船酔いは体質ではなく「脳の混乱」で起こる!? 対処方法を紹介【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】
コラム「船酔いの正体は脳の混乱」
船に乗った際、揺れで気分が悪くなった経験がある人は少なくないでしょう。船酔いは体質が原因と思われがちですが、実は誰にでも起こりうる、ごく自然な現象です。特別に弱い人だけがなるわけではありません。
原因は、脳が受け取る情報の食い違いにあります。人の体は、目から入る景色の動きと、耳の奥にある内耳規管が感じ取る揺れの感覚を組み合わせて、体の動きを判断しています。ところが船の上では、目に映る景色があまり動かない一方で、体は大きく揺れ続けます。このズレが生じると、脳は状況をうまく整理できなくなるのです。
その結果、吐き気やめまい、冷や汗といった不快な症状が現れます。脳が異常事態だと判断し、体に警告を出している状態とも考えられています。つまり船酔いは、体を守ろうとする反応のひとつといえるでしょう。
対策としては、遠くの水平線を見ることで視覚と揺れの感覚を一致させるのが効果的です。空腹や満腹を避け、十分な睡眠を取ることも助けになります。また、揺れの少ない船の中央付近に移動するのも有効です。船酔いは、根性論でどうにかしようとするのではなく、しくみを知って向き合うことで対処できます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂
【監修者紹介】
池田良穂 (いけだ よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。
2023 年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。
