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「この子はパパにそっくりね」と笑顔を浮かべる裏で、義父母が孫の髪の毛を拾い集めていた。夫ではない別の男性との間にできた子を夫に育てさせる「托卵」をしているのではないか──。

そんな疑惑にとりつかれた家族。無断の「DNA鑑定」をめぐるトラブルが弁護士ドットコムに寄せられている。

勝手にDNA鑑定をすることで取り返しのつかない事態を巻き起こすことも考えられ、弁護士は慎重な態度を呼びかける。

●「嫁には内緒にしろ」密かに実施された鑑定への憤り

1人息子を育てる相談者の女性は、夫から義父の許されざる行為を告げられた。

義父が夫に対し「お前と孫のDNA鑑定をした。結果は親子だったから、妻(女性)には黙っておけ」と伝えたというのだ。

女性の息子は周囲からも「パパ似」と言われるほど夫に似ており、義父母もそれを認めていたはずだ。

しかし、その裏で女性の「托卵」を疑い、無断で鑑定した義父の行為に、深い悲しみと憤りを隠せない。「精神的苦痛の慰謝料を請求したい」と考えるようになった。

●「老い先短い私は真実を知りたい」暴走する祖母

一方、高齢者の側から「息子の妻に内緒でDNA鑑定を実施したい」との相談も届いている。

相談者の高齢女性は、息子の妻に不貞の可能性があり、孫の1人が息子に全く似ていないことから「托卵」を疑っているという。

息子に鑑定の実施を頼んでも断られることはわかっているため、鑑定機関の職員に相談したところ、「息子の許可がなくても鑑定はできる。自宅から息子と孫の歯ブラシを持ってくればいい」とアドバイスを受けたとのこと。

女性は「私は高齢で先も長くないため、真実が知りたい」と言いつつ、無断の鑑定がバレたらどうなるのかと不安も抱え、まだ踏み出すまでには至ってないようだ。

このような相談のように、「知りたい」というだけで、子や孫のDNA鑑定を無断で進め、それが発覚した場合、思いもよらないトラブルを招きかねない。

家族の問題にくわしい原口未緒弁護士に聞いた。

●「勝手にDNA検査をした」後ろめたさに耐えられるのか

──家族に無断でDNA検査をすることにより、どんな悩みが生まれたり、どんなトラブルを引き起こすでしょうか。

難しい問題ですね。

DNA鑑定が簡単にできるようになった時代です。「托卵」だと疑いを持ってしまうと、「確かめたい」と思うのは仕方がないことかもしれません。

ただ、家族に無断でDNA検査をしたことが発覚した場合、「信頼されていなかった」「裏切られた」といった思いを家族間に生じさせることになり、トラブルは必至です。

また、結果として「托卵」ではないことがわかって安心したとしても、家族に無断で検査をしたことで、その後ろめたさや罪悪感を抱えて家族と過ごしていかなければならないことになります。

そのような大きな心の負担に耐えきれなくて家族に明かしたり、うっかりバレてしまうこともあるかもしれません。

ですので、無断のDNA検査を行うことは、できる限り避けた方がいいと思います。

●祖父母「よかれと思って知らせた」→息子や孫「知りたくなかった」→家族崩壊も

実際に検査で妻の「托卵」が発覚すれば、その事実を祖父母が隠しておくことはできないでしょう。

しかし、息子や孫からしたら「知りたくもなかった」とかむしろ「知らなくてもよかった」事実を、本人の知りたいというタイミングや意思を尊重せずに知らされることになります。

そのことで家族が崩壊する可能性もあり、息子や孫から恨まれることも考えられます。

祖父母としては「息子のことを思って」とか「良かれと思って」したのに、むしろ息子から親子の縁を切られてしまう、という可能性もあります。

無断のDNA鑑定とは、このような展開を招く可能性があります。

くれぐれも無断ではなく、息子夫婦と十分に話し合った上で、慎重になって進める必要があると考えます。

【取材協力弁護士
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:法律事務所mio.
事務所URL:https://www.mio-law.com/