立憲民主党の「ブーメラン」体質は改まるのか(写真は11月30日の臨時党大会)

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自民党議員の政党支部が雇用調整助成金(雇調金)を受給していたことが問題になる中、立憲民主党の政党支部でも、コロナ禍にともなう「小学校休業等対応助成金」を受け取っていたことが2021年12月14日に明らかになった。西村智奈美幹事長は、制度上は適切な受給とする一方で、「国民の誤解を招きかねない」として返還の手続きを進めていることを明らかにした。

この二つの助成金は性質が異なる。ただ、立憲は公費という安定的な財源で活動している国会議員がコロナ対策の支援や給付を受けること自体を問題視する議論を展開していた。新体制でも「ブーメラン」体質が解消されない状態だ。

「年休だと本人の年休日数を減らすし、無給はおかしいし...」

雇調金は、コロナ禍で売上減少などの「事業活動の縮小」を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を守るために休業させた場合、休業手当の一部を助成する制度。自民党の石原伸晃元幹事長、環境副大臣の大岡敏孝衆院議員、元参院議員の岩城光英氏の政党支部が受給していたことが明らかになっている。要件のひとつが「最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している」。政党や政治団体も「事業主」のひとつだが、寄付が減ったことを理由に雇調金を受給することを疑問視する声が出ていた。

一方、立憲の阿部知子、岡本あき子両衆院議員の政党支部は、「小学校休業等対応助成金」を、それぞれ24万4920円、2万9520円受け取っていた。コロナ禍で小学校が臨時休校になったことを受けた措置で、子どもの世話のために従業員に休みを取らせた事業主に助成金を出す制度だ。

両議員は12月14〜15日にかけてツイッターを更新。共通しているのは地元事務所の私設秘書が子どもの預け先に苦労していたという事情で、申請とその後の返金の経緯をそれぞれ説明した。

「私としてはあくまでも仕事と家庭の両立支援を進めたいという思いと、このコロナで休校となった子ども達に寄り添う時間を保護者に、と思いました。制度的には育児休暇や介護、看護休暇と同様の有給休暇になります。ただ今回、十分な国民への説明やご理解を得てない状況に鑑み、返金する事と致しました」(阿部氏)
「年休だと本人の年休日数を減らすし、無給はおかしいし、事務所持ち出しも、他のスタッフが仕事していることのバランスを考え、本人が気兼ねなく休めるという制度として受給を決めたものです。しかし政治団体が公の助成金を受給することへ対する一定のご批判もあることを改めて自覚して、反省とともに返還するものです。申し訳ございません」(岡本氏)

「コロナ禍で苦しむ方々と同様に、同等に受け取るという判断は、私は不適切だと思う」

立憲は政党支部の雇調金受給を非難してきた。小川淳也政調会長は12月13日の衆院予算委員会で、石原氏と大岡氏の問題に言及。その中で、安定的に公費で支えられている国会議員が助成金を受け取ることを批判した。

「我々の政治活動は基本的に安定的な財源によって賄われている。もちろんそれはパーティーだとか色々やりやすいもの、やりにくいもの、やりやすい時期、そうでない時期、いろいろあるだろう。しかし安定的に公費で支えられているこの政治活動(を行っている国会議員)が、安易にこのコロナ禍で苦しむ方々と同様に、同等に受け取るという判断は、私は不適切だと思う」

さらに小川氏は、石原氏、大岡氏の収入が横ばいだったことを指摘した上で

「なんでこれ、安易にこんな雇用調整金助成金に頼ったんですか?」

と疑問視し、国会議員は「制度を議論し決定し実施する立場にある」とも述べた。その一例として挙げたのが、1人10万円を配った「特別定額給付金」をめぐるエピソードだ。多くの国会議員が受け取りを辞退したり寄付したりしたとして、大岡氏の副大臣辞任を要求した。

「あなたはこうした制度への国民的信頼を損ねた、軽んじたという、政治的、道義的に責任が発生している。大岡さん、はっきり申し上げますよ?引責したらいかがですか?」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)