ウェブサイトやアプリで自分が病気なのかどうかを調べると、自分が病気にかかっているという不安が増大し、依存的に検索を続けてしまう状態になることがあります。このため、一般的には「病気をGoogle検索すること」は推奨されていませんが、実際のところ、オンライン診断の精度はどれくらいなのか?ということで研究者が分析を行いました。その結果、ある種の症状チェッカーは信頼性が低いものの、信頼性が高い症状チェッカーも存在するという結論が示されています。

The quality of diagnosis and triage advice provided by free online symptom checkers and apps in Australia - Hill - - Medical Journal of Australia - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.5694/mja2.50600

ECU | New ECU research finds 'Dr Google' is almost always wrong : News : News

https://www.ecu.edu.au/news/latest-news/2020/05/new-ecu-research-finds-dr-google-is-almost-always-wrong

It's Official: Study Shows Dr Google Really Is Wrong More Often Than Not

https://www.sciencealert.com/here-s-why-googling-your-symptoms-instead-of-seeing-a-doctor-is-a-really-bad-idea

エディスコーワン大学のミシェラ・ヒル氏らは、オンライン上で病気を診断する、人気かつ無料のウェブサイトやアプリの精度を分析。研究チームは48の病気について、患者が訴えることの多い症状をウェブサイトやアプリに入力してテストを行いました。

実験に利用された診断チェッカーは診断情報を提供する症状チェッカー(SC)と緊急度を知らせるトリアージSCに分類されました。まず最初に診断情報を提供するSCについて分析を行ったところ、実験で使われた27個のSCが正しい診断を下す確率は全体の36%だったとのこと。つまり、誰かがSCを利用したときに、3分の2の診断は間違っている可能性があるということです。2015年の研究でもハーバード大学の研究者がオンラインの症状チェッカーの精度を34%としており、今回の研究と非常に近い値となっていました。これは、5年という月日が症状チェッカーの信頼度を上げなかったとも読み取れます。

一方で、ユーザーが入力した症状に基づきウェブサイトやアプリが来院をすすめるトリアージSCの場合、緊急性が高いものについては60%が適切であり、信頼度が高いことが判明しました。ただし、緊急性が低いアドバイスの場合、その信頼度は30〜40%にまで落ちるそうです。ヒル氏はこの結果について「必要がないときに救急医療にかかってしまう可能性がある」と述べています。



また、全てのウェブサイトやアプリが同じエラー率というわけではなく、人工知能アルゴリズムや人口統計情報に基づいて診断を下すSCは、それ以外のSCよりも信頼性が高いことも研究者は記しています。ただし、このようなサービスは一部であり、またサービスによっても精度に差があるとのこと。

「診断は一律の評価ではなく、知識・経験・臨床試験・検査・時間経過などを必要とするものであり、たった一度のオンラインのやりとりと置き換えられるものではありません」とヒル氏は述べました。研究者はオンライン診断の有用性を認めつつも、過去の病歴や入力した内容以外の症状を把握しないオンライン診断が医師の代わりになるという考えに警鐘を鳴らしています。