ULTRA JAPANの巨大スクリーンを即興で操る! 変幻自在の映像職人・VJの実態
DJのパフォーマンスに呼応し、ULTRA JAPANの巨大なスクリーンに次から次へと映し出されるダイナミックな映像演出。
ステージと観客の熱気を感じ取りながら、瞬時に映像をコントロールしているのがVJ(ビジュアル・ジョッキー)という存在です。
今回は、2014年のULTRA JAPAN初開催から現場に立ち続けるVJ・映像ディレクターの丹羽孝友さんにインタビュー。数々の熱いステージを演出してきた映像のプロが語る「VJから見たULTRA JAPANの魅力」に迫ります。
丹羽孝友(にわ・たかとも)
2008年に映像制作会社propgraphicを設立。実写撮影を含むミュージックビデオの監督や、ドームツアー規模のLIVE演出映像のモーショングラフィック制作など、幅広いジャンルの映像制作に携わる。
VJとしてはSUMMER SONIC、ULATRA JAPANなどのビックフェスに多数出演。VJユニットのBENZENE by VMTTとしても活動している。
X:https://x.com/niieeewa
HP:https://propographic.myportfolio.com/
2008年に映像制作会社propgraphicを設立。実写撮影を含むミュージックビデオの監督や、ドームツアー規模のLIVE演出映像のモーショングラフィック制作など、幅広いジャンルの映像制作に携わる。
VJとしてはSUMMER SONIC、ULATRA JAPANなどのビックフェスに多数出演。VJユニットのBENZENE by VMTTとしても活動している。
X:https://x.com/niieeewa
HP:https://propographic.myportfolio.com/
▼これまでの「ULTRA JAPAN 2025」クリエイター特集はこちら!
・制限だらけの現場で“神ショット”連発!ULTRA JAPAN公式カメラマンの裏側
・【知られざる仕事】ゲームスキルを活かす“ドローン職人”の空撮術【おしごとさんぽ/ULTRA JAPAN】
一つとして同じデザインはない 毎年変わる巨大ステージ

歴代のメインステージ(左上は2024年、右上は2023年、左下は2018年、右下は2014年)
ULTRA JAPANの最大の特徴といえば、DJブースを中心とした巨大なステージ上に、複雑な配置で組み合わされるLEDパネル。多くのライブやフェスでは、映像を映すスクリーンは長方形の固定サイズであることが一般的ですが、ULTRAではその常識が通用しません。
「ULTRA JAPANのLEDパネルって毎年形が変わるんです。図面が届いたときに、『今年はこう来たか』って思うのが楽しみなんですよね」

そう語るのは、日本にULTRAが初上陸した当初からVJとして関わり続けてきた映像ディレクターの丹羽孝友さん。何度も現場を経験してきた丹羽さんにとっても、ULTRAのステージは毎年ゼロから始まる挑戦です。
「図面だけをみて適当に映像をはめ込むと、ステージで投影した時にズレがでてきてしまう。だから、どこのLEDパネルに映るのか、一つ一つ把握して映像を当てはめていく必要があるんです」
LEDパネルの枚数、配置、比率、そして立体的な構造まですべてが年ごとに異なるため、ステージ全体が毎年ゼロベースで設計される。だからこそ、映像をただ再生するのではなく、パネルの「面」と「奥行き」を意識したマッピング設計が求められるのです。
◆丹羽さんがVJを担当したTJOのステージ
複雑なLEDパネルに映像が違和感なく展開されている
「完全に別次元」ULTRAが日本の音楽業界に与えた衝撃
丹羽さんがULTRA JAPANに初めて参加したのは2014年。当時、海外のスターDJとともにやってきた裏方チームのプロフェッショナルな仕事ぶりに、丹羽さんをはじめとした日本のVJたちは強い衝撃を受けたといいます。
「もう、完全に別次元でした。VJや照明などの特殊効果を含め、ひとつのシステムとして完成されていたんですよね」

そこで目の当たりにしたのは、音楽と映像、照明、特殊効果がすべて緻密に連動した総合的なエンターテインメント。このインパクトは、ライブ=音楽中心という認識が主流だった日本の音楽業界全体にも波及しました。
それまでクラブや一部フェスにとどまっていたVJ演出が、J-POPやロックなどダンスミュージック以外のライブにも広がっていったのです。
「ULTRAでVJをやっていることを知った人から、新しく映像の仕事のお誘いをもらうことが増えましたね。あの年を境に、日本のフェスやライブシーンでも、映像演出の注目度が一気に上がったと思います」

一方で、丹羽さんは「VJはあくまで音楽を彩るもの」だと語ります。観客に映像を見せることよりも、「いかにDJと音楽に寄り添った空間を作るか」ということに重きを置いているそう。この感覚は、自身も若い頃から観客としてフロアで音楽を楽しんでいたからこそ。
DJの個性を最大限に引き出し、会場の熱量を高めていく。それが毎回違うステージに対応するVJの面白さであり、難しさでもあるのです。
DJの個性、時間帯、天候… あらゆる変数に対応するVJ
ULTRA JAPANのステージは、照明・レーザー・映像などがすべて揃ったフル装備の環境。しかし、その演出がどのように使われるかは、出演するDJやアーティストによってまったく異なります。
「同じLEDでも、使い方によって印象が全然変わるんですよ。映像を作り込んで持ってくる人もいれば、そうじゃない人もいる。たとえばSkrillex(スクリレックス)のステージではほとんど赤と白の2色をただ切り替えるだけなんですけど、それがすごくかっこよかったりするんです」
◆「ULTRA Miami 2025」のメインステージに登場したSkrillex
また、ULTRAは昼間から始まる屋外フェス。黒を使った演出が映える屋内イベントとは違った見せ方の工夫が必要となります。
「日中は背景が明るくて映像が沈みやすいので、LEDの面を目いっぱい使って、明るさや色の強さで勝負する必要があるんです。どこまで埋めて、どこを見せるか、空間全体で考えるのがULTRAのVJとしての面白さだと思います」

そんな屋外フェスならではの難しさをより強く感じたのが2022年。この年のULTRA JAPANでは、本番中に突然の大雨がステージを襲いました。
「とにかく雨音がすごくて、DJの音が全然聞こえなかった。VJは基本的に音を頼りにタイミングを取るので、あれは本当に焦りましたね(笑)」
天候や光といった自然条件にも左右されながら映像を操る。ULTRAのVJは、まさに現場勝負の職人芸でもあるのです。
◆雨の中でも大盛りあがりだった2022年のULTRA JAPAN
最先端のライブ演出を体感せよ!

丹羽さんがVJを始めた2000年代は、まだVHSテープをビデオデッキに入れて、プロジェクターで投影するスタイルが主流だったそう。そこから四半世紀、技術の進歩とともにVJの表現も凄まじいスピードで変化しています。
「2014年の初開催の時、初めてフルHDの解像度でVJしたのですが、当時は相当なチャレンジでした。それが最近では、より高精細な4K画面を複数使うような年もあります。演出面でも、ライブ映像にリアルタイムでエフェクトをかける技術がかなり使いやすくなってきましたね」
実際、丹羽さんも2024年のステージでリアルタイムエフェクトに挑戦。体全体でビートを刻むDJの動きと、次々に展開するエフェクトが掛け合わされた印象的なシーンとなっています。
◆丹羽さんがVJを担当した2Wasted(トゥーウェイステッド)のステージ
リアルタイムエフェクトは8分15秒ごろから
新しい技術が登場すればすぐさま取り入れ、柔軟な発想で新しい表現を模索する。VJたちによる最先端の映像演出を体感できることも、ULTRAの醍醐味のひとつです。

「音楽が好きな人はもちろん、知っている曲がなくても『空間ごと楽しめる』のがULTRAのいいところ。ステージの近くで音に浸って踊ってもいいし、後ろの方でパフォーマンスを鑑賞してもいい。自分なりの楽しみ方を見つけてほしいですね」
会場を満たす音と光、そして観客の高揚感。今年のULTRA JAPANでは、VJたちが音楽に寄り添いながらつくり上げる「もうひとつのライブパフォーマンス」にぜひ注目してみてください。
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