応援したい自治体に寄付ができる「ふるさと納税」。

県内でも雲仙市が去年9月、その対象から除外され、影響は地元の返礼品事業者にも及んでいます。

ふるさと納税がなくなった今、事業者らは販路の確保に向け取り組みを進めています。

船が運んできたのは…

(天洋丸 竹下 千代太 代表)

「岩ガキです」

大きさと厚み、濃厚な味わいが特長だそうです。

橘湾での巻き網漁を中心に行う雲仙市南串山町の「天洋丸」。

経営する竹下さんは多角化を進めていて、その一環として2022年から岩ガキの養殖を開始しました。

(天洋丸 竹下 千代太 代表)

「岩ガキは、ふるさと納税でも結構出ていた」

雲仙市のふるさと納税の返礼品としても、出荷していました。

しかし…

(金澤 雲仙市長)

「本市は、総務省からふるさと納税の対象団体としての指定取り消し処分を受けることとなった。大変申し訳ございませんでした」

去年9月、雲仙市が今後2年間、ふるさと納税の指定団体から除外されることになったのです。

返礼品の調達費や送料などの募集費用を、寄付額の5割以下に抑えるという国の基準を超えたことが理由でした。(雲仙市 約56%)

(天洋丸 竹下 千代太 代表)

「ふるさと納税だと、問屋や魚屋を通さず直接消費者に出荷する値段設定ができるので、利益率が高い」

ふるさと納税の大きなメリットは「利益率の高さ」。

そして出荷数が多くなくても、商品の登録が可能なところだといいます。

竹下さんは生産量が少ない養殖の岩ガキやサーモンを返礼品として提供していましたが、今年はサーモンの養殖をやめることにしました。

こうした逆境の中でも販路を確保するため、自社サイトでの販売やSNSでの情報発信に力を入れています。

(天洋丸 竹下 千代太 代表)

「ネットを使ったり、県のふるさと納税は残っているので、そこに力を入れたり、あとは独自に発信して消費者に直接買ってもらうとか」

同じ南串山町で収穫シーズンを迎えているのは、ジャガイモです。

(なんぐしデジマプロジェクトチーム 寺田 裕介 代表)

「ツルツルとして目のへこみがない。料理に適している。味は食べてみてほしい。ホクホクとしっとりのいいところを兼ね備えた素晴らしい品種」

地元JA青年部支部に所属する14人で組織した「なんぐしデジマプロジェクトチーム」では、「デジマ」という品種のジャガイモを栽培しています。

春と秋の年2回で120トンほどを収穫し、うち3割ほどはふるさと納税の返礼品として出荷。

ポータルサイトによっては、じゃがいも・サツマイモのランキングで1位を獲得するなど人気を博していました。

出荷先が突然なくなったこともショックでしたが、特にショックだったのが…

(なんぐしデジマプロジェクトチーム 寺田 裕介 代表)

「ふるさと納税を6年してきて、たくさんの方にレビュー、星をつけてもらったり、コメントをもらっていて、まずそれがなくなるのが寂しい感じはした」

一次産業ではなかなか機会がない、“食べた人の感想” が直接届くのも、ふるさと納税の魅力の一つでした。

除外の発表があった去年9月は、秋作の収穫を控え売れ行きを心配していましたが、思わぬ反響があったそうです。

(なんぐしデジマプロジェクトチーム 寺田 裕介 代表)

「新聞やテレビを見た人たちが “これだけください” とか、“応援しますよ” と言って、かなりの注文を頂いた。

インスタのDMで “ふるさと納税で手に入らないので、どうやって買えますか” という問い合わせもたくさんもらっている」

それまで開拓したファンが購入してくれたことで、ふるさと納税での提供予定分はすべて出荷できました。

春作の出荷を前に、今年3月には県のふるさと納税にも登録したそうです。

(なんぐしデジマプロジェクトチーム 寺田 裕介 代表)

「ありがたいことに、登録してまだ2か月でランキングに入ったのは嬉しい」

雲仙市のふるさと納税への登録で学んだ、“見せ方” のノウハウを生かしています。

登録した県の返礼品人気ランキングで上位につけることもあるそうで、全国でのランキング上位も目指します。

一方 雲仙市は、事業者支援を進めています。

(雲仙市観光物産課西田 公章 課長)

「長崎県のふるさと納税の登録、物産展、商談会への出展支援を行っている。

県にも協力にも協力いただきながら、社員食堂やホテルなどへの食材の納入、民間バイヤーとのマッチング機会の創出など、新たな販路の開拓支援にも取り組んでいる」

今年度からは、物産展への出展の際の旅費や宿泊費の補助も行っています。

ふるさと納税制度に復帰できるのは、早くて来年10月です。

除外処分が市の税収だけでなく、さまざまなかたちで返礼品事業者に影響を与えていることについて、市の担当者は…

(雲仙市観光物産課西田 公章 課長)

「非常に申し訳ないと思っている。

(来年)10月以降、できるだけ早期にふるさと納税制度に復帰できるように、今年度から準備を進めている」

雲仙市も返礼品事業者も、再登録を目指して歩みを進めています。

(なんぐしデジマプロジェクトチーム 寺田 裕介 代表)

「充電期間だと思っているので、しっかり準備をして2年後に備えたい」

(天洋丸 竹下 千代太 代表)

「雲仙市は食の取り組みは力を入れてくれているので、今まで通り、これにめげずに(雲仙市と)一緒に頑張っていく」