パンデミックとエピデミックの違いってなに? 今さら聞けない新型コロナウイルス用語
とはいえ、医学的な専門用語を理解するのは、決して簡単ではない。
そこで新型コロナウイルス感染症に関連した用語の中でも医療に関わる言葉を、できるだけ平易な言葉でまとめてみた。
○新型コロナウイルス感染症
「新型コロナウイルス感染症」の「コロナ」「ウイルス」「感染症」は、それぞれ日常生活では使われてこなかった言葉だ。そもそもの意味から確認してみよう。
・ウイルス
ウイルスは毒液という意味を持つラテン語のvirusが名前の由来。
ウイルスは、タンパク質と核酸から構成されている。
ウイルスには自己増殖する機能はなく、ほかの生物の細胞を利用して自分自身を複製して増殖する。また大半の生物はDNAとRNAの両方を持っているが、ウイルスはどちらか一方しか持っていないことが多い。
こうした特徴から、ウイルスを生物に分類しないという考えもある。
・DNA(でぃ・えぬ・えー)
「deoxyribonucleic acid」の略称。
デオキシリボ核酸のこと。
遺伝子情報を記録する物質であり、二本鎖の構造を持つ。
・RNA(あーる・えぬ・えー)
「ribonucleic acid」の略称。
リボ核酸のこと。
遺伝子情報を一時的に記録したり、運んだりする。
・コロナウイルス
コロナは王冠の意味を持つラテン語のcoronaが名前の由来。
ほ乳類と鳥類に病気を引き起こす。
SARSやMERSもコロナウイルスの一種。
・SARS(さーず)
「severe acute respiratory syndrome」の略称。
重症急性呼吸器症候群のこと。
SARSコロナウイルスにより引き起こされる。
・MERS(まーず)
「Middle East Respiratory Syndrome」の略称。
重症呼吸器感染症のこと。
MERSコロナウイルスにより引き起こされる。
アラブ首長国連邦やサウジアラビアなどの中東で多く発生している。
ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有しており、人との濃厚接触で感染すると考えられている。
・COVID-19(こびっと・ないんてぃーん)
「Coronavirus disease 2019」の略称。
新型コロナウイルス感染症のこと。
症状としては、ウイルス性の呼吸器疾患を引き起こす。
感染症には、いろいろな種類がある。
実は、我々は気づかないうちに感染症にかかっている。
たとえば、風邪も感染症のひとつであり、病原体がのどや鼻などの粘膜に感染することにより起こる。
また大半の食中毒は感染性胃腸炎であり、ウイルスや細菌に汚染された食品をとったことが原因で起こる。
「ものもらい」も、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)という感染症であり、水虫は足白癬(あしはくせん)という菌により起こる感染症である。

ウイルス感染を予防、治療するには、ワクチンや治療薬が必要になる。
・病原体(びょうげんたい)
ウイルスも含まれる病気を引き起こす微生物のこと。
・ワクチン
ウイルスによる感染症を予防するために使われる薬品のこと。
病原体から作られた抗原を投与することにより、身体に抗体を作らせ、感染症に対抗する免疫を持たせることができる。
・抗ウイルス薬(こうういるすやく)
ウイルス感染症の治療薬のこと。
抗インフルエンザ薬「イナビル」などが有名。
大規模なウイルス感染は、社会的な問題に発展する。
新型コロナウイルスでは、パンデミックやエピデミックなど感染状況に関する用語も頻繁に使われている。
・エピデミック
伝染病が流行すること。
特定の地域で伝染病が広がり、ピークをむかえたあとに終息していく。
・パンデミック
伝染病が世界的に流行すること。
ギリシア語の「pandēmos」に由来する。
「pan-」は「全て」、「dēmos」は「人々」をあらわす。
エピデミックが世界中で起きた状態。
感染した人が様々な場所へ移動することにより起こる。
パンデミックが発令された最近の事例としては、
・2002年 SARS
・2009年 新型インフルエンザ(A/H1N1)
・1997年 高病原性鳥インフルエンザ
・1996年 プリオン病
こうした感染病がある。
・クラスター
英語では、「cluster」と表記する。
小規模な患者の集団のこと。
・アウトブレイク
想定外に感染症が発生すること。
感染爆発のこと。
・オーバーシュート
アウトブレイクと同意で使われているが、もともとは人口が集中すること。
・ロックダウン
感染症などを防ぐため、人々の出入りを制限すること。
都市封鎖をあらわす。
・ドリルロックダウン
ドアに鍵を掛けることにより、出入りできなくすること。
・フルロックダウン
人々の出入りを全面的に禁止すること。
ニュース報道でも、新型コロナウイルス感染症で新たに登場したワードが多くある。
・検疫(けんえき)
伝染病を防ぐため、人や物を検査すること。
・医療機関(いりょうきかん)
病院や診療所、薬局など、医療を提供する施設のこと。
・保険医療機関(ほけんいりょうきかん)
厚生労働大臣の指定を受けた、病院や診療所のこと。
保険診療を行えるところ。
・WHO(だぶりゅ・えいち・おー)
World Health Organizationの略称で、世界保健機関のこと。
国際連合の専門機関に含まれ、人間の健康を保つために設立された。
・緊急事態宣言(きんきゅうじたいせんげん)
伝染病や災害により、パンデミックなどの危険が迫っている状況の中で、政府や自治体が宣言するもの。
非常事態宣言のこと。
緊急事態宣言が発令されると、どうなるのか?
日本の場合は、新型インフルエンザ等対策特別措置法により、
都道府県の知事は、
・生活の維持に必要な場合を除いて外出しないこと
・新型インフルエンザ等の感染防止に必要な協力
この2つを要請できる。
一般人が食品や薬品を買いに行くことは、生活の維持に必要であるため、外出はかまわない。
さらに、
・学校、社会福祉施設、イベント会場(興行場)
利用停止を要請でき、要請に従わない場合は停止を指示できる。
日本と海外との大きな違いは、日本では強制力が無いことだ。
日本では、外出自粛の要請、施設閉鎖の要請および指示だけであり、罰則規定は設けられていない。
それに対して海外では、自宅待機の命令を出したり、交通機関を停止させたり、道路を封鎖したりする強制的な措置を実施できる。
・3密(さんみつ)
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、下記の3つの密を避けようというもの。
1.換気の悪い密閉空間
2.多数が集まる密集場所
3.間近で会話や発声をする密接場面
・パーソナルスペース
個体距離とも言われる。相手の表情がわかる75cmぐらいの距離。
・ソーシャルディスタンス、社会的距離(しゃかいてききょり)
相手と会話できる1〜3mぐらいの距離。
・自主隔離(じしゅかくり)
他者との接触を避けるために、自分自身で接触を避けること。
ITライフハック 関口哲司
