「医師の息子は騙されている」32歳の勤務医を育てた60歳シングルマザーが結婚相手の28歳美女に抱いた「疑惑」
『コウノドリ』でも活躍していた医師が不足?
4月9日は「子宮の日」。子宮頸がんの予防啓発活動が全国で行われている。そこにともない。鈴ノ木ユウさんの大ヒット作『コウノドリ』より、13巻と14巻に掲載されている「子宮頸がん」218ページが1週間無料公開された。この「子宮頸がん」は主人公の鴻鳥サクラの出生の秘密も描かれている。
本作は「モーニング」で連載され、2012年から2020年にわたり全34巻が刊行。さらにコロナを経て、コロナ編として連載が再開、2022年に単行本が刊行された大人気作。2015年と2017年2度にわたって綾野剛さん主演でドラマ化され、「もう一度見たい医療ドラマ」で2位にも選ばれたこともある大ヒット作だ。
産科医のサクラを中心に、麻酔科医、救急救命科医、新生児科医がチームとなって命を救っていく姿を、鈴ノ木さんが実際に医師たちに取材をして伝えてきた。そのリアリティがより多くの医師たちからも絶賛されている理由になっている。実際「子宮の日」の「子宮頸がん」試し読みにも、多くの医師も「これを読んで子宮頸がんのリアルを知ってほしい」「子宮頸がんを予防してほしい」とコメントしているのだ。
しかし、そんな「コウノドリの世界」にもピンチが訪れている。厚生労働省が発表した「令和5年度医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、最2024年で医師の数は過去最多なのにもかかわらず、産科医の数が大幅に減少しているのだ。
その大きな理由のひとつになっているのが「直美」と言われる問題だ。日本では保険医療だからこそ、お金が膨大にあるかないかにかかわらず、高レベルの医療を受けることができる。しかし、命を支える産科や外科、内科は保険適用ゆえ、「儲け」を最優先にした場合は後手になってしまう。美容医療は自由診療ゆえ、価格が自由で利益を多く出しやすくできる。
「命に関わる医療=価格が固定=儲からない」しかし「美容=価格自由=儲かる」ことで、産婦人科や小児科が減少し、外科やないかも減少傾向にある。そして美容外科は40%以上増加しているとも言われているのだ。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「医師に関する調査の依頼は多くあります。絶対医師と結婚したいという方もいれば、医師の夫のハラスメントもあったり……少なくとも調査依頼の中で“医師”というキーワードはとても大きいです。調査をしていると、思いのある医師の方こそ、稼ぐことが難しい現状も垣間見られます」と語る。
学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修行に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。
これまで「探偵が見た家族の肖像」として山村さんが調査した家族のことをお伝えしてきたが、この連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは、60歳の会社経営者・恵美さん(仮名)だ。「勤務医の息子の結婚相手のことを調べてほしい」と連絡をしてきた。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。
医師の夫が早世、シングルマザーのもと、息子も医師に
恵美さんから連絡があったのは、日曜日の夕方でした。「今、32歳の息子の結婚相手の両家初顔合わせが終わったんですが、この女はダメだと直感しました。今から相談に行ってもいいですか?」と言うので、1時間後にカウンセリングルームで会うことに。
恵美さんはツイードのセットアップを上品に着こなしており、バブル世代の人が持つ特有の華やかさがあります。美容関連会社を経営しており、全身から強さを感じます。まずは経緯を伺うことにしました。
「私の息子は、医者なのですが、本当にいい子なんですよ。大学病院に勤務し、毎日忙しく働いています。息子は小さい頃から頭が良くて頑張り屋さん。私がシングルマザーだから負担をかけまいと国立大学の医学部に入って、幼い頃からの夢を叶えたんです」
恵美さんは32歳のときに夫と死別しています。亡き夫も医師だったそうです。
「35歳のときに血液のがんがわかり、息子が4歳のときに亡くなります。ただ、勤務医でしたし遺産もろくになかった。当時、東京に住んでいたのですが、実家の静岡に戻り、朝も昼もなく働いて、息子を育て上げたのです。息子は夫に似て、とても優しく、賢い。困っている人を見ているとすぐに手を差し伸べる。私の人生の宝は息子です」
恵美さんは目頭にハンカチを当てながら、息子について話していました。その強い気持ちにもらい泣きしてしまいそうになります。
半年前に「この人と結婚する」
調べてほしいという息子の婚約者についてさらに聞いていきます。
「これまで、息子には全く女性の影がなかったのですが、半年前に“この人と結婚する”と、突然女を連れてきたのです。女は清楚ぶっていましたが、目を整形していた感じだし、言葉使いや仕草から“港区女子”の香りがする。息子はだまされていると思いました」
ところが、その女性は本当の東京の資産家の娘だったそうです。父と兄2人は複数の会社を経営しており、本人はそこから給料という名目で給料をもらっている。働いたことがないそうです。
「正直に言うと、最初彼女は“パパ活女子”ではないかと思ったんです。ところが自分で働かず、自分の父親からお金をもらっている“本物のパパ活女子”でした。両家初顔合わせで分かったのですが、向こうの両親は金だけあって愛がない感じがしました。彼女も両親の前で萎縮している。父親が“医者と結婚なんて大したもんだ”と言っているのも気になって、なんでこんな家の子と、うちの息子が結婚するんだと思ってしまったんです。息子は稼ぎよりも人の命を救いたいと、総合病院で内科医を選択しました。キビキビ働くお医者さんか看護師さんなど医療関係の人と結婚してほしかった」
恵美さんは違和感を覚えながらも、息子には意見を言えませんでした。
「だって、母親が息子の決めたことに口を出すのはみっともないし、よろしくない。私、本当に息子のことを愛しているから、ちょっと突き放すように育てたんですよ。母子家庭ってどうしても関係が密になる。マザコン息子に育ててしまったら、死んだ夫に申し訳ないですから。ですから、何も意見はしませんでしたよ。医者になったのも、地元に戻らず東京で働いているのも、全部息子の意思です」
息子の写真を見せてもらうと、恵美さんにそっくりな目元の涼しい男性が写っていました。
「背が高いしサッカーも上手だし、非の打ち所がない息子なのです。帰りに『なんであの子がいいの?』と聞いたら、『結婚してほしいと言われたし、好きだから』と。女医さんと結婚しないのかと聞いたら『医者と結婚したら、忙しすぎて一緒にいられないよ』と笑っていました。このとき、息子が幼い頃、私が働いてばかりいたので、寂しかったのではないかと反省したのです」
医師の元彼女とは互いに忙しすぎてすれ違い…
息子はさらに研修医時代から付き合っていた、女性の医師がいたことを告白。相手は国立病院に勤務しており、5年間の交際において、デートは数えるほどしかできず、同棲していてもほとんどすれ違いだったそうです。
「それを聞くと、何も言えない。でも、私の母親のカンが『あの女はやめておけ!』と最大級の警告を発している。彼女との出会いは1年前、医師仲間の紹介だったそうです。向こうから強くアプローチしてきて、交際に発展したとか。息子は『僕に時間を合わせてくれるし、周りも結婚しているし、そろそろかなと。可愛いし賢いところもあるんだよ』と言っていましたが、信じられません」
おそらく、恵美さんは彼女が気に入らないことが態度に出てしまっていたのでしょう。
「息子の口ぶりからすると、彼女のことを好きでたまらないというわけではなさそうです。あと、絶対に別の男がいる。私は、30代の頃、夜にラウンジで働いていたので男女のことはとてもわかる。複数の男性と関係を持っている女が持っている印象を見抜くプロですからね」
両家初顔合わせの集合写真を見せていただくと、恰幅がいい父親に年齢の割に若くみえる母親、スラリとして色白の彼女と息子が恵美さんとともに写っていました。
「息子は相変わらず多忙で、家にいないことが多い。多分、その隙に彼女は浮気をしているのではないかと思うし、その証拠を見れば息子も結婚を踏みとどまると思うんです。今の私はお金があるので、いくら使っても構いません。例えば2週間ほど、証拠が出るまで調査をお願いします」
そこまで言い切る恵美さんに、「それでも彼女が浮気をしていないことも十分ありえます。万が一浮気していた場合、それを息子さんに見せて話し合うのでしょうか?」と質問しました。調査をすることはできますが、それをどう使うかはその人次第。恵美さんと息子の関係が悪くなる可能性もあり、そのことも考えていただきたかったのです。
「息子にも結婚に対して揺れている部分はあり、話し合って進退を決めます。息子も私が嫌がらせで調査をする人間だとは思っていないと思います。まあ、関係が壊れてもいいんです。正直、彼女がどうこうというより、こういう歪で冷たい家族と親戚になりたくないという危機意識が働いています。一日だけではわからないといわれるかもしれませんが、この不安を抱えたまま、前に進んでは後悔すると思いました」
恵美さんは情に熱く義理を通す人柄です。資産家一家が持つ特有の冷たい雰囲気や、利害関係を優先する考え方が馴染めないと感じたのでしょう。
「まさにそうです。また、これから盛大な結婚式の準備をすると言っている。キャンセル料が発生する前に、止めておきたいのです。どうぞよろしくお願いします」
調査をしたら、むしろ彼女やその実家の良いところが浮かび上がってくるかもしれません。そうなれば安心して結婚に進むこともできるでしょう。子供を思う母の気持ちは強い。その思いも大切にしたいと思いながら、調査に入ることにしました。
◇32歳で医師の夫をなくし、女手一つで息子を育ててきた恵美さん。必死になって働きながら、息子の人生には干渉しすぎないようにしてきたことも素晴らしい。バランスを大切にする恵美さんならきっと偏見でものを言っていないとは思われるが、息子の彼女が浮気をしているかどうかはわからない。ただ、疑いがあるままに結婚するよりも、はっきりさせることは前に進むために大切なことだろう。
では息子の彼女は浮気をしているのだろうか。息子はどうするのだろうか。調査の結果は後編「実家はタワマンをいくつも持つ超富裕層。32歳医師の息子の28歳彼女に母が抱いた疑惑調査でわかった切ない事情」にて詳しくお伝えする。
