電子楽器を機械が打鍵、AIが異常検知
カシオ計算機は中国子会社のカシオ電子科技(広東省中山市)で電子楽器を生産している。中国子会社の検査工程に導入する新たな官能検査では、自動打鍵機が一定の強さで鍵盤を叩き、機械に設置したマイクで集音し、AIが解析する。不良品に発生する異音や機械の周囲で発生する雑音のデータを学習して、ネジの緩みなどで発生する異音だけを高精度に検知する。
従来の検査と比較すると、スタンダードタイプの場合で検査員3人分程度の時間短縮を見込む。カシオ計算機の矢沢篤志執行役員生産本部長は「(生産の効率化よりも)品質の維持への寄与が大きい」と語る。従来の検査では検査の精度が個人の能力や体調に左右される可能性があった。
電子楽器の生産効率化は、18年10月に一部製品の組み立て自動化により高めている。電子ピアノの鍵盤の組み立てでは、従来比で約60%の生産効率化と工数削減を達成した。
政府は19年版「ものづくり白書」で、熟練技術のデジタル化による生産効率化の重要性を指摘する。ニコンは熟練技術が不可欠とされるカメラ用交換レンズの加工や検査で、20年度からのAI活用を目指す。人手不足や技能伝承などの観点からも、“匠(たくみ)の技”をAIで維持する動きが広がりつつある。
