サッカー界の移籍金バブルにC・ロナウドが持論を展開した。 (C) Getty Images

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 昨今のサッカー界は移籍金の高騰が目立っている。

 今夏の移籍市場でも8000万ユーロ(約100億円)を超える高額移籍は、アントワーヌ・グリエーズマンやエデン・アザール、ジョアン・フェリックスなど7件も成立した。

 テレビ放映権の高騰や、中東や中国の企業の参入によって加速し続けている「移籍金高騰バブル」が下火になる気配はいまだ見られない。今夏の移籍市場でも、「クラブ史上最高額」の更新がいくつあったことか。

 そうした現状にユベントスの大黒柱クリスチアーノ・ロナウドが、母国メディア『TV1』のインタビューで苦言を呈した。

 自身も2009年の夏に当時の史上最高額となる9400万ユーロ(約120億円)で、マンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリーに移籍。昨夏にユーベに移った際には、1億1700万ユーロ(約152億1000万円)が動いたビッグスターは、昨今の潮流について、「いまのフットボール界で物差しを作るのは難しい」と持論を語った。

「各クラブが選手のポテンシャルに賭けることが多い。今のフットボール界は、昔とは変わっていて、ジョアン・フェリックスのような選手は別としても、特別な何かを見せているわけではない選手ですら、1億ユーロ(約125億円)の値がついてしまうんだ」

 高額移籍は売り手クラブの財布を潤わせる一方で、買い手の財務状況を逼迫させる懸念がる。また、その額面が評価の基準となって、「移籍金に見合った活躍ができていない」と批判されるケースも少なくない。C・ロナウドは、そういった問題点を念頭に声を上がたのだろう。

 ただ、こうした風潮を止めるのはもはや難しいことも、理解しているようだ。

「今はより多くのお金がフットボール界に流れているんだ。平凡なセンターバックやゴールキーパーが7000万〜8000万ユーロ(約87億5000万円〜100億円)もするようになった。こうした現状には賛同しかねるけど、それこそが僕らが生きている世界であり、尊重しなければならない」

 数々のゴールでチームに勝利をもたらしてきたC・ロナウドにとって、実績に乏しい選手が自身と同じか、それ以上の移籍金で取引されていくのを、黙って見ているわけにはいかなかったのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部