『Missナイト & Missデイ』(写真はJTBC公式サイトより)

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 大ヒットを飛ばしたシンドローム級の名作『涙の女王』と『ソンジェ背負って走れ』が終わり、韓国ドラマ界は少しゆったりモードの中、日本のNetflixランキングで健闘を見せている『Missナイト & Missデイ』。アニメ勢が強い日本ランキングの中でも毎週上位に食い込んでくるだけでなく、グローバルランキングでは堂々の3位(非英語シリーズ/7月8日~7月14日週)と強さを見せている。

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 本作は、韓国の人気アイドルグループApinkのチョン・ウンジが、『パラサイト 半地下の家族』『私たちのブルース』など多数の作品で大活躍を見せるイ・ジョンウンと2人1役で、昼と夜で20代と50代に変身する女性を演じるロマンティックコメディ×サスペンス作品。本稿では第9話、第10話を中心にご紹介したい。

 チョン・ウンジ演じる就活浪人生のイ・ミジンは、就活詐欺に遭ったことをきっかけに、ソハン地検のケ・ジウン(チェ・ジニョク)と知り合う。踏んだり蹴ったりのミジンに追い打ちをかけるように、彼女は猫を助けたことがきっかけで昼間は50代のおばさん(イ・ジョンウン)に変身してしまう身体になってしまう。

 ミジンは、行方不明の叔母の名前を借りて、昼間は50代のイム・スンとしてソハン地検のシニアインターンとしてジウンの下で働くことになる。昼間はスンとして、夜はミジンとして、ソハン地検で公益勤務中の人気アイドルのウォン(ペク・ソフ)や、チュ捜査官(ユン・ビョンヒ)らと関わっていくミジン。

 酔ったミジンは、ジウンにキスをしたが、彼は頭突きをされると勘違いして手で防御をしてしまう。頭突きではなくキスだと気づいたジウンは、慌ててミジンに釈明するも、ミジンは恥ずかしさのあまりジウンの部屋から出て行ってしまう。前回ラストでついにキス! と思われたが、まさかのガードでお預け状態に。ミジンとジウンの初キスが、酔った勢いでなくよかったのだと思いなおすも、ジウンが悔やむ姿に笑わせられる。

 その後、ミジンとジウンが偶然コンビニで出くわす場面で、「心がざわつく」というワードでジウンがミジンに何か言おうとするも、友人ガヨン(キム・アヨン)がいいところに登場しておじゃんになってしまう。

 翌日、眠れず悶々としていたのだろうスンとジウン。両者共に目の下のクマが酷いのが面白い。キスをガードされたことが脳裏によぎるスンは、何事もなかったかのようなジウンに腹を立て八つ当たりをする。スンの様子を見たチュ捜査官のズッコケる姿や、「何かやらかした?」とジウンに問うコミカルさが面白く、ここから“チュ捜査官劇場”が始まっていく。

 スンの態度を不思議に思うジウンとチュ捜査官は、社員食堂でもスンの話題となる。そこにスンとウォンが共に現れ、ウォンがスンを彼女のように扱いだすのだ。向かい合わせではなく、スンの隣に座るウォンを見て、信じられないものを見たように目を見開くチュ捜査官。さらにふたりを凝視するチュ捜査官の眼差しに飛び込んできたのは、韓国ドラマでよく見る光景ランキングとして、“点滴を自分で外して走り去る主人公/ヒロイン”に次ぐ次点と言ってもいいかもしれない、“ご飯の上におかずを乗せてあげる”愛情表現だ。

 ウォンが自らの箸でスンのスプーンにおかずを乗せたのを見た瞬間、飲んだスープを吹き出すチュ捜査官。さらには、スンの肩についた髪の毛を取ろうとするウォンを目にしたチュ捜査官のギャグマンガのような表情に笑ってしまう。ウォンにとっては、スンはミジンであり、かわいいヌナ(韓国語でお姉さんの意)だが、チュ捜査官から見たら、“社員食堂で50代の年上女性とイチャイチャするアイドル”なのだがら、動揺するのも無理はない。「見てはいけないものを見てしまった」ように、恐ろしさで震えだすチュ捜査官役のユン・ビョンヒのコメディセンスが最高だ。

 チュ捜査官を動揺させたウォンだが、スンとの食事でウキウキ気分のウォンが、アイドルらしく軽くダンスしながら歩く姿がカッコいい。ウォン役を演じるペク・ソフは、『美男堂の事件手帳』や『ハートビート』で爪痕を残す印象的な役を演じており、本作のウォンについてSNS上で「とにかくかわいい」「カッコよくて好きになりました」と注目を引いている。

 ウォンとミジンの仲が急接近するのを面白く思っていないのが、ジウンだ。ジウンはすでにミジンに恋心を抱いており、ミジンがチュ捜査官から「コ・ウォンは好きですか?」と問われ、「コ・ウォンいいですよね」と答えたときも目をそらし、気になるそぶりを見せている。さらに、チュ捜査官がミジンに「万一、コ・ウォンに告白されたら付き合います?」と続けたときには、イライラした様子でビールグラスをドンッとテーブルに叩き置く仕草まで見せた。

 さらに、「なぜ万が一の話を? あり得ないのに」「仮定自体が変です!」「全くありえない話をするなんて変です!」とムキになってチュ捜査官に食ってかかる有り様だ。その様子に、ジウンの恋心に気づいているガヨンは笑いを噛み殺すが、ミジンは気づいていないのがもどかしい。

 コメディとロマンスのターンが盛り上がるにつれて、ミステリー部分も加速していく。行方不明だったシニアインターンのナフン(チェ・ボモ)の遺体が貯水池で発見される。スンは、ナフンの話をするインターンたちの中で、元病院長チョルギュ(チョン・ジェソン)の様子に不信感を感じる。スンは、チョルギュの車のナンバープレートが、ミジンのときに遭遇した殺人犯のものと同じことに気づき驚愕する。

 スンは、チュ捜査官にチョルギュのことを報告するも、すでに容疑者として彼をマークしていることを告げられ恐怖する。居ても立っても居られないスンは、ジウンとチュ捜査官に捜査の協力を申し出て、チョルギュの病院に急病人を装い潜入する。スンが隙を見て院長室に忍び込むと、そこへやって来たチョルギュが、スンから採血した血液型と、行方不明の叔母であるイム・スンの書類の血液型が違うことを知り顔色を変える。そのチョルギュの姿を隠れ見たスンは、恐ろしさに身を竦めるのだった。

 ミジン、ジウン、ウォンのラブトライアングルが展開する中で、物語の冒頭から追い続けてきた過去の連続殺人事件と、ミジンの叔母とジウンの母を殺した犯人の影がぼんやりとだが姿を現し始めた。チョルギュが、連続殺人事件の重要な鍵を握っているのは間違いないだろう。彼が事件に直接的になのか、間接的になのかはわからないが絡んでいることで、ジウンが追う殺人事件と、麻薬捜査が繋がっていくのだろうか。

 ラブ、コメディ、サスペンスがバランスよくミックスされた本作で、ミジンとジウンとウォンの三角関係の行方にときめきながら、チュ捜査官劇場も密かな楽しみになっている。(文=にこ)