「EVだから静か!」と期待して乗り換えたら「あれ?前のと大して変わらないな…」となるかも?そもそもどうして「EVは静か」なの?
静かな車内空間をアピールするEVは多い
次世代のパワートレインを搭載する車として自動車メーカーが続々と参入しているのがバッテリーEVです。
世界初の量産EVとなった日産『リーフ』の販売を皮切りに、EVメーカーとしてアメリカのテスラなど新興ブランドも台頭。現在は各ブランドから多様なEVが販売されています。
主流はクロスオーバーSUVですが、スポーツカータイのほか、日本では軽自動車規格のEVも登場しており、モーターの出力、航続可能距離、ボディサイズ、価格などひとくちにEVといってもその特徴はさまざまです。
しかし、多くのEVでは「静かな車内で快適なドライブを楽しめる」ということがアピールされる傾向にあり、「EVは静か」という認識が広まっています。
EVはエンジン車と比べ部品点数が少なく音の発生源が少ない
これまでの一般的な車にはエンジンが搭載されていました。エンジンはさまざまな部品が組み合わされ、作動し、エネルギーを生み出している装置で、騒音の発生源のひとつとなります。停止状態でもエンジンはアイドリングを続け、アイドリングストップをしない限りは無音になることはありません。
スピードを上げれば回転数に応じて騒音は大きくなるほか、トランスミッションなどの駆動音も加わります。古い車などは、大声を出さなければ高速道路等で会話ができない、ということも。
いっぽうで、EVはエンジンを搭載する車に比べ、パワートレインの部品点数が圧倒的に少なくなります。作動する部品も少ないため、エンジン車に比べ走行中に発生する音は圧倒的に静かです。
トランスミッションも原則不要ですので、パワートレインから発生する騒音は基本的にはモーターが駆動する音のみ。エンジン音と比べるとほぼ無音に思える程度となるため、EVは騒音が少ないという特徴がアピールされるようになりました。
車内の静かさを決めるのはエンジンの有無だけではない
現代的な車の場合、ある程度の価格帯を超えた車であれば、スポーツカーなどでない限り走行中に車内へ入ってくるエンジン音が非常に大きいということはありません。
エンジンの消音性能の進化や、車内へ音が侵入・伝達するのを防ぐ車作りによって、実はEVでなくとも日常的な走行で車内に入ってくるエンジン音がうるさいと感じることはほとんどなくなりました。古い車であっても、鉄板の振動や音の反響を抑えたり、隙間をふさいだりといった工夫をこらせば、現代的な車に迫る静粛性を獲得することは可能です。
しかし、エンジン音が静かになっても、高速道路等では「ごー」という音が聴こえます。これはエンジンではなく、タイヤと路面の摩擦などによって発生したロードノイズと呼ばれる騒音で、最近の車の主な騒音はこのロードノイズによるものです。
エンジンの搭載に関わらず、車輪がついた乗り物であれば例外なくこのロードノイズが発生するため、エンジン音を抑えるだけでなく、ロードノイズが車内へ入るのを抑える工夫も快適な車作りには必要となってきます。
「EVは静か」というよりも「EVだからこそ静かに作られている」
ロードノイズはエンジン搭載車であってもEVであっても関係なく、むしろ車重が重くタイヤが太くなりがちなEVのほうがロードノイズ自体は大きくなります。エンジン音がしない分、よりロードノイズが強調されて聴こえるでしょう。
しかし、それでも実際にはエンジン車に比べEVのほうが静かになる傾向があります。これは、前述のとおりガソリン車よりもロードノイズが強調されたように聴こえることを見越して、より静粛性を高めた作りになっていることがほとんどだからです。バッテリーが高価であるというのが主な理由ではありますが、エンジン車よりも重い車体で静粛性が求められるため、高級車のような作り方になるということもEVが高価になる要因のひとつとなります。
現在、日本で買えるEVのほとんどは、同じ車格の車と比べると高級であることがほとんどですが、今後はエンジン車並、もしくはそれ以下にまで価格を抑えた「格安EV」が登場することも考えられます。
EVを安価に作ろうとする場合、格安の軽自動車やコンパクトカー同様、ロードノイズ対策などの静粛性は最低限に抑えられます。現在人気がある高級EVなどで「EVは静か」という先入観を持った人が格安EVに乗ると「思っていたよりうるさい」と感じるかもしれません。
