23日、トランプ大統領(ワシントンのホワイトハウスで)=AP

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 【ワシントン=中根圭一】米国のトランプ政権が、大学や研究機関に研究費を配分する「全米科学財団(NSF)」を監督する国家科学審議会(NSB)の全委員22人を解任したことが、元委員への取材でわかった。

 学術界を軽視するトランプ大統領が、自らへ権力を集中させるために人事を強行したとみられる。

 NSBはNSFとともに1950年に設立された。独立した機関として大統領や議会への政策の助言や、NSFによる研究資金提供の承認を任務としている。委員は大統領に任命される。任期は6年で、3分の1が2年ごとに交代する。定員25人だが、解任時点で22人いた。

 今回解任された元委員によると、ホワイトハウスの人事局が24日午後、「トランプ大統領の代理として」と記した電子メールを送り、即時の解任を告げた。解任の理由は記されていなかった。

 NSBは5月5日に会合を開き、米国が世界の科学技術を主導してきた地位を中国に明け渡していることを指摘する報告書を発表する予定だった。2022〜24年にNSB議長を務めたダン・リード米ユタ大名誉教授は「解任措置は前例のないものだ」と政権の人事を批判した。

 トランプ政権は昨年、NSFの年間予算を88億ドル(約1兆4000億円)から56%削減すると提案した。議会の反発で前年並みの予算を確保したが、政権は今年も再び予算縮小を求めている。