樹齢1200年「神代桜」 長野市

写真拡大

桜前線が一気に駆け抜けていった信州。そんな桜にまつわる物語をお伝えしていきます。17日は長野市にある「素桜神社の神代桜」です。樹齢1200年以上とも言われ、老木化が進む中、後継となるクローン桜を育てる取り組みも始まっています。

太く風格のある幹から何本もの枝を空へと伸ばす一本桜。

市街地から車で30分ほど。山間にある長野市芋井地区に素桜神社の神代桜はあります。

フランスから
「私の研究も日本の植物についてで、この桜をどうしても見たかった。感動している。見たら本当に感動している」

根元の周囲はおよそ9mに及ぶエドヒガンで、樹齢は推定1200年以上。1935年に国の天然記念物に指定されています。

満開を迎えた15日、地元・芋井小学校の児童が神代桜の元にやってきました。学校の恒例行事、「神代桜の集い」を開くためです。


「なんと、うまい水なんじゃ、こんな水は飲んだことがない」

その昔「スサノオノミコト」が持っていた杖を泉に刺して、花を咲かせたという伝説が残る神代桜。5年生と6年生が言い伝えを元に劇を演じます。地域の人や後輩たちにサクラの歴史を伝えようと、平成の初めころから続く行事です。

スサノオノミコト役
「村の人、この杖はやがて大きなサクラになるだろう。大切に育ててくだされ。きっと多くの人がこの桜を見に集まるようになる。村の宝にしてくだされ」

スサノオノミコト役・6年生
「このままずっときれいなサクラが咲いているといいなと思っています」

(校歌)~春秋ここに幾千歳遠き神代の桜花~
小学校の校歌にも歌われ脈々と受け継がれてきた神代桜。

ところが今、老木化に悩まされています。

樹の至るところに樹皮の剥がれや枯れてしまった枝を切った跡も目立ちます。

荒井基さん
「俺、子どもの頃はこの幹の上ね、走り回ってやったり、もっと広かったから、三角ベースみたいのやったりして遊んだ思いがあるんだけど」

サクラを見守る、地元住民で作る保存会の会長、荒井基さん、77歳。

近年、弱っていく樹の状況を目の当たりにしています。

荒井基さん
「(根が養分を)吸い上げる力がやっぱり弱くなってきてるんじゃないかと思うんだよね。うん。もう下手すりゃそのままバサって枝折れして、垂れちゃうよね」

保存会に関わるのは、地元の20世帯。平均年齢はおよそ80歳です。

ロープを張って根を保護したり、草刈りや肥料をやったりしていますが、年々管理は難しさを増していると言います。

荒井基さん
「土手だって、ただ、我々年寄りきなもんで、草刈りがものすごく危険な状態なんだよね。そこへ2本の足場を作るっていうのでも、やっぱり申請を出さなきゃダメだってことになって」

素桜神社の神代桜は、国の天然記念物のため、樹に手を加える際には文化庁の許可が必要となります。

枯れ枝の伐採一つにもその都度、文化庁に申請しなくてはなりません。

非常に手のかかる活動です。

荒井基さん
「だから、半々っていう気持ちがあるんだろうと思う。自分ではね、あんまり将来にその重荷を残したくねえって気持ちと、また逆にね、ここまで、1000年とも言われる木がここまで続いたんだから、まだなんとかね、守っていかなきゃいけないっていう、両方の気持ちが、ちょっとせめぎ合ってる状態なんだけど」

当たり前にあり続けてきた神代桜。見守る以外に自分たちに今何ができるのか。気持ちが揺れています。

【更級農業高校】
この日訪れたのは、長野市の更級農業高校。

生徒
「こちらは神代桜の種を拾って育てた苗です。」

温室に並べられていたのは高さ80センチほどに成長した樹の苗。去年6月に素桜神社の神代桜から実を取り種を発芽させたものです。

高校では、地域資源の活用を学ぶ授業の一環で去年、神代桜の後継樹の育成に取り組み始めました。

昨年度の3年生を中心に保存会に了承を得ておよそ5000粒の種を採取し発芽に成功した25株の苗を育てています。

文化庁の許可が下りたところで、今後、成長した苗に神代桜の若い枝を接ぎ木し、同じ遺伝子を持つクローンのサクラを残したい考えです。

再生能力が衰えている樹木では、こうした手法が取られると言います。

今年度からは地元で草刈りを手伝うなど、連携を深める予定です。

2年生
「課題が多いと聞いているのでその課題に取り組んでいけるようにしたい」

3年生
「(後継樹育成は)とても難しいことだと思うんですけど、代々変わっていくにつれて、人々や地域に知ってもらえれば大丈夫かなと思っています」

今年も「神代桜の集い」を行った芋井小学校の児童たち。

「ここもいいな」

お気に入りの場所でサクラの絵を描くのも恒例行事です。

荒井さんの手元には、これまでの児童たちが描いてきた鮮やかな絵のコピーがありました。

荒井基さん
「でもこうやってちょこちょこ、ちょこちょこね、来ればいつでも3人なり5人なり10人ぐらい桜見て、眺めてるのを見れば、やっぱりうれしくはなるよね、うん」

最後に神代桜を眺める荒井さんお気に入りの場所に連れて行ってもらいました。

荒井基さん
「桜の健康状態は分からないけど、一番きれいに見えるところじゃないかなとおれは思っているんだけど。意外に見事に咲いて。全体で見ればうまく豪華に咲いた気がする」