観光関連の予算の一部に置き換わるものとしてではなく、プラスアルファのものととらえるべきだと忠告します。

(岡山理科大学経営学科 鷲見哲男教授)
「今までやってきた観光振興や地域の整備という部分の予算が付け替えられるという形になってしまうとそれはたぶん意味がない。新しい観光=“持続可能な観光・観光地域”という言葉がありますが、その持続可能性を求めていくために宿泊税の財源を投下していく。今までの延長線ではなくて『違うことをやるんだ』ぐらいのイメージを地域の人が持つことが必要だと思います」

ビジネス利用も多い 税金をどう使う?

検討委員会では今後、使い道などについて市民からの意見聴取も実施する予定で、今年7月までに、導入の是非について結論を出す方針です。

(倉敷市観光課 土井春美課長)
「倉敷市は観光をはじめ、ビジネスの方も多く訪れています。来訪者にとって訪れたいなと思ってもらったりこういうところで暮らしたいなと思ってもらうためにもっと市の魅力を今まで以上に高めていく」

(吉井旅館女将 永井圭子さん)
「まだまだ観光客に来てもらいたいというのが宿泊事業者の思いです。県外から観光客が来て泊まってもらえるような魅力ある倉敷になってもらいたい。そのために税金をどのように使うかというのを考えてほしい」

倉敷市は来月(4月)、宿泊事業者を対象に進捗状況などに関する説明会を実施するとしています。市民、観光客、そして事業者、すべてが納得できるかたちを目指して、議論が続きます。