(左から)岸井ゆきの、ツェン・ジンホア

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 岸井ゆきのとツェン・ジンホアがW主演を務める日台合作映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』が6月26日より新宿バルト9、シネスイッチ銀座ほかで全国公開されることが決定した。

参考:岸井ゆきのの“語らない”芝居の魅力 『恋は闇』で恋愛に振り回される役をどう演じる?

 原作は、第58回谷崎潤一郎賞(中央公論新社主催)を受賞した吉本ばななの短編小説集『ミトンとふびん』に収められた一篇『SINSIN AND THE MOUSE』。最愛の母を失った主人公・ちづみが、旅先の台北でシンシンという男性に出逢い、喪失感の中で再生していく姿を描いた物語だ。金馬映画祭 Film Project Promotion(FPP)部門優秀企画に選出され、日本と台湾の合作で映画化が実現した。監督・脚本を務めるのは、『ボクは坊さん。』『すくってごらん』の真壁幸紀。真壁監督は「是非、小さな音、声まで体感してもらえたら」とコメントを寄せた。

 本作は、先日までスコットランドで開催されていた第22回グラスゴー映画祭でワールドプレミア上映され、チケットは発売早々に完売。映画祭に参加した真壁監督は「原作が持つ普遍性、キャストのお芝居は、国や世代を超えて、観客の心を揺さぶっていました」と上映を振り返った。

 主演を務めるのは、『佐藤さんと佐藤さん』などの岸井と出演映画が連続で興行収入1億台湾ドルを突破した台湾人俳優のツェン・ジンホア。

 映画公開にあたり、岸井は「ほんとうに大事なことはきっと誰もが知っているけれど、教えてもらうのはあなたでなければならないって時が、人生にはあるのだと思う」と作品を通して、自身の思いを明かし、「ちいさくてあたたかくてやさしい映画です。ぜひスクリーンで観てくださいね」とコメントを寄せた。また、日本語での演技初挑戦となったツェン・ジンホアは「台北は私にとってとても馴染みのある場所ですが、この映画の中で描かれている台北は、これまでとは異なる感覚や視点があり、とても新鮮に感じました。初めて日本語に触れ、大きなスクリーンの中で自分が日本語を話している姿を見たときは、その体験に不思議な気持ちが湧くと同時に、深く感動しました」と映画を観た印象を明かした。

 そして、本作の公開を記念し、ジャパンプレミアの開催が決定。ツェン・ジンホアが来日し、岸井、真壁監督とともに舞台挨拶に登壇する。

コメント吉本ばなな(原作)その瞬間  吉本ばななねずみ、じゃなくてちづみ役の岸井ゆきのさんがあまりにも美しく、どの表情も見逃せず、まるでこちらが恋をしているような気持ちになった。今の年齢の彼女をこんなにも美しく撮って残すことができるなんてすばらしい。恋に落ちていくときの独特の集中力をリアルに感じた。その中では音がとても重要な要素であることも。原作者が言うのもなんだが、「おい君、確かにたいへんだったがいつまでもくよくよしてないで飯食って寝ろ」と言いたくなるような話ではある。でも、人間にはそうやってくよくよしている時期が必ずあるのではないだろうか。何をしていても死んだ親しい人のことを思ってしまうときが。ずっと目に涙がたまっているような時期が。その中に彗星のように現れる新しく無邪気なトラウマ爆発美青年の勢い。彼に心が貪欲に集中していくこと。立ち直りの瞬間を描いた美しい映画だった。

岸井ゆきの(ちづみ役)ほんとうに大事なことはきっと誰もが知っているけれど、教えてもらうのはあなたでなければならないって時が、人生にはあるのだと思う。私は自分の足りないところばかりが目に付いて、ちょっとした長所も見失うことがありますが、たとえ自分が好きな自分じゃなくても、そばにいてくれるひとの言葉や温度をちゃんと見つめることが出来れば、それさえ出来ればきっと大丈夫なのだと思えた撮影期間でした。ちいさくてあたたかくてやさしい映画です。ぜひスクリーンで観てくださいね。

ツェン・ジンホア(シンシン役)『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』の撮影に参加できたことをとても嬉しく思っています。台北は私にとってとても馴染みのある場所ですが、この映画の中で描かれている台北は、これまでとは異なる感覚や視点があり、とても新鮮に感じました。また、この作品を通じて初めて日本語に触れ、大きなスクリーンの中で自分が日本語を話している姿を見て、その体験に不思議な気持ちが湧くと同時に、深く感動しました。さらに、映画の中で描かれる二人の登場人物の巡り合わせと率直な心の交流が、小さなねずみの物語によって結びつき、互いに癒し合っていく様子は、たとえ短い時間であっても真実の感情が込められていると感じました。旅は悲しみや喪失の感情を和らげてくれるものであり、そこで出会う新しい人々や風景の一つひとつが、かけがえのない大切な贈り物なのだと思います。

真壁幸紀(監督)東京と台北の物語をスコットランドの映画祭で初上映したのですが、原作が持つ普遍性、キャストのお芝居は、国や世代を超えて、観客の心を揺さぶっていました。そんなヨーロッパのお客さんの反応を目の当たりにして、ある一つの条件さえ満たせば、この映画が皆さんの心に届く事を確信しました。それは、映画館のサウンドで観てもらう事。是非、小さな音、声まで体感してもらえたらと思います。

阿部豪(株式会社ロボット/プロデューサー)『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』は日本と台湾のスタッフ・キャストが国境を越えて共に作り上げた作品です。異なる文化や言語の壁を越え、人と人が出会い、心を通わせていく過程を描いています。本作が、多くの方の心に届き、作品として長く愛されることを願っています。(文=リアルサウンド編集部)