女子400メートル障害で優勝し、笑顔を見せたガードナ・レイチェル麻由【写真:荒川祐史】

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陸上・インターハイ 女子400メートル障害/法政二・ガードナ・レイチェル麻由(3年)

 ホットスタッフフィールド広島で7月25日から5日間行われた陸上インターハイ。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、困難な環境の中で競技を続けてきた選手などさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子400メートル障害で優勝した法政二のガードナ・レイチェル麻由(3年)。昨秋から同種目を本格的に始め、わずか10か月で日本一を掴み取った。「世界を目指したい」と話す期待のハードラー。高校での成長や今後への思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

「誰よりも速く走ろう」

 自信を持って挑んだ決勝。タイムレース形式の2組目、6レーンから走り出したガードナは最初のハードルを越えると、一気に加速。1人、2人と前をいくアウトレーンの選手を捉えた。1番手でラスト100メートルに突入。10台目のハードルを飛び越え、最後の直線は電光掲示板を横目に懸命に足を動かし、1着でゴールした。

 自己ベストを0秒82更新する58秒16を記録。全国決勝の大舞台で勝負強さを発揮し、3組の結果で優勝が確定した。「3年間、ずっとこの舞台で優勝することを夢に頑張ってきた。言葉にできないくらい嬉しい」。笑顔と涙が入り混じった最高の瞬間だった。

 10年間の競技人生。目指した頂点についに辿り着いた。

 イギリス人の父と日本人の母を持つ東京・渋谷区出身の17歳。小学2年で陸上競技を始め、最初は長距離選手だった。松濤中2年時に四種競技に転向し、3年時に全中3位。ただ、ランキング1位で挑んだ大会だっただけに、嬉しさより悔しさが大きかった。

 校内に陸上競技場を所有する抜群の環境と、チームの雰囲気に心を奪われ、神奈川の名門・法政二高に進学した。1年時のインターハイは七種競技で出場し、いきなり5位。2年時は4位と全国の舞台で階段を上ってきた。それでもまだ、全国制覇には届かなかった。

 転機となったのが昨年10月の県新人大会。400メートル障害に出場し、58秒98の大会新記録で優勝した。「これなら日の丸を背負えるんじゃないかなと思って」。そこから本格的に練習を始めて10か月。59秒98で優勝した6月の南関東総体以降は歩数を減らす練習や走り込みを行い、調整してきた。

名門・法政二で過ごした日々で変われたこと

 どうしても日本一になりたい――。

 今大会は400メートルにもエントリーしていたが、1種目に絞って出場。再びランキング1位で挑んだ高校最高峰の舞台でリベンジを果たした。

 3年間で最も変わったのは精神力。「中3の時は勝てるという自信がなかった。今回は自信を持って走ることができたので、メンタル面が強化できた」。覚悟を決めた種目で芽生えた自信は何よりもの後押しになった。

 競技面だけでなく、多くの学びを得た高校陸上。名門で過ごした日々を笑顔で振り返る。

「中学までは人に何かを伝えることがあまり得意じゃなくて。法政二高に入って、尊敬する先輩の姿を見て、私も『こうならないといけない』と思って。人として成長できたと思います」

 大学でも400メートル障害を専門に競技を続けていく。「世界を目指したい」。期待のハードラーの夢は上方修正された。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)