大人になって、ライフステージの変わり目から「学び直し」を始めたい、と考えている人も少なくないのではないでしょうか。現在75歳、「最高齢の英会話教師」として活躍する日高由記さんは、20年以上専業主婦として過ごしたのち、40代半ばから本格的に英語の学び直しを始め、50代からフリーの通訳案内士や専門学校の講師として活動しています。今回は、そんな日高さんが考える、「大人の学び直し」に大切なことについて紹介します。

※ この記事は『ありたい自分でいるためにやっぱり私は働くことにした』(自由国民社刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています

【写真】「最高齢」の英会話講師、75歳の日高由記さん

46歳から学び直し、「最高齢の英会話講師」に

私は今75歳。大手英会話学校の講師として週5日働いています。職場では「最高齢の英語の先生」といううれしいようなちょっぴり気恥ずかしいような肩書きをいただいております。

小学生の生徒さんからは、「僕のおばあちゃんと、先生は同じ年齢なんだね!」なんて言われることも。「でも、英語ができるおばあちゃんだね!」と言ってもらえることが、こそばゆいけれど、誇らしくもあります。

学生の頃に夢中で学んだ英語への思いが再燃したのが、46歳の頃。ずっと専業主婦でしたが、それから必死に勉強し直し、51歳で英検1級に合格。53歳で全国通訳案内士の資格を取りました。

通訳案内士の専門学校講師として働き始めたのは53歳のとき。その後、やはり英語だけを教えるのが性に合っていると感じ、56歳のときに今の英会話学校に転職し、今に至ります。

学び直しに「英語」を選んだ理由

それまで私は、声を大にして「私はこれがしたい!」と周囲に宣言するようなことはありませんでした。

自分の深いところに英語への愛情や親しみがずっと流れていて、ふとした瞬間、静かな英語愛に気づいてしまう…。私の人生はそんなことを繰り返してきたように思うのです。

英語以外のなにかに心惹(ひ)かれたこともあります。たとえば、中国語、パンづくり、フランス菓子づくり、ヨガ、バレエ、ジュエリーづくりなど。

試してみて、お菓子づくりみたいに細々と続いている趣味もあれば、「これは私には向いていないわ」と、離れたものもあります。ヨガはポーズを取るのがきつすぎて続かず、大人のバレエ教室も、動きがハードすぎてついていけずにやめました。

いろいろやってみたけれど「やっぱり、英語だわ」となったのは、英語への親しみやときめきが私のなかでずっと輝きを失わなかったからなのでしょうね。

●学びには純粋な「渇望」や「欲望」が必要

結局のところ、人間って嫌なことはできないものなのでしょう。あるいは、「好
きなことしか続けられない」と言った方がしっくりくるでしょうか。

たとえば、義母との同居や介護は正直気が進まなかったけれど、仕方なくこなしました。そういう避けられない事情もあるのが人生です。

でも学びに関しては、純粋な渇望や欲望がモチベーションになるから、自分の気持ちはあざむけないのですね。

自分が「なにを学びたいか」が大切

学びたいスキルか、それとも求められるスキルか?

大人になってからなにかを学ぼうとすると、夢中になれるものがほしくて、あれもこれもと試してみる方もいます。ときめくものを探求するのはとてもいいことですよね。そこで「これがいいな!」と思えるものに出合えたら、幸運です。

でも、ときめくものとなかなか出合えない方もいると思います。そんなときに、世の中のブームや関心事に自分を合わせても、うまくはいきません。

「世の中がこういうものを求めているから」「この資格に注目が集まっているから」そんな理由で学び始めても、好きになれなければ続きません(私が中国語の学びで失敗したのがいい例です)。

やはり、好きじゃないとできないのが学びだと思うのです。

もちろん、学びはときにしんどいこともあります。なかなか思うように上達しないと、練習を投げ出したくもなるでしょう。でも、情熱を傾けられるものであれば、続けられるのですよね。