コンビニ店舗数日本1位の「セブン−イレブン」…各社の「お弁当戦略」を分析してわかった意外な秘訣
王者セブン−イレブンがくりひろげる横綱相撲
店舗数で日本のトップに君臨する王者セブン−イレブンは、店内調理を一部店舗に留めており、ファミリーマートのように変わり種商品で勝負しているわけでもない。それでも、自社がライバルに先んじて導入した「チルド弁当」の幅広いラインナップで、横綱相撲を続けている。
「『チルド弁当』とは、製造から配送、販売に至るまで0〜10℃の冷蔵環境(チルド帯)で管理された弁当のことで、レンジで温めることを前提としています。これにより、コンビニ弁当の消費期限は飛躍的に向上しました。セブンが’09年から販売したチルド弁当は、現在では業界全体の主流となっています。その代表格が、のり弁です」(経済紙記者)
のり弁はシンプルで安価なイメージがあるが、現在3社が販売しているのり弁は多品目の揚げ物を載せている。せっかく500円以上で発売するなら、多種多様なおかずを詰め込んだ幕の内弁当に力を入れても不思議ではないが、各社はそうしない。いったいなぜか。
「王道の幕の内弁当は、焼き魚、漬物、煮物、揚げ物など多品目ですが、これらの適切な温度帯は異なる。それらをレンジで一律で温めてしまえば、熱すぎるおかず、反対に温め足りないおかずがでてくる。レンジで温めて完成する今のトレンドには向いていません。一方、のり弁のおかずは揚げ物、肉系など適切な温度帯が近い品目が集められていて、チルド弁当としての適性が高いのです。
セブンの『4種おかずの海苔弁当』(645円)以外の私のおすすめは、『熟成だれの牛カルビ弁当』(645円)。セブンの弁当は米が美味しいのが強みで、おにぎりと銘柄を変えて炊き方のプロが仕上げています。その米に、高品質の牛肉とタレが絡み合う。焼き肉系弁当ではダントツのクオリティです」(前出・田矢氏)
在庫管理が楽なチルド弁当を採用する業界全体の流れを生み出したセブン−イレブン。いずれは冷凍弁当の開発にも着手すると見られているが、意外にも、常温弁当の品ぞろえも豊富だ。
「コンビニ弁当の売り上げを支えているヘビーユーザーには、高齢者が多いと言われています。彼らは自宅で弁当を温める手間を省き、すぐに食べることが多い。そんな状況で常温弁当を手放せば、売れ行きが悪くなる。しばらくは、チルドと常温を混在させ、徐々にチルドへシフトしていく方針でしょう。
ちなみに、会社や家の近くのコンビニで弁当を買う場合は、店舗で温めてもらったほうが美味しい。業務用レンジは出力が高く高性能だからです」(同前)
王道か、変わり種か、店内調理か。3社の開発競争は、レンジで温められる弁当のようにヒートアップしている。
