これがレトロブームの最前線だ。カセットテープで写真を撮るDIYカメラ
心躍らせる新しいガジェットがどんどん登場するなか、有線イヤホンが流行ったり、たまごっちが再ブレイクしたりとレトロガジェットの波も押し寄せていますね。
そんなレトロブームの熱を感じさせるガジェットとして近年注目を浴びているのが、カセットテープです。本来カセットテープは、テープレコーダーを用いることで記録用の磁気テープに音声を記録し、再生できるメディア。
…ですが、あるDIY好きがそのテープレコーダーを魔改造し、新たな活用法を生み出しました。“写真を記録できる”テープピクチャーレコーダーの誕生です。
テープレコーダーで写真を撮影、再生できるガジェット
Jordan Blanchard氏が開発したこのガジェットは、その名も「Digital-Analog Tape Picture Recorder」。
カメラと32bitプロセッサーを一体化した20ドル以下のモジュール「ESP-32 CAM」を使って撮影し、その画像をアナログ信号に変換してカセットテープに記録する仕組みになっています。
テープに記録した画像の再生にはRaspberry Piを使用。アナログ信号をデジタル信号にデコードし直すことで、本体に内蔵されたディスプレイに画像を表示することができます。このエンコード方法がまた面白くて、高高度を飛ぶ気象観測気球が地上に画像データを送信する際に使われる手法を参考にしているんだそう。
気になるのは、画像の処理速度。エンコード→テープへの記録→再生→デコードの一連の流れに数分かかるんだとか。ピクセルが一列ずつデコードされていくのをリアルタイムで眺めることもできるほどだといいます。かつてカセットテープでデータ保存していた世代にとっては、あの頃の待ち時間を思い出させてくれるようで、それだけで愛おしく感じるかもしれません。
テープスピードが安定しないことで生まれる味
再生される画像はVHSテープさながらのノイズやゆらぎを帯びており、インディーホラーゲームから抜け出してきたような独特の雰囲気に。
Blanchard氏によれば、「デッキによって微妙にテープスピードが異なるうえ、常に安定しているわけでもないため、周波数のドリフトやシンクのズレが生じる」そう。その結果、このVHS的なノイズが生まれています。テープスピードにムラがあることが、むしろこのガジェットの味になっているわけですね。
さらに面白いのが、“画像を音として聴く”ことができる点。デバイスにはオーディオ出力機能が備わっており、再生中の信号を耳で聞くことができるんです。実際に聞こえてくるのはF#5(1,480Hz)あたりをゆるやかに揺れるような、なんとも不思議な波形音。
1,480Hzというのは、データ転送速度に換算すると約5.12Kbps。現代のWi-Fiと比べると約8万1000分の1というから、なんとも味わい深い数字です。
あえて不便を楽しむという現代のレトロ愛を体現したこの一台。カセットテープを聴いたり、ミックステープを作ったりするのが楽しいのと同じ感覚で、このカメラもまたテクノロジーの新しい遊び方を示してくれていますね。

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