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あらこんなところにベトナムが、みたいな。

2025年1月16日、ベトナムの首都ハノイで、ベトナム初となる半導体チップ製造工場が着工しました!

式典にはファム・ミン・チン首相や、ベトナム共産党のトー・ラム書記長も出席。お偉い方々も並んで、国を挙げたプロジェクトなんだなと伝わります。

この工場を手がけるのは国防省傘下のベトナム軍隊工業通信グループ「Viettel(ベトテル)」。用地面積27ヘクタール(東京ドームでいえば約5.7個分!)という規模感も、本気度を物語っています。

2024年、ベトナムの電子機器輸出額は1250億ドルを超えたといわれ、さらに成長中。Samsung、Foxconn、Pegatronといった巨大メーカーがこぞって生産拠点を置いて、世界中のスマホやノートPCの「組み立て」を担ってきました。

でも、組み立てだけでは天井が見えている。ベトナム政府としても、もっと売上を大きくして、付加価値を上げたい。そこで注力するのが、世界的にバリューチェーンが再編されつつある半導体だったわけですね。

6工程のうち、たった1つだけ欠けていた「心臓部」

半導体チップは製品定義、システム設計、詳細設計、チップ製造、パッケージング・検査、統合・試験という6工程を経て完成します。

これまでベトナムは5工程に参画してきましたが、最も高度で中核となる「チップ製造」だけは国内で行ってこなかったんです。それが今後は、国内で完結できるようになる見込みです。ベトナムは2027年末までに「32nm(ナノメートル)チップ」の試験生産を実現させる計画を打ち出しました。

「32nm」と聞くと、最先端の2nmや3nmのものと比べて見劣りするように感じるかもしれません。でも、私たちの生活を支えるのは、必ずしも最先端チップばかりではないのです。身の回りの自動車や産業機器、IoT機器、家電、通信インフラなどには、ベトナムが作ろうとしてるような半導体がよく使われています。

つまり、ベトナムが選んだのは「派手さはないけれど、確実に需要がある」ような、長く使える製品向けといえそう。最先端を追いかけるのではなく、「生活インフラを支える半導体」という、より広く、より安定したマーケットを押さえたいのでしょう。

それに、最先端の工場ってめっちゃお金もかかります。たとえば、月産50,000枚のウェハー生産能力を持つ「2nm」対応の半導体製造工場を作るには、約280億ドル(約4兆円)が必要という試算もあります。最近、ただでさえ建設費高騰してますしね。

一方、32nmのような半導体は「成熟プロセス半導体」ともいわれ、製造ノウハウも確立されていて、設備投資が格段に少なく、何より「10年以上動き続けるようなチップ」に求められる信頼性も実現しやすい。狙いは「コストと信頼性」ってところでしょうか。

そういえば台湾のTSMCが熊本工場で作るのも22nmと28nm品が第一陣でしたよね。建設中の第二工場はまた違うみたいですが。

家電にやってくるかも「ベトナム製チップ」…だけど、すでに課題も

ただし、課題も見えています。現在、ベトナムには約6000人の半導体エンジニアがいますが、人手不足なんです。国家戦略としては2030年までに5万人の半導体エンジニアを増やすことを掲げています。大学で専門コースを開設したり、多くの学校で人材育成に乗り出すようです。インテルなどの企業とも協力していく見込み。

そして、もう一つ厳しいのが電力問題。2023年夏、ベトナムは深刻な電力配給制限に見舞われました。電力の質と安定性に極めて敏感な半導体工場にとっては無視できないリスクです。電力と水資源の安全性確保は喫緊の課題でしょう。

とはいえ、ファム・ミン・チン首相はやる気満々。「2030年までに設計会社100社、ウエハ製造工場1社、パッケージング・試験工場約10社を擁し、産業収益を250億ドルに引き上げ、現地付加価値を10〜15%向上させる」といいます。

今すぐ新しいスマホやPCに「Made in Vietnam」のチップが入ることはないでしょう。でも5年後、10年後はわかりません。通信基地局、スマート家電、自動車といった身近な製品の中で、ベトナム製チップが静かに働いている未来は十分ありえそう。

チップの産地が増えれば、きっと供給も安定するはず。ベトナムが堅実に成長したら、結果的に、私たちのお財布にも優しい未来につながるかもしれませんよね。

Source: 今日头条, VIETJO