電波調査隊が行く、GW直前の東海道新幹線・東京−名古屋間 LTE品質調査
国内スマートフォンは、携帯電話会社が同じような機種を提供し、メーカーごとの性能差や機能差がわかりにくくなっています。こうしたなかでデータ通信の速度や品質が他社との差別化要因となり、ドコモは「Strong.」、auは「ツナガル」、ソフトバンクは「〜No.1」と品質をアピールしています。Engadgetでは 昨年11月に東北エリアのLTE品質調査を実施するなど、各社ネットワークの通信品質を検証してきました。今回は auが実施した、ゴールデンウィーク直前の東海道新幹線・東京駅−名古屋駅間の公開フィールドテストに参加。au側の調査の模様だけでなく、Engadgetでも独自にドコモ、ソフトバンク、イー・モバイルとのLTE比較調査を実施した計測結果をお届けします。
調査日の4月23日は、米国大統領のオバマ氏が夜に来日するタイミングで東京駅も警戒態勢でした。公開フィールドテストのスタート地点となる東京駅に集合して、13時より東海道新幹線のぞみに乗車。 auのエンジニアによるテスト準備が整った新横浜駅あたりで、au技術統括本部 エリア品質強化室長の木下氏より今回のフィールドテスト方法についての説明がありました。
(社長のヘッドロック薫陶で社内でも有名になったというau技術統括本部 エリア品質強化室長 木下氏)新幹線全路線・全駅でのLTEエリア化や通信品質の高さをアピールするauですが、今回の調査では、LTEから3Gに落ちてしまうハンドダウンが何度あるのか、高速に通信できているのかなどを計測します。調査では、フィールドテスト用にカスタマイズされた京セラ製AndoridスマートフォンURBANOを使用。エンジニア1名につき10台ずつ、シート3列に3名の合計30台で計測します。なお通常の調査では、バラバラに乗車して合計25台で計測しているそうです。計測は、10台のスマートフォンを左右の窓側に5台ずつ分けてテーブルに設置します。走行中は左側と右側で異なる基地局の電波を掴むこともあり、とくに対向車輌が通過する側は、すれ違い時など過渡的なトラフィックが発生する場合があります。10台のPCは5台ずつに分けて、進行方向左右端のテーブルに設置
調査には、車窓からの映像を記録するカメラと、車速計測用のスマートフォン、GPSで位置を取得するためのスマートフォンもあります。3名のエンジニアは、RSRP(Reference Signal Received Power=基準信号受信電力)・ RSRQ(Reference Signal Received Quality=基準信号受信品質)といった電波の質、基地局情報や接続回線種別(LTE・3G)をチェックし、LTEから3Gへハンドダウンがあればログを取得しながら報告していきます。
このほか、Androidタブレットでストリーミング再生する映像や音の品質もモニタリング。計測数値だけでは把握しにくいJitter(ゆらぎ)やLatency(遅延)などによる品質低下がないかを利用者レベルで確認していました。
結果は、正常再生時間比率:98.9%(=動画視聴時間 1時間12分19秒÷正常に見れた時間 1時間12分11秒)および途切れが合計3回・秒数合計8秒。
タブレットでストリーミング動画の品質をチェック
しばらく走行していると、急にエンジニアが立ち上がり「落ちました!」と報告。地図にハンドダウンした場所を示す赤いシールを貼り付けました。LTEから3Gへの最初のハンドダウンは小田原付近。最終的に、東京駅から名古屋駅間で合計5枚のシールが地図に貼られました。30台のスマートフォンで計測しており、1台あたりのハンドダウンは0.16回。3G HD(ハンドダウン) 発生箇所なおauは、東海道新幹線(東京ー新大阪)・東北新幹線(東京ー仙台)・山陽新幹線(新大阪ー広島)の各区間におけるLTEから3Gへのハンドダウン発生回数を毎月テストしています。今回は東京ー名古屋と通常よりも短い区間ながら、ハンドダウン0.16回という最も良好な結果になりました。新幹線 3Gハンドダウン改善状況
auのエリア品質強化室は、日頃より田中プロ(au田中社長)から「新幹線で3Gハンドダウンしてはダメ!」と言われており、改善に闘志を燃やしているとのこと。田中プロはダメダメ言うばかりではなく、ハンドダウンが0回だったら臨時ボーナス、そんなインセンティブ制度を導入してもよいのかもしれません。ただし木下室長は、逆にハンドダウン発生でボーナスが減額されるといった事態になることを恐れていました。
Engadgetによるフィールドテストauの公開フィールドテストでは、LTEから3Gにハンドダウンする回数(LTE接続率)についてチェックしていましたが、Engadgetでは 昨年11月に東北新幹線などで実施したLTE品質調査と同様に、XenSurveyによる4キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、イー・モバイル)のフィールドテストを独自に実施しました。XenSurvey Location(計測ルートマップ)
調査概要
日時2014年4月23日(水)テスト時間12時55分02秒〜14時45分48秒(1時間50分46秒)
総移動距離約366km電波強度(RSRP、SNR)サンプル数約6273件/1台電波品質(Latency、Packet Loss、Jitter)サンプル数約111件/台通信速度計測方法サンプル数2分間隔の自動実行・55回/台テストツールXenSurveyテストに使用した端末ドコモ:GALAXY J SC-02Fau:GALAXY Note 3 SCL22ソフトバンク:Nexus5 LG-D821イー・モバイル:STREAM X GL07Sソフトバンクとイー・モバイルは、グループシナジーで両社のLTE周波数帯を使用できるため、ソフトバンク回線はFDD LTEの3バンド(2.1GHz/Band1・1.8GHz/Band3・900MHz/Band8)を利用できるNexus5 LG-D821を選定し、イー・モバイル回線はBand3エリアチェック用にSTREAM X GL07Sを選定しています。また、今回の調査に限らず、フィールドテストレポートは、計測した瞬間の限定的な結果でしかありません。 電波状況は、利用者数(混雑状況)、周囲の電波や障害物などによる影響(干渉・反射・ノイズなど)、端末そのものの性能、微妙な位置や高さの違いで変化します。加えて、携帯電話会社側も日々のエリア・基地局の改善を行っています。東海道新幹線・東京−名古屋間はauが本当に強かった
東京駅にてフィールドテスト自動化ツールXenSurveyを起動し、4月23日13時発・東海道新幹線のぞみに乗車。下り・上り速度、電波品質、LTE接続状況などを全て自動的に記録して、名古屋駅で下車した後に改札出口に向う途中でテストを終了しました。DeviceOperatorSignal下り(Mbps)上り(Mbps)接続率平均平均最速平均最速全てLTEGALAXY JDOCOMO-89dBm8.8927.752.14s7.9499.94%99%GALAXY Note3KDDI-82dBm10.0723.125.510.52100%100%Nexus 5SoftBank-87dBm7.2320.044.8511.31100%98%STREAM XEMOBILE-88dBm5.322.854.2511.9899.79%99%測定結果サマリー(Signal・Downlink・Uplink・接続率)下り最速は、豊橋駅付近でのドコモ・GALAXY Jによる27.74Mbps、上り最速は西焼津付近でのイー・モバイル・STREAM Xによる11.98Mbpsとなりました。平均的に高速で安定していたのはau。GALAXY Note3による下り平均10.07Mbps(2位のドコモより約13%高速)・上り平均5.5Mbps(2位のソフトバンクより約13%高速)という結果。auは信号強度も-82dBM平均と最も良好で(2位のソフトバンクより-5dBm良い)、LTE接続率も唯一の100%となりました。そのほか、ドコモの信号強度の弱さや東北や首都圏と同様、上り速度の遅さが目立ちました。また、接続率No.1をうたうソフトバンクのLTE接続率は98%と最下位、下り最速も20.04Mbpsと最下位でした。
DeviceOperatorLatencyPacket LossJitter平均200ms超平均1% 超平均200ms超GALAXY JDOCOMO18819回2%8回53ms9回GALAXY Note3KDDI174ms11回0%1回36ms3回Nexus 5SoftBank198ms24回0%2回56ms7回STREAM XEMOBILE187ms25回※8%24回※55ms7回※電波品質(Latency・Packet Loss・Jitter)※EMOBILEは計測不能時間帯(13:33〜13:36 小田原エリア)を回数に加算しています。平均値には反映されていないためLatency平均・Jitter平均ともにワーストとなる可能性があります。電波品質は、Latency(遅延)、Packet Loss(パケット損失)、Jitter(ゆらぎ)の3つの指標いずれでもauが最も良好です。電波が悪い状態の回数をチェックしてもダントツに良いといえるほど、差が開いています。一方で、ドコモはJitterで200ms超が最も多くなりました。少なくとも調査区間の新幹線においては「品質のドコモ」という神話が崩れており、手を抜いているのかと心配になります。ソフトバンクは、通信品質がかなり向上していると思い込んでいました。しかしLatency平均、Jitter平均ともにワーストでした。イー・モバイルも計測できないタイミングが数度あるなど平均値には反映されておらず、全般的にLTE Band3の品質が低い状態。ソフトバンクグループ全体で新幹線エリアの品質向上に力を注いで欲しい状況です。
XenSurvey Downlinkグラフ下り速度(Downlink)は、円グラフを見ると、auが8Mbps超(グリーン)の高速通信率55%と最も高く、イー・モバイルが20%でワースト。3Mbps未満(レッド)の低速通信率でみると、auは2%と最も低く良好で、イー・モバイルが39%でワースト。XenSurvey Uplinkグラフ上り速度(Uplink)は、円グラフを見ると、auが5Mbps超(グリーン)の高速通信率62%と最も高く、ドコモが13%でワースト。1Mbps未満(レッド)の低速通信率でみると、auは2%と最も低く良好で、ドコモが44%でワースト。XenSurvey PacketLossグラフPacket Lossは、グラフの線を見ての通りauが発生回数が最も少なく良好な電波で、ソフトバンクも2度のみの発生でした。 イー・モバイルの発生率20%がワースト。XenSurvey JitterグラフJitterは、円グラフを見ると、ドコモが16ms未満(グリーン)46%と最も良好な電波で、ソフトバンクの21%がワースト。39ms超(レッド)の品質の悪さとした場合は、auが14%と最も少なく良好で、イー・モバイルが42%とワースト。その他結果詳細は、以下のリンクを参照してください。
東京駅−名古屋駅フィールドテストPDFレポートDownlink : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルUplink : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルSignal : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルLatency : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルPacket Loss : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルJitter : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイルMetrics : ドコモ au ソフトバンク イー・モバイル