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第6世代となる新型セレナ登場

日産は、フルモデルチェンジをおこなった第6世代のセレナを発表した。ガソリン車は今冬、ハイブリッドであるeパワー車は来春に発売する。

【画像】売れっ子ミニバンは第6世代へ【新型日産セレナ/どんなクルマ?】 全59枚

新型セレナは、初代から続く「広い室内空間」、「優れた使い勝手」という特性を磨きあげ、最先端技術の採用などを通じて、移動時のさらなる快適性を磨いたことが特徴となる。


第6世代となった日産セレナ。発表会はミュージカル形式で進行された。    日産

最先端技術の採用としてのトピックは、ハンズオフ機能を備えた先進運転支援技術「プロパイロット2.0」の採用だ。

また、リモコンを使って車外から駐車を操作する「プロパイロット・リモート・パーキング」も採用されている。

さらに、ハイブリッドのeパワーは排気量を1.2Lから1.4Lに拡大し、モーター出力も高めた第2世代を搭載。燃費性能を高めるだけでなく、滑らかでパワフルな走り、制御の工夫による静粛性アップなどを実現している。

広い室内&使い勝手の向上という意味では、電制シフトをスイッチタイプとすることで、運転席の足元まわりを拡大。

シートスライド機構を3列目まで全席に拡大。eパワー車でも2列目シート3人掛けの8人乗車を実現。

また、eパワー車では100VAC電源(1500W)をオプションで用意している。

快適性という意味では、クルマ酔い防止のための工夫を数多く採用した。

パワートレインやサスペンション、シートを工夫することで乗員の頭の揺れを抑制。後席での前方視界を広げ、天井モニターの位置を最適化することで、モニターを見ながらも外の景色が目に入るようにして、クルマ酔い予防を目指している。

「BIG」、「EASY」、「FUN」というセレナの伝統を踏襲しつつ、新たな技術と快適さをプラスしたのが新世代のセレナといえるだろう。

日産自動車の執行役副社長、星野朝子は「納期が長く掛かる大変心苦しい昨今ではありますが、納車された暁には、日産車で良かったと言ってもらえるよう最大限努力します」と述べた。

価格はeパワーが319万8800円〜479万8200円、内燃機関モデルが276万8700円〜326万9200円となる。

商用バンからの決別 初代セレナ

セレナが誕生したのは1991年6月6日。バネット・セレナの名称で世に送り出された。

バネットとは、1978年のサニー・バネット/チェリー・バネットに始まり、現在のNV200バネットにまで続く、日産のコンパクト商用バンに使われる伝統の名称だ。そのバネットの流れの中、バネット・セレナが生み出されたのだ。


日産バネット・セレナ2WD FX    日産

そんなセレナ(バネット・セレナ)の特徴は、「乗る人すべてに、楽しさ、快適さを提供する新世代のファミリービークル」を目標にしていることだ。

エンジンを車体中央に置くミドシップレイアウトを採用することで、前後重量配分を大幅に改良。快適性、走行安定性も高めていたのだ。

商用車のバネットバンも兄弟車に存在するが、最初から乗用目的を主眼に開発されていたのだ。

その前の世代まではバネットを名乗り、1978年より続く商用バンというイメージが強かった。セレナという名称を与えられたのは、商用ではなくファミリービークルを指向することを内外に示すのが目的だといえるだろう。

また、初代セレナは、特別仕様車「アーバンリゾート」や「キタキツネ」、そして今に続く「ハイウェイスター」などを世に送り出し、商用ではない、新しいファミリー向けミニバンの価値観を生み出していったことも特筆すべき点だろう。

