「騒ぎにならないと大人たちは動かない」栃木県立高校の暴行動画を告発した“デスドル”こと磨童まさを氏を直撃。なぜ今、いじめ暴露動画が急増しているのか
背景にあるのがXの収益分配制度だ。プレミアムに加入したうえで、過去3か月間のオーガニックインプレッションが500万回以上、プレミアムフォロワーが500人以上などの条件を満たすと、投稿の表示回数に応じて収益を得られる仕組みになっている。
さらに、YouTubeやTwitchのサブスクリプションへ誘導するために、いじめ動画を投稿・拡散するケースや、投げ銭機能を備えた匿名質問箱サービス「mond」などを利用して、告発を“コンテンツ化”する動きも散見される。
こうした収益構造のもと、いじめ暴露動画は「告発」ではなく、効率よく数字を稼げる素材として扱うのが、Aさんだ。
「普段は政治系の投稿が中心ですが、その時々でバズっているネタには基本全乗りします。いじめ暴露以外にも、フェミネタやLGBTQネタなどがバズりやすい。いいタイミングで乗っかれば、あっという間にインプレッションが数万、数十万になる。特にXは過激なポストがバズりやすいので、残虐な暴行シーンに『いじめ反対』『加害者に罰を』というコメントをつけて投稿します。簡単にインプレッションを稼げるネタなんですよ」
政治的信念はなく、いじめ問題への関心もない。彼にとって暴露動画は、フォロワーと収益を得るための燃料に過ぎないのだ。一方で前出の磨童氏は、いじめ暴露動画については、もともと行っていたアイドルネタとは切り分けし、収益は得ていないという。本当にいじめ撲滅を願うアカウントと、インプレ目的で拡散させるアカウントの見分け方はあるのだろうか。
「トレンドを追って投稿内容を次々と変えるアカウントは要注意です。半年前は排外主義やクルド人批判をしていたのに、今はいじめ動画にシフトしているなど、話題を渡り歩きながら数字を稼ぐ共通の傾向が見られるはずです」(みずにゃん氏)
そのうえで、ユーザー側のリテラシーの重要性を強調する。
「僕が旭川のいじめ事件を扱う際には、裏を取るために旭川市議会議員にまで取材しました。しかし、個人がタレコミを完全に検証するのには限界があります。例えば、本当はいじめられている側なのに、切り取り方次第で“加害者”に見せるフェイク動画を作ることも可能です。そうした動画が影響力のあるアカウントから拡散されれば、被害者がさらに追い込まれる危険性もあります。正義感から拡散に協力したい気持ちはわかりますが、一度冷静になって情報を取り扱いましょう。」(同)
まず何よりも安易に“私刑行為”に加担しないことが重要だ。
取材・文/SPA! いじめ問題取材班
―[[いじめ暴露動画]急増の裏側]―
