敬語でもNG?TPOをわきまえた間違いのないお願いのしかた
敬語は、上から目線という印象を与えたり、逆に、回りくどいと思われたりで、使い方はけっこうややこしいです。
たとえばあなたが、同僚にいきなり「これ、お願いします」といって仕事をお願いされた場合、なんだかモヤっとしませんか?
いくら親しい間柄だったとしても、依頼の前には「すいませんが」や「忙しいところ申し訳ないけど」といった前置きの表現を入れるのが礼儀というもの。この一言があるとないとでは随分印象が違ってきます。
このように、良かれと思って使っている敬語でも、それ(だけ)では不備なこともあるのです。
●「これ、お願いできますか?」と婉曲的に伝えるとなおグッド
なお、「これ、お願いします」という言い方を、「これ、お願いできますか」「お願いしてもいいですか」といった婉曲的な表現で伝えると、相手に対する配慮を確実に表すことができます。
●「書いていただいてもよろしいですか」は回りくどい印象を与える
「こちらの書類に書いていただいてもよろしいですか」といった言い方は、「書いていただけますか」に比べ、すこし回りくどい言い方に聞こえてしまいます。
というのも、「〜てもいいですか」「〜てもよろしいですか」といった言い方は、基本的に自分のすることについて相手に許可を求めるもので、相手に依頼するときは、「書いてください」「書いていただけますか」という言い方で済むものだからです。
しかし、わざわざ(自分のすることに対して)許可を求める表現に変えているというのは、相手に対して押し付けるような印象をなくそうとする相手への配慮だと考えられます。
とはいえ、指示や依頼が簡潔にできる状況下では、こうした表現は避けたほうがよいでしょう。
●「発表させていただきます」「休業させていただきます」はNG?
「…(さ)せていただく」といった敬語の使い方は、基本的に、「自分側が行なうことを相手側又は第三者の許可を受けて行ない、そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合」に使われるもの。
そのため、「…(さ)せていただく」といった表現は、適切な場合とあまり適切とは言えない場合があります。
「発表させていただきます」「休業させていただきます」の場合、「自分側が行なうことを相手側又は第三者の許可を受けて行なう」行為かどうかで、そういうことではないのなら、「発表いたします」「休業いたします」のほうが適切だと言えます。
ところで、よく、結婚式のスピーチなどで、「私は、新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です」などという言葉を耳にします。この場合は不適切な表現になってしまうのですが、結婚式というものが新郎や新婦を最大限に立てるべき場であることを考え合わせたのなら、許容されるという考え方もあり得るようです。
相手を尊重して丁寧に表現するという気持ちは大切ですが、それでかえって回りくどいとか慇懃無礼な印象を与えてしまっていたとしたら本末転倒です。一度、自分が普段使っている敬語をふり返ってみてはいかがでしょうか。
文・鈴木ゆかり
※参考
文化庁「敬語おもしろ相談室」
http://keigo.bunka.go.jp/chapter3/detail.html
