【Strikeforce】MMA異文化交流ニック×ザロムスキー
同イベントはSHOWTIMEで中継され、メインでは世界ウェルター級王座決定戦ニック・ディアズ×マリウス・ザロムスキー戦が用意されている。プロ修斗とDREAMにそれぞれ一度ずつ来日経験があるが、28戦のキャリアのうちこの2試合以外は全て米国で戦っているニック。
それでも、ロビー・ローラーやドリュー・フィケット、ジョシュ・ニアー、グレイソン・チバウに勝利しており、エリートXCから好条件のオファーがなければ、UFCで活躍を続けていたと思われる。UFCを離れた直後にはPRIDE USで五味隆典をゴゴプラッタで下しながら、試合後のドラック・テストで陽性反応が出たため、このキャリアで最も大切な勝利はノーコンテストになってしまった。
喘息持ちで治療のためにマリファナ使用を医師から認められているということだが、リッグスを相手に試合後の病院で乱闘騒ぎを繰り広げたり、エリートXC時代にはケージ内でKJ・ヌーンの父親に殴りかかるなど、その問題児ぶりでも名を知らしめている。
そんな悪童キャラも買われ、エリートXCとストライクフォースでは常に主役に君臨しており、非UFCファイターのなかで実力&知名度ともナンバーワンといえるのが、ニック・ディアズだ。
ニックと王座を争うマリウス・ザロムスキーは、米国よりも日本でお馴染みのDREAMウェルター級GP覇者。5歳の時に松濤館カラテを始め、キックを経て 2000年に母国リトアニアでオープンハンド&ロープエスケープ有りの総合を戦い、その後はドイツやスウェーデンを回り、2004年に英国ロンドンへ。 UK MMA界の老舗ロンドン・シュートファイタージムで本格的にMMAで戦うようになった。
ケージレイジなどでキャリアを積んだザロムスキー、DREAM出場時の戦績は10勝3敗で、初戦の池本誠知戦を見る限り、優勝を争う実力の持ち主とは目されていなかった。しかし、この試合で判定勝ちを収めると、GP準決勝で桜井“マッハ”速人、決勝でジェイソン・ハイ、DREAMのケージ大会ではベン・ミョンホと3連続ハイキックによるKO勝ちで、一気に日本MMA界の頂点に駆け上がった。ストライクフォース世界ウェルター級王座決定戦という大舞台は、ザロムスキーにとって初めての米国遠征となる。
基本はサウスポーの構えで、長いリーチを活かし右ジャブだけでなく、右ストレートを伸ばすニック。右足を前に出し、顔面を堅く守るスタイルで、ミドルを蹴られればキャッチしてテイクダウン、シーザー・グレイシーの黒帯の力が十分に発揮できる寝技へ持ちこむ。
ただし、この一戦に限っていえば、その独特な構えが有効かどうかは試合が始まってみるまで分からない。米国MMAワールドの王道を歩んできた彼にとって、ザロムスキーは初めて本格的な蹴りの使い手ということになる。
ニック同様にサウスポーのザロムスキーは、蹴り足を戻す位置を自在に操り、近距離・遠距離から、そして左右両方、上段回し蹴りを使い分けることができる。 MMA特有の近距離でパンチを交換した際、組まれることを避け、ガードが下がったり、相手を押しのけるように動いた隙に、ハイキックを蹴りあげることは朝飯前だ。
スタンドのパンチ合戦で評価を上げたニックだが、ザロムスキーは全く未知の領域といえる戦法の持ち主といえるだろう。ただ、ニックと同じサウスポーのハイと戦った際、フィニッシュとなる右ハイこそ見事に決まったものの、ザロムスキーはローやミドルを右で蹴ることはなく、組み立てはあくまでも左側からの蹴りとなることが予想される。この辺りの駆け引きと、両者のステップワークに注目したい。