■営業赤字転落は15年ぶり 売上高はほぼ横ばい

 ソフトバンクグループ(9984)は6日大引け後、20年3月期第2四半期(19年7月〜9月)連結決算(IFRS)を発表。上半期累計(19年4月〜9月)決算は、売上高が前年同期比0.05%減の4兆6,517億2,400万円とほぼ横ばいだったが、営業利益は155億5,200万円の赤字となり、純利益は同49.8%減の4,215億5,200万円となった。

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 中間決算における営業赤字は、04年以来15年ぶり。インターネットビジネスから携帯事業会社、そして投資会社として進化してきたソフトバンクGだが、今回の決算は厳しい内容となった。

■WeWorkやUber等への投資事業で巨額評価損を計上

 携帯事業会社「ソフトバンク」を始め、Zホールディングス(旧ヤフー)やArmなどを傘下に抱えるソフトバンクG。近年力を入れてきたソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が今回の営業赤字要因となった。

 19年に米国市場で上場したユニコーン企業・Uberの株価が上場後下落したことや、直近話題となっているベンチャー企業・WeWorkの評価額の急落など、SVFで投資を行っているベンチャー企業の企業価値の見直しが進んでいる。

 その結果SVF事業においては、5,896億4,700万円の未実現評価益を計上した一方、1兆1,275億7,900万円の未実現評価損を計上し、セグメント損益として5,726億3,900万円の赤字を計上したことが、連結決算に影響を及ぼした要因だ。

■中長期的な投資姿勢に変化はなく

 IPO予定だったWeWorkが、創業者関連のトラブルを始め市場から厳しい目にさらされたことから、IPO中止を余儀なくされ、評価額を大きく切り下げることとなった。そんな中ソフトバンクGとしては、WeWorkへのコミットメントを強める発表を行い、約1兆円の金融支援を決めた。

 6日の決算発表で、孫正義社長は「決算の発表内容はぼろぼろ、真っ赤っかの大赤字」と発言しているが、その表情に悲壮感は感じられなかった。国際会計基準による時価評価での投資先企業の価値見直しが赤字要因であり、事実、携帯事業会社・ソフトバンクはヤフーを子会社化した影響はあるものの、セグメント利益が前年同期比7%増となっている。

 逆風にさらされているソフトバンクGだが、もはや投資会社としての色が強く、通常の事業会社の決算と同様に判断するのは不可能である。孫社長が下期にどのような戦略をとって業績を立て直すかが気になるところだ。