新選組入隊?闇バイト参加? 133冊の資料から幕末期の ”かけおち”=逃亡の理由が分かってきた 熊本大学の研究発表
熊本大学永青文庫研究センターの今村直樹准教授が幕末期の欠落(かけおち)=無届けでの逃亡・失踪・移住について分析したところ、いろいろなことが分かったといいます。
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欠落(かけおち)とは、男女で逃げる「駆け落ち」も一部含まれてはいますが、ほとんどは悪事や貧困などを理由に逃亡することを指します。
なぜ欠落したのか、欠落した後はどのように暮らしていたのか、現代にも通じる様々な事情があったようです。
とにかく分厚い資料から分かったこと
2023年度から今村准教授が研究を進めてきたのが細川家文書「口書(くちがき)」です。主に庶民を対象とした、犯罪や事件の容疑者の供述調書のことです。
犯罪や事件に至る経緯、心情、周囲の関係などが詳細に記されていて、情報量はかなり豊富だそうです。
熊本大学永青文庫研究センター 今村直樹 准教授「とにかく分厚い。2000ページあるものもあり、分厚いんです」
全部で133冊ある「口書」のうち、幕末期にあたる10冊を分析したところ、さまざまな欠落者(かけおちもの)=失踪者の事情が分かってきました。
失踪の理由は現代に通じる?
幕末期には、武家奉公人=庶民出身で武士に雇われている人々が京都で欠落することが急増していました。
これは、朝廷から京都を守るよう命じられた熊本藩が、多くの武士を京都に派遣し、その従者として多くの武家奉公人が京都に行ったためです。
欠落の理由は様々です。
熊本大学永青文庫研究センター 今村直樹 准教授「京都の藩邸の門限に遅れた、遅刻してしまったとか、問題を起こして故郷の家族や親族に合わせる顔がないから欠落するという事例が非常に多い」
外出先で泥酔して門限に遅れたり、京都での生活で散財して借金を重ねたり、だらしない理由での欠落も多いようです。
一方で、「江戸に行けば武士になれる」と知人から誘いを受け、武士を目指して出奔した人もいました。
熊本大学永青文庫研究センター 今村直樹 准教授「うまい話には何か問題があるというが…実は強盗集団の仲間集めだった。今でいう闇バイトに通じる問題があるのかなと」
‟かけおち”して相撲取り?新選組?
欠落者の多くは、日雇い稼ぎで生活しますが、中には、珍しい職につく人もいました。
「角力取之弟子(すもうとりのでし)」
相撲取りに弟子入りし、稽古に励んだそうです。
「両人共ニ新選組(りょうにんともにしんせんぐみ)」
なんと新選組に入隊していたのだとか。実際にそうであれば、武士としての性質や政治集団としての側面が注目される新選組に「非政治的な欠落者」が含まれていたことになります。
今村准教授は、幕末期の欠落者の実態を明らかにすることで、当時の政治状況が彼らと深く結びついていたことが見えてきたといいます。
熊本大学永青文庫研究センター 今村直樹 准教授「政治や国が変わるなかで、否応なしにその影響を受けて、人々の生のあり方も左右されることも側面。幕末維新の変動に巻き込まれた人々の姿に思いを馳せてもらえれば」