そして、1994年5月のマイナーチェンジで、名称からバネットの文字が廃され、正式にセレナは独立モデルとしての歴史を歩み始める。

ワゴン専用に開発 FF化した2代目

第2世代のセレナの登場は1999年6月21日。

商用バンの兄弟車を持っていた先代と異なり、2代目モデルはワゴン専用モデルとして開発された。


第2世代のセレナはFFレイアウトとなって登場    日産

それにあわせてミドシップの後輪駆動からFF(フロントエンジンの前輪駆動)へと変更。

ワンボックス用のプラットフォームの採用により、車内の床の高さを低くしつつも車体剛性を高めることに成功。

先代は左側だけだったスライドドアを、2代目からは両側に装備することができるようになっていたのだ。

また先代でも好評であった「ハイウェイスター」、「キタキツネ」は継続採用されていた。

そんな2代目モデルは、発売1週間で月販目標の5000台を突破する受注を得ている。幸先の良いスタートを切ることに成功したのだ。

その後、2001年にフロンとリアまわりのデザインを一新するマイナーチェンジを実施。

また、厳しくなる排気ガス規制にあわせて、ディーゼルエンジンがラインナップから消えることになった。

2002年にはセレナ累計国内販売50万台突破を記念する「デュアルディスクV-G」、「デュアルディスクV-Gナビパッケージ」を発売。

ちなみに記録は1991年6月から計算が始まり、2003年3月末に達成見込みという発表であった。

強力ライバルと真っ向勝負 3代目

3代目モデルの誕生は、2005年5月31日。

当時の日産は、ルノーからカルロス・ゴーンを迎え、大胆なリストラでV字回復を成し遂げたという状況だ。


日産セレナ・ハイウェイスターVセレクション    日産

その回復の波に乗って生まれたのが3代目のセレナであった。

3代目モデルは「見てBIG」、「さわってEASY」、「使ってFUN」という今に続くコンセプトを掲げ、広い室内空間、洗練されたデザイン、使い勝手の良さを特徴とした。

3代目の登場した2000年代初頭は、1990年誕生のトヨタ・エスティマ、1996年デビューのホンダのステップワゴン、2001年デビューのトヨタのノア/ヴォクシーといった人気モデルが揃ったこともあり、ミニバンの人気が急上昇していた。

そんな中でセレナはフルモデルチェンジの翌年となる2006年に年間販売ランキングで、6位のステップワゴンの上を行く5位を獲得。翌2007年も5位をキープするなど、人気モデルとなっていたのだ。

そして2007年12月にマイナーチェンジで内外装をリファイン。

フレッシュさを得たことで、2007年から2009年の3年間にわたり、国内ミニバンの販売台数ナンバー1を実現。

5ナンバーサイズのミニバンの代表格となるだけでなく、国内の日産販売の牽引役を務めるほどに成長した。

エコ優遇時代に 燃費性能高めた4代目

4代目のセレナの登場は2010年11月8日。

広い室内と使い勝手の良さという従来からの美点を継承しつつ、省燃費性能を磨き上げたのが4代目の特徴だ。


第4世代のセレナにはマイルドハイブリッドも設定。    日産

ちょうど誕生の前年となる2009年からは燃費の良いクルマに対するエコカー減税&補助金が実施され、トヨタのプリウスが大ヒットしていた。

そうした燃費を重視する世相に対して、4代目セレナは、ECOモーター式というアイドリングストップを採用。オルタネーターによって減速時のエネルギーで発電をおこなう回生機能を備えた。

また、アイドリングストップからの再始動にもECOモーターを利用し、スムーズな再始動を実現。さらに新開発の直噴エンジンにCVTを組み合わせることで燃費性能を高めたのだ。

さらに2012年8月にはECOモーターを発展させたマイルドハイブリッドのSハイブリッドを追加。

これはオルタネーターの出力を高めると同時にサブバッテリーを追加し、減速エネルギーの回生だけでなく、エンジンの補助までをおこなえるようにしたものだ。

時流に乗った改良をおこなったこともあり、4代目セレナもヒットモデルとなる。

デビュー翌年の2011年の年間販売ランキングでは4位に。これはミニバンとしての最上位であり、その後、2012年、2013年と3年連続でのミニバン・ナンバー1の売上を達成したのだ。

プロパイロットとeパワー 技術の5代目

2016年8月24日に5代目となるセレナがデビューする。

このモデルも「広い室内」、「使い勝手の良さ」という基本は従来どおり。


5代目日産セレナは2016年8月にデビュー    日産

それにプラスされたのが「プロパイロット」だ。

これは、高速道路で、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動制御して先行車を追従しながら、単一車線内をキープするというもの。今でいえばステアリングアシスト付きのACCであり、軽自動車にまで広く普及しつつある技術である。

しかし、2016年当時は日産として初であり、採用するのは欧州のプレミアムカーの一部といった、まさに最先端の技術であった。日産がいかにセレナに力を入れていたかが、わかる大胆な採用であったのだ。

しかし、そんなセレナであったが2017年の販売では、トヨタのヴォクシーに敗北する。年間販売ランキングでは、10位のセレナに対して、ヴォクシーは9位と上をいく結果に。

しかし、2018年2月に本格ハイブリッドのセレナeパワーを投入。

すると一気に販売を挽回し、2018年の年間販売では4位に食い込み、ミニバン・ナンバー1を奪取。さらに翌2019年もミニバンの年間ナンバー1を連覇することに成功している。

商用バンの派生から始まり、ファミリー向けミニバンの勃興に大きく貢献したセレナ。

セレナという存在抜きに、現在の国内のミニバンジャンルを語ることができないだろう。

そして、新世代となったセレナも、この先の日本のミニバンの行方に大きな影響を与えることだろう。