平壌と平壌に隣接した処刑場所はいずれも金正恩の執務室とされる「労働党1号庁舎」(朝鮮労働党中央委員会本部庁舎)から半径30キロメートル以内にあり、このうち5カ所は金正恩の執務室から北に半径10キロメートル以内に密集していた。[資料 TJWG報告書]

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北朝鮮の軍幹部養成機関である平壌(ピョンヤン)の金日成(キム・イルソン)政治大学。朝鮮人民軍内のエリートを育てる最高教育機関だが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の使い方は違った。2013年秋に内閣と市人民保安署署長など高位幹部がここで銃殺されたと対北朝鮮消息筋は伝えた。執権から2年もたたない時期、金正恩は韓国の動画とわいせつ物を見て摘発された幹部を処刑する場所として金日成政治大学を選ぶことにより未来の政治幹部に見せしめとしたのだ。

金正恩が執権直後から最近まで首都平壌を公開処刑場として活用し、恐怖政治を最大化する舞台として使ってきたという国際人権団体の報告書が出された。金正恩執権初期と新型コロナウイルスの拡散防止を理由に国境が全面閉鎖された際に公開処刑が急増し、内部統制と処罰が極限に達したことが明らかになった。

人権調査記録団体の「転換期正義ワーキンググループ(TJWG)」は28日、この10年間に脱北者880人をインタビューした結果と北朝鮮専門メディア報道などに基づき、2011年12月から2024年12月の金正恩執権13年間に北朝鮮で最小144回の処刑が執行され、最小358人が処刑されたと明らかにした。現場で死刑が宣告されて処刑まで行われた事例が大部分で、1回で平均2.6人が処刑された。

TJWGは144件の公開処刑のうち111回について具体的な場所や市・郡単位まで位置を特定した。公開処刑が最も多く行われたのは朝中国境地域である両江道恵山市(ヤンガンド・ヘサンシ)で23回に上った。頻繁な脱北と密輸行為などと無関係ではなさそうだ。

平壌が22回で劣らず多くの公開処刑が行われたことが明らかになったが、様相は少し異なった。TJWGは北朝鮮で特定集団を狙って行われる公開処刑の類型があると分類した。処刑をしながら職業、所属機関、階級、地位など属性が同じか関連性がある者だけ動員し参観させるケースだ。

TJWGは類型分類が可能な129回の処刑のうちこうした類型の処刑は28回で、処刑が執行された場所13カ所のうち9カ所が平壌あるいは平壌近郊だったと説明した。「特定集団の構成員を狙って恐怖心を最大化し服従心を強化しようとする意図」という説明だが、金日成政治大学で行われた処刑が代表的な例だ。死刑囚が党と軍の高位幹部あるいは家族の場合が多い。

全体的に平壌と平壌に隣接した処刑場所は12カ所だった。いずれも金正恩の執務室とされる「労働党1号庁舎」(朝鮮労働党中央委員会本部庁舎)から半径30キロメートル以内にあり、このうち5カ所は金正恩の執務室から北に半径10キロメートル以内に密集していた。金日成政治大学だけでも金正恩の執務室から直線距離で8キロメートル以内にある。近くの金正日(キム・ジョンイル)社会安全大学も処刑場として使われた。