慶應ガール、29歳:美人で仕事もデキるパーフェクト・ウーマン。それゆえ恋愛迷走期もあったが、ついに!?
大学時代「慶應ガール」と呼ばれ、華やかなイメージを持たれている慶應卒の女性。しかし、そのすべての女たちがそのイメージ通りの生活を送っているのだろうか?
慶應というブランド力を持ちながらも、その派手さを苦手とし、日陰の人生を送るのを好む女もいる。そんな「慶應ガール」の人生とは?
久々に復活したこの連載、今週は外資系経営戦略コンサルタントとなった慶應ガールに迫る。

<今週の慶應ガール>
職業:外資系経営コンサルタント
学部:法学部
年収:1,600万円
住居:麻布十番で3LDKのタワーマンション
家賃:70万円
出自:神戸出身。高校卒業後に進学。父が自営業を営む裕福な家庭で育つ。
ステータス:独身、交際歴2年の彼氏と同棲中。
「欲しいものは必ず手に入れる」恋や進路、全てが順風満帆だった学生時代
「私、とにかく貪欲なんですよ。仕事でも恋愛でも遊びでもなんでも、常にもっともっとって、なかなか現状に満足できないんです。自分で言うのもなんですが、男性からしたら究極にめんどくさい女だと思います。(笑)」
ダイアンフォステンバーグのラップワンピースにセオリーのジャケットをかちっと羽織り、フェンディの“ピーカーブー”を持って、コツコツとピンヒールを鳴らしながら颯爽と現れた彩子は、いきなり開き直りとも自虐とも取れる毒を吐いた。
※ピーカーブー…昨年話題を呼んだアラフォーの恋愛ドラマ「オトナ女子」で主役のOL篠原涼子が持っていて話題となったフェンディのバッグ。価格は50万円相当。いうまでもなくアラサー女性が持つ仕事バッグとしてはかなり高価である。
色白な肌にくっきりとした目鼻立ち、サラサラの黒髪ロング。適度にメリハリがあるほっそりとした体。彩子は10人に聞いたら10人が“美人”と認めるレベルのルックスの持ち主である。高価な装飾品がまた、そんな彼女をより一層輝かせている。
今年の秋で30歳を迎える彩子は、最近交際2年目になる年上の経営者、達郎と同棲を始めたばかりだ。20代前半の頃は「なんとしてでも30歳になるまでにお嫁に行く!」と前のめりになっていたが、失敗続きだった20代後半の婚活期間を経てようやく出会えた達郎のおかげで、今やその焦りはすっかり取り除かれたという。
地元神戸の女子高を卒業した後、指定校推薦で法学部に入学。弁護士を目指してWスクールしながら必死で勉強するも、4年生のとき、力試しで受けた就職活動で外資の経営コンサルティング会社から内定をもらった彩子は、あっさり路線変更する。
外資系コンサルは、かなり給与水準が高く、実力次第で若いうちから出世が望める業界でもある。将来の安定のために資格を取ろうとしていたが、負けず嫌いで上昇志向の高い彩子は、就活を経てそういったフィールドで自分を試してみたくなったという。幸い、予備校で勉強してきた法律の知識は、現在の仕事でもかなり生かせている。
学生時代はテニスサークルに所属していた彩子は、そのサークルの先輩、大輔と大学1年生の頃から付き合っていた。大輔は幼稚舎出身の生粋の慶應ボーイである。
そもそも10代から何かと諸経費の掛かるテニスをたしなむ学生のほとんどは裕福な内部生であり、大学から慶應に入った彩子はサークル内では珍しい方だった。そのサークルは校内でもセレブの集団として知られていた。3歳年上の大輔は、とても穏やかな性格で包容力があり、何よりも遊び慣れていた。
同級生が日吉や渋谷で遊んでいる中、彩子は大輔の周りの友人らと西麻布やプラチナ通りで食事をするのが日常だったし、車を持っていた大輔は、彩子を色々な場所へ連れて行ってくれた。大輔と交際することで、彩子は周りよりだいぶ若くして東京での遊び方を覚えていく。
社会人3年目、完璧なはずだった人生プランに徐々に狂いが!?
生まれて初めての失恋を経て、痛々しすぎる恋愛迷走期へ突入!
今まで自分の欲しいものはなんでも手に入れてきた彩子。自分の幸せに向かって恋も仕事も“最高”を求めてきたつもりだったのに…。
彼女は25歳にして人生初の挫折を味わう。多忙のあまり我儘が加速し、大輔に甘えきっていた彩子は、大輔の気持ちが少しずつ離れてしまっていることにすら気づけなかったのだ。彩子が就職して3年目の春、大輔の浮気が発覚し、とうとう二人は別れてしまう。
精神的にかなりまいっていたにも関わらず、皮肉なことに仕事の方はすこぶる順調だった。同期の中でも最速で昇格し、着実にキャリアを積んでいった彩子の年収は入社3年目ですでに1,000万円近くまで上がっていた。8時に出社して夜中タクシーで帰る日々。当時の彩子の平均睡眠時間はわずか3時間程度だった。
はたから見れば異常とも取れるほど、ワーカホリックな毎日を送っていた彩子は、失恋でぽっかり空いてしまった心の穴を、まるで仕事のタスクをこなすように合コンやデートの予定で埋めようとする。
「早く彼氏を作ろうと、必死でした。当時はまだ周りもほとんど結婚していなかったし、飲み会のお誘いも結構あって…。お食事会で出会った人と、すかさずピンアポを取り付けました。1人でいるのが嫌だったので、とにかく予定を埋めたくて…。あの頃の私は、ちょっとおかしくなってたんです(笑)。」
金曜の夜、土曜の昼、夜、日曜の昼、夜、この5枠にフルで予定を入れる。打ち合わせの間に会社を抜け出してネイルやヘアサロンへ行ったり、週末にデートの予定が入れば、その相手の趣味をリサーチして、洋服を上から下まで全身コーディネートで新調する。

そのおかげでカードの請求額が100万円を超える月もあった。心の拠りどころを失った彩子は、仕事以外の全精力を“新しい男探し”に注ぎ込んだのだ。
25歳で久々に恋愛市場に出た彩子は、自分のキャリアがかなりの障害になっている現実に気づかされる。そもそも自分の年収を超える男、越えずとも同等に稼いでいる男自体がかなり少ない。仮にいたとしても、相手が彩子のスペックを見て怖気づいてしまう場合も多かった。
「お医者さんとか、業界が近い投資銀行の人とか、飲み会をする相手の職業は自ずと限られていきました。『ナシじゃないかも』と思った人と何回かデートしてみるんですけど、みんな付き合うまではいかないんです。
私がいいなと思っている人はなかなか振り向いてもらえなかったり、逆に向こうがグイグイ来てくれる時は私が途中で冷めてしまったり…。」
「ナシじゃない」は彩子の口癖である。本人はプラスの意味で使っているつもりでいるが、それは常に男を減点方式で品定めしてことの動かぬ証拠である。
“ナシじゃない”男、数人とコンスタントにデートする状態が2年以上続いたが、どの相手とも3ヵ月と持たずに終わってしまう、クォーターラブ状態。常に動いていないと気が済まないタイプ彩子も、さすがに疲弊していく。ちょうどその頃、現在の彼氏、ベンチャー企業の経営者である達郎(38歳)に出会うことになる。
果たして彩子は、この迷走期から抜け出すことができるのか?
たなぼた的に現れた経営者、達郎との今までとは全く違った新しい付き合い方
「達郎は会社関係の飲み会で偶然一緒になったのが最初だったんですけど、正直第一印象はイマイチ(笑)。『仕事熱心な人なんだな〜』くらいにしか思っていなかったです。出会ったことも忘れていた頃に、彼が急に食事に誘ってくれたんです。」
達郎のことを全く持って恋愛対象として見ていなかった彩子は、連れて行ってもらった『鮨とかみ』で、達郎の目を気にせずぐびぐび日本酒を飲み、大好きなマグロの鮨を頬張った。
話してみたら思いのほか会話も弾んだため、まだ2回しか会ったことのない達郎に、酔った勢いで仕事や恋愛の悩みまで打ち明けてしまったらしい。彩子にとって、そんな学生時代の男友達と飲んでいるような肩肘張らない食事は本当に久しぶりだったのだ。
そしてその気取らないありのままの彩子の姿は、達郎にも魅力的に映ったようだ。その後、二人は徐々に会う回数が増え、結果的に達郎がリードする形で二人は付き合うようになる。長かった恋愛迷走期は、思わぬ形で幕を閉じた。
「彼は今まで私が恋愛してきた男性と全くタイプが違いますね。全然尽くしてくれるタイプじゃないし(笑)。帰国子女特有のマイペースさというか…
私がプンプン怒っても彼は全く動じないんです。わけのわからないギャグで返してきたりして。そうされると、私もなんだか怒る気力もなくなっちゃうんですよね。なんとなく彼の前では自然体でいられて、すごく居心地がいいんです。」
海外生活が長く自分も経営者である達郎は、彩子の働き方に対し、「女性なのに…」などと日本人男性が口にしそうな苦言を呈することはなく、むしろリスペクトの意を示してくれた。お互いいい意味で自立しながら尊重し合える。キャリアを持つ二人だからこそ築ける関係である。
かつては「男性にはなんでもしてもらうことが当たり前」だったはずの彩子にとって、達郎のために食事を作ることが、今一番の息抜きになっているという。かつての彩子だったらありえないことである。

痛々しい恋愛迷走期を経て、とうとう幸せを手に入れた彩子。今はプライベートと仕事のバランスもしっかり取れて、心穏やかな毎日を過ごせているそうだ。何事にも貪欲に生きるスタンスは、もちろんこの先も変えるつもりはない。30歳の誕生日に、果たして達郎からのプロポーズはあるのか…二人の今後を見守るとしよう。
【これまでの慶應ガールたち】
vol.1:人生、負け知らずの外銀セールス美女。初めて訪れる挫折とは?
vol.2:このまま秘書でいいのかな。独立を迷ったあの頃 → 今は女社長
vol.3:温室育ちのゆるふわ専業主婦の、30歳を目前とした変化
vol.4:慶應ガール、29歳:出世か?実家の後継ぎか?メガバンク勤務の女、人生に迷う
vol.5:2度の婚約破棄に、重度のマリッジブルー。慶應ガールらしからぬ人生を送る女のその理由
vol.6:「結婚」は「幸せ」とは限らないと気づいた、シングルマザー
