「畠山鈴香は穏やかな顔になっていた」…元受刑者が明かす「女性刑務所の現実」と、「約7円の時給」で働く現役受刑者の告白
覚せい剤で女子刑務所に4回収容された
国内最大の女子刑務所「栃木刑務所」が、2028年春に廃止される方針が決まった。栃木刑務所は古くは昭和の殺人事件で収容された阿部定や、近年では覚せい剤取締法違反で収容された小向美奈子なども収容された刑務所である。
庄司舞子さん(48歳)は、かつて栃木刑務所に2度ほど覚せい剤取締法違反で収容された経験がある。現在は「変態一門卍ピッコロ」の名でTikTokなどで活動している。
「栃木には合わせて6年ほど収容されていましたね。私は栃木に2回、福島刑務支所に2回と計4回収容されています。女子受刑者が増えているからなのか法務省の予算が減少したからなのか分かりませんが、年を経るごとにクリスマスのケーキとか正月のおせち料理とかがショボくなった印象ですね。栃木では『まるごとバナナ』とか『スイスロール』とかも出たけど、福島ではそれもありませんでしたし」(庄司さん)
庄司さんは「刑務所も昔とどんどん変わってきている」と言う。現に、2025年6月1日に従来の懲役刑と拘禁刑を一本化したことで刑務作業の義務をなくしたこともそのひとつだといえよう。
現在、筆者には文通している女性受刑者がいる。殺人未遂で実刑判決が下り、東北の某刑務所に収監されているAだ。彼女からは定期的に手紙が届くのだが、社会生活を送る我々に、刑務所の中の暮らしを伝えたいようだ。
そこで、庄司さんにAからの手紙を解説してもらおう。ここから紹介するAからの手紙はすべて4月13日に届いた手紙の内容だ。
具体的な刑務作業とは
《工場で作業をしながら、どんなことを書けば外の人に刑務所の生活が伝わるのか、を考えていました。4月から手紙をシャープペンで書いていいということになったので、書いては直しつつで書きました》
刑務所では使用できるペンの種類も限られているようだ。Aは1日のスケジュールについて、このようにまとめていた。
起床・点検(点呼)
朝食
工場出勤
昼食
入浴(週3日・15分)
運動(30分)
帰室・点検
夕食
余暇時間
就寝
ここでいう工場とは「刑務作業」のことだ。
《受刑者は、寮舎と工場を行き来する毎日を過ごしている》
Aがいる女子刑務所にはこの作業をしている者がほとんどだが、先に述べたように拘禁刑といって、教育プログラムを受けている者もいる。
工場には1〜8工場と洗濯工場があり、なかには企業から受注をした製品を作っているところもある。これ以外に、月に2回の矯正指導日には作業をせずに部屋で読書やVTRを視聴し作文の作成を行うこともあるのだとか。
最近の変化は《昨年末くらいから、月1〜2回映画が放送されるようになった》ことだと言う。
作業をするということは当然、報酬も出る。Aはその報酬についても詳しく記していた。
福島刑務支所には畠山鈴香がいた
《作業報酬金は、10等工から1等工までがあり、10等工は時給\7.8〜。
A・B・C作業があり、C作業(居室内で行う作業)は5等工まで、
B作業(工場で行う比較的簡単な作業)は5等工、
A作業(広報で行う難易度が高い作業)は1等工まで上がることができる。おおむね2年程で1等工まで上がることができる。
10等工\7.8、9等工\10、8等工\13、7等工\15?\16?くらい。
作業の出来高により、1割・2割の割増手当がつく。
毎月100時間前後作業するため、受刑者は月\780〜\10000くらいの報酬金をもらう。
(\10000程もらうのは、指導係や長期刑で仕事が出来る人くらい。全員がA作業をしている6工場の平均が\5000くらいかな、という感じ。)》
\7.8という凄まじく低い時給に驚く。Aによれば《拘禁刑が導入された頃(昨年6〜7月頃)から懲役受刑者にもマインドフルネスと音楽鑑賞の時間が毎日増えた。それに伴い、作業報酬金が1割程度減ることになり、日用品を報酬金で購入している受刑者は悲鳴をあげている》という。まるで人気漫画『賭博黙示録カイジ』の地下労働施設でもらう低い労働賃金「ペリカ」のような話だが、これは実話なのである。
また、Aが言う工場の指導係については、冒頭の庄司さんもこのように説明する。
「刑務所の受刑者における『係』とは、一言で言うと看守を手伝うポストです。計算係や衛生係や配食係など色々とあります。これに指名されると自由に動けるタイミングも増えますので誰もがなりたがる係でもあります。初犯で1回目に入った栃木刑務所で配役された工場にはオウム真理教の飯田エリコがいました。『シャバに出たら上祐と新たな宗教を作る計画をしている』といった話を散々聞かされましたね。また、私が10年前に福島刑務支所に収監されたときは2006年の秋田連続児童殺害事件の畠山鈴香がいましたが指導係を任されており新人受刑者の面倒なども細かく見ていましたよ」
庄司さんは「私がそれよりも前の18年くらい前に福島刑務支所に入った時にも畠山さんがいましたが、その時は顔つきも悪くて周囲の足を引っ張るなど意地悪なことばかりしていたようですが、10年前の時は穏やかな顔になっていましたね」と言う。
刑務所で人は反省するのだろうか。庄司さんは言う。
「私は覚せい剤取締法違反で四度の受刑を経験していますが、一度では(更生は)無理でした。四度も入って、父親も亡くなって、周囲の環境もあって、さらにはペットも飼ったりといろんなことがあって(覚せい剤を)完全に辞めることができました。人は自分だけで反省はできないんです。周りの変化がないと。Aさんもきっと、今は刑務所で反省をしているかもしれないけど、出所してからの環境がとても大事だと思います」
後編『「仙台で伝説の女アウトロー」が告白…狂うことも許されぬ「保護房の思い出」と、犬を飼って「シャブ断ち」できた理由』では、庄司さんの壮絶な女子刑務所体験と覚醒剤を完全に辞めるまでに至った経緯を聞いた。
【つづきを読む】「仙台で伝説の女アウトロー」が告白…狂うことも許されぬ「保護房の思い出」と、犬を飼って「シャブ断ち」できた理由
