【ニセコ】コープでピンドンが6万円…新幹線延伸の「倶知安駅」がスゴいことになっていた

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冬のニセコがインバウンドで空前の賑わいを見せているのはご存知の通りだろう。オフシーズンに入った4月下旬に訪れると、さらなる需要拡大を見越した「建設ラッシュ」が繰り広げられていた。

前編〈セコマに5万円の「白州」が…空前の開発ラッシュに沸くニセコ、日本でここだけしか見られない「風景」〉より続く。

新幹線で東京〜倶知安が一本に

そもそも、ニセコに国内外からマネーが流入し、開発を行っているのだろうか。『超富裕層に「おもてなし」はいらない 世界の一流が日本に惹かれる本当の理由』には、次のように記されている。

〈更に、ニセコが海外富裕層を惹きつけている要因はもう一つある。それはニセコが、世界的に見ても「高級リゾート不動産市場」としての魅力が抜群なことだ。

 魅力ということは、不動産価格が割安であり、この先の成長性も見込め、問題なく売買できる流動性があるということだ。ニセコの中核を成す倶知安町のひらふ地区や花園地区のプレミアム物件においては特に、新規だけでなく中古物件の人気も高い状況が続く。〉

値上がりは続いているものの、欧米のリゾート地に比べればまだ手が届く範囲で、リセールバリューもある。こうした「出口戦略」も見据えながらの投資が行われているというのだ。

同エリアはJR函館本線の「ニセコ駅」、「比羅夫(ひらふ)駅」が最寄り駅となるが、ニセコ駅の作りは山小屋風のコンパクトな駅舎であり、比羅夫駅に至っては「比羅夫駅では降りないでください」というアナウンスが流れる。ニセコエリアに向かう公共交通機関がないため、隣の倶知安駅の利用を促しているのだ。

道道343号線から倶知安駅へ向かう道中、新たな線路が建設途中であることが一目でわかった。北海道新幹線の延伸にともない、倶知安駅も新幹線停車駅のひとつになる。倶知安〜札幌間だけでなく、倶知安〜東京間も一本で結ばれ、最短4時間36分で日本随一のリゾートへたどり着く。

ニセコへのアクセスが改善し、当然ながら富裕層以外の旅行客の流入も増加が期待される。〈2024年度のニセコエリア(倶知安町+ニセコ町+蘭越町)の外国人宿泊客延数は前年比約10万人も増加し、約84万人と過去最高を更新している〉(『超富裕層に〜』)とあるように、ニセコの宿にもオーバーツーリズム、オーバーブックが悪化するおそれがある。

前章で再三述べたように、ニセコエリアは開発ラッシュの真っ只中である。これはもちろん富裕層や外国人観光客の来訪を見越してのことだが、当然ながらそうではない客も大勢押し寄せる。それを加味すると、いまのニセコの宿泊施設は供給不足ぎみだ。バブル的にヒト・モノ・カネが投入されているのではなく、今後の需要に応えるための必然的な開発であるとも言える。

6万円のピンドンがコープに

ちなみに、倶知安駅からほど近いところに「コープさっぽろ 倶知安店」がある。倶知安で暮らす人々の重要な生活インフラだ。こちらの酒売り場を覗くと、「モエ・エ・シャンドン」や「ヴーヴ・クリコ」といったシャンパンがずらりと並べてあり、「ドン・ペリニヨン」、いわゆる「ピンドン」もあった。価格は税込6万3800円である(念のために付すと、ネットショップでも同等の価格帯で販売されており、決してプレミアムを乗せているわけではない)。

幼児用のキャラクターTシャツや掃除用具、ミシンなど生活に根付いた品々が並んだコープの一角に、6万円のピンドンが鎮座している…。倶知安のいまを象徴するような光景であった。

当然ながら、ひらふ地区はホテルの他にも多くの別荘が立ち並んでいる。脇道にそれてレンタカーを走らせていると、突如として大理石調の邸宅が現れた。200坪はあろうかという白亜の豪邸はおそらく別荘使いされているのだろう。目を凝らすと、窓際に赤いキャップの白いボトルがずらりと並んでいるのが映る。おそらく中国の「白酒」、それも1本2万円はする「貴州茅台酒」だと推察される。

ニセコ駅周辺のニセコ地区、宿泊施設が密集するひらふ地区、同地区の代表的ホテルである「パーク ハイアット ニセコHANAZONO」付近では、外国人がランニングしている姿を幾度となく見かけた。おそらく、長期でニセコに滞在しているのだろう。

目下、日本政府は「観光立国」を目指し、2030年までにインバウンドを年間で6000万人まで増やすと掲げている。もはや国策と言っていいだろう。同時に、インバウンドによる地方創生も期待されている。

だが、観光業は水物だ。いまがそうであるように、地政学リスクや疫病、災害が発生するたびに趨勢が変わってしまう。ちょっとしたブームに興じていると、それこそバブルが弾けてしまうかもしれない。

だからこそ、長期的な視点で消費と投資を続けてくれる、国内外の富裕層の心を掴む必要がある。発展を続けるニセコは、インバウンドと地方創生を目論みながらも継続的な成長を遂げる街づくりのモデルケースになるかもしれない。

『超富裕層に「おもてなし」はいらない』試し読み記事はこちら:ルイ・ヴィトン出店、高級ホテルも続々…北海道ニセコに「外国資本」が次々と投資を行うワケ

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