帝国ホテルの設計者・巨匠のライトを魅了した日本の建築とは?【建築の話】

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帝国ホテルの設計者・巨匠のライトを魅了した日本の建築

ライトの建築から日本の伝統美と風土が読み取れる

世界の近代建築三大巨匠の一人であるフランク・ロイド・ライト。日本では旧帝国ホテルの設計者として知られています。

生涯に800以上の建築物を手がけたライトですが、実はそのほとんどはアメリカ国内での業績です。国外では計画案を含め32件(日本12件)しか手がけておらず、そのうち実現したのは日本9件とカナダ3件だけ。

巨匠ライトは日本で精力的に活動した建築家だったといえるでしょう。実はライトは浮世絵をこよなく愛する収集家であり、日本文化を深く理解していたのです。

東京都豊島区にある自由学園明日館(重要文化財)は、現在も利用・見学が可能なライト作品の一つです。中央棟や教室棟の屋根は、日本家屋の本屋根と下屋にかけられた庇で構成されたものを一枚の屋根で表現したものです。

下屋にあたる部分を低く伸ばし、軒高を抑え、庇の出を大きくすることで、直射日光を遮り、地面からの柔らかい反射光で教室に相応しい光環境をつくっています。

このライト建築の特徴は、庇の深い日本家屋と同じ考えに基づいているといえるでしょう。なお、コの字型の平面形は左右対称のシンメトリーになっており、これは日本の寝殿造に見られるものです。旧帝国ホテルは平等院の影響を受けたともいわれています。

日本のライト建築には、大谷石が多くつかわれています。風景の一部となる建築物はその土地で生まれる材料でつくるべきだとライトは考えていたのでしょう。その結果、安価な石材にすぎなかった大谷石は、ライト建築の代名詞として広く愛されるようになったのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク