捨て身の相手に課題の見えた日本……北朝鮮戦、圧倒的アウェイの洗礼
各選手のコメントにすべてがこめられていた。中村憲剛は「すごい圧力だった」「でも合わせるのではなくしっかりつながないと」と語り、岡崎慎司は「こんな試合をしてはダメだ」と反省し、長谷部誠は「これぐらいで左右されているようじゃ……」と自分達を切り捨てた。
ザッケローニ監督はタジキスタン戦から6名の先発メンバーを変え北朝鮮戦に臨んだ。システムこそ4−5−1のままだが、最終予選を前に控え組を冷静に試し、主力を温存した形になった。相手が捨て身の北朝鮮であったというのが控え組にとっては不幸だったとも言える。セルジオ越後氏がtwiiterで「ベストメンバーでなければこの程度」とつぶやいていたが、相手の圧力に負けたとはいえ、パスは繋がらず、キープも出来ずと日本代表の良さは全く出なかった。
君が代も聞こえないほどの大ブーイング。確かに北朝鮮でのアウェイの洗礼は強烈だった。しかし中東の笛と言われるバーレーンの審判はアウェイとしては公平なレフリングだったと言える。明らかなアフターチャージを見逃すことは多々あったが、これはアウェイでは普通の事だし、ゲームをコントロールしようという意思を持っていた。現に北朝鮮に退場者も出している。この状態でアウェイだけを日本代表の負けの理由にすることは当然出来ない。
結局、遠藤、香川、本田、長友と言った主力の存在の大きさが浮き彫りになった試合でもある。彼らには共通して個の力がある。
タジキスタン戦後にザッケローニが、「このチームは何度もチャンスを作って得点していくチーム」と言った事を改めて思い出す。チャンスを作るためにはパスが回り、フォローが続かなければならない。北朝鮮の前への圧力に押されて、ラインを下げてしまってはボールを奪っても前に進めない。だから当然ゴールは奪えずシュートすら放てない。前半で放ったシュートはわずか2本というのが、控え組の出した結果だ。
それでも後半立ち上がり、清武が持ち前のスピードを生かしCKを得るなど攻勢を見せた。その直後にパクナムチョルに栗原が競い負け、ゴールを奪われたのは波に乗ろうかという日本にとって、最悪のタイミングだった。その後3−4−3にシステムを変えたが、このシステムではむしろ香川や本田、そして長友、遠藤という攻撃的なコマの不足が浮き彫りになってしまう。ただしこれはザックも承知の上だっただろう。
冷静に考えれば、北朝鮮戦は日本代表にとっては消化試合であったことは間違いない。捨て身の相手に対して主力を欠いて0−1。内容はともかく悲観しすぎる結果ではない。あくまでも結果だけだが……キャプテン長谷部が語るとおり「この負けを次につなげていかないと」と言える立場に日本はいる。ザッケローニが言うように「一生に一度の試合」の北朝鮮に対して、次のある日本では戦い方が違って当然だ。あの異様な雰囲気でけが人を出さずに試合を終えたのはある意味、収穫とすべきかもしれない。 もちろん課題もまだまだ多い。パスを主体とする日本サッカーにおいては連携が命となる。そのためにはお互いの意思疎通をもっと高めなければならない。個の部分でも課題は大きい。メンタルだけでなく、フィジカルの弱さも北朝鮮戦では際立っていた。
B組では韓国が、ホームで6−0と圧勝したレバノンに敗れている。中東勢は確実に力をつけている。特にホームでの強さは圧倒的だ。北朝鮮戦での経験を最終予選に生かせるかどうか? 日本代表の道のりはまだまだ険しい。(編集担当:田村和彦)
