就職活動について話すモハメドさん=2026年2月、シンガポール(共同)

 円安の影響で働く場所としての日本の魅力低下が指摘される中、東南アジアの大学で学ぶ学生らの中には日本企業への関心を持つ若者たちがいる。転職も視野に将来を見据え、日本企業での経験をキャリア形成の機会と捉えている。(共同通信シンガポール支局=本間麻衣)

 シンガポールで2026年2月に開かれた就職フェア。日本の就職活動の光景さながら、黒っぽいスーツを着た大学生らが緊張した面持ちで会場を動き回っていた。JR東日本や三菱重工業など約10の企業・団体が出展し、企業説明や面接を実施した。

 2026年で14回目のフェアには、インドネシアやタイなどから約700人が参加した。企業側は、日本語が話せることを第1条件とせず、幅広い層から優秀な人材の確保を狙う。特に理系科目を履修した学生への関心が高いようだ。日本社会や職場文化への理解を深める講座も開かれた。

 マレーシアの大学で人工知能(AI)を学ぶモハメドさん(21)は面接を受けた。就職先は「仕事と生活のバランス、国の政治の安定性、キャリアアップにつながるかどうか」で選ぶという。将来的には別の国での転職も念頭にある。

 インドネシアの会社員(28)は職場でトヨタ自動車の生産方式の「カイゼン(改善)」を学び「製造業の最先端である日本」に興味を持ったと話す。「日本でキャリアを積みたい」と目を輝かせ、面接会場へ向かった。

 主催者で外国籍の高度人材雇用支援事業を手がける「エナジャイズ」(東京)によると、参加者の日本企業への志望理由として、給与や福利厚生よりも、国際的なキャリア形成の機会と回答した人が多かった。

 採用する日本側の熱量は高く、ある企業の面接官は「将来のキャリアプランを明確に語れる視座の高い応募者が多かった」と手応えを感じていた。

2026年2月、シンガポールで開かれた就職フェアに出展したJR東日本(共同)

2026年2月、シンガポールで開かれた就職フェアでの会社説明(共同)

2026年2月、シンガポールで開かれた就職フェアでブースに並ぶ人たち(共同)

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