突然だが、読者の皆様は「 廖(1)」という数字表記を普段どのように読んでいるだろうか。


これ、なんて読む?

会社の書類や授業のプリントなど、色々な場面で見かけるこちらの数字表記。「まるいち」「かっこいち」のように、「まる」や「かっこ」といった記号を先に読み、続いて数字を読む人が多いはずだ。

これが全国的に共通の読み方かと思いきや、山形県では「いちまる」「いちかっこ」のように数字を先にする読み方がメジャーらしい。こうした変わった読み方(?)は、過去にメディアでも取り上げられたことがある。

いったい、どうして山形ではこのような読み方が広まっているのだろうか。Jタウンネット編集部は取材を進めた。

地元民「それが当たり前だと思ってた」

「地元にいた時は、それが当たり前だと思ってたので、普通に『いちまる』『いちかっこ』『いちしかく』と読んでいた」

こう振り返るのは高校卒業まで山形で過ごし、大学進学を機に上京したSさん(20代女性)だ。上京した後、テレビなどを通じて山形県民だけそのように読むことを知り、衝撃を受けたという。

「大学の授業で、無意識に『いちかっこ』と読んで突っ込まれた気がする。でも、別にそこまで恥ずかしいことではなかったので、『山形ではこう読むんだよ〜』って話した記憶が」(Sさん)

また、山形で大学時代を過ごしたというQさん(20代男性)からは、こうした読み方について、「山形の人は変だとは思いながらも使っている」との返答が。メディアを通じて独自の読み方ではあるということを知りつつも、あえてこの読み方を貫いているとする意見もあった。

真相はいったい――Jタウンネット編集部は、日本語学が専門で、跡見学園女子大学文学部人文学科で准教授を務める加藤大鶴氏に話を聞いた。

ルーツは大正時代に?

加藤氏は山形について多様な切り口で学習・研究を進める「山形学」の企画委員も務め、山形の方言についても造詣が深い。「いちまる」「いちかっこ」などの読み方が広まった経緯について話を聞くと、

「学校教育が始まった段階で山形師範学校を卒業して県内の小学校の先生になった人がこの呼び方を広めていったという説が一般的に言われていると思います」

と説明。さらに、「いちかっこ」との読み方のルーツに大正時代のノートに見られた「一)」との記載が関係しているのではないかと指摘する。

「古い教科書を見ていくと、丸数字は第二次大戦を境に増えるようで、戦前はかっこで記されることが多いようです。東北文教大学所蔵に寄贈された大正時代の算数のノートには『一)』との記載が見られました。

これは仮説なんですけど、『一)』との記載から『いちかっこ』との呼び方が県内の小学校の先生を中心にして広まったのではないでしょうか。それが 覆い舛泙襦砲覆匹砲眷筏擇靴燭里任呂覆いと思います」(加藤氏)

当時、「一)」との記載が山形だけに限らず全国にあったことは考えられるとしつつも、県内の小学校の先生を中心にして山形ではこの読み方が波及したと推測する。

山形独自の読み方は、実はけっこう長い歴史があるようだ。